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12(問)静養室の整備基準如何。

(答)静養室の収容力の基準については、施設の種類、規模、収容者の状況等によつて異るので必ずしも一定の基準によつて規制することは適当でないが、現在の収容保護施設の実態等を考慮するとき静養室の収容力は施設の定員のおおむね一五%に相当する人員を収容するに足る広さを標準とし、収容者一人当りの坪数は、最低○・七五坪とすることが妥当であろう。

なお、静養室の収容力は、施設の定員に含まれないものであるから、その決定に当つては慎重に取り扱うことが望ましい。

13(問)養老施設において、男女は必ず別室に収容しなければならないか。

(答)極く一部の施設において男女を同室に収容しているところがあるが、その論拠として男女同室とすることがなごやかであり、又居室内が整理整頓されて、運営上好ましいといつたところにあるようであるが、これらの論拠は、特に男女同室をあえて行わなければならないと主張する論拠としては極めて弱いものであつて、むしろ現実の問題としては、男女別室としていてもなお屡々問題を起している実情である。従つて現状においては「収容保護施設運営要綱」においても定めているとおり男女を別室に収容し運営することが適当である。

ただし、夫婦者を収容した場合は、夫婦棟に収容するか、又は建物の一部を特にそれらの者のために振り向けて収容することになるであろうが、この場合においても他の収容者への影響等を十分考慮して取扱うことが望ましい。

14(問)収容保護施設の給食については、どういう注意が必要か。

(答)収容保護施設における処遇において給食は重要な問題であるから、給食の実効を収めるためには、献立作成、カロリー計算その他調理に当る栄養士が配置されることが望ましい。

何等かの事情によつて栄養士が配置されてない場合においては、その施設が栄養改善法第十条の規定による、継続的に一回に一○○食又は一日に二五○食以上の給食を供給する集団給食施設としてその適用をうける場合は献立作成その他調理について少くとも毎月一回は都道府県の栄養指導員の指導(又は保健所の指導)を受けることとなるからその指導によつて適正を期することとなる。又小施設のため栄養改善法の適用を受けないものについても保健所の栄養士等の指導を受けて給食に万全を期すべきことはいうまでもない。

なお、静養室等に収容している病人に対する給食については、医師の指導を受けて遺漏のないよう配慮すべきである。

15(問)養老施設における収容者に対しては作業を行わせることがよいか。

(答)養老施設の収容者であつても、ある程度の作業を課することが健康保持等の見地から適当と考えられる場合があると思われる。然しながら、作業を課する場合にあつては、その作業が本人に過激であつてはならないし、又本人に強制されてはならないし、更に職員の不足を補うようなものであつてはならないことはいうまでもない。

作業に関してその作業の種類、方法、時間及び収益の処分方法については、管理規程において予めこれを規定しておき、それに従つて実施すべきである。なお、収益の処分等に当つては、作業を行つた者と作業を行い得ない者との関連において、収容者に不満の起らないよう十分な配慮が望ましい。

16(問)更生施設の収容者に貯金を行わせることは差し支えないか。

(答)更生施設の収容者に対して、将来の自主独立に役立つといつた名目で日々の勤労収入の一部を貯蓄させているような取扱があるが、これは法による保護の補足性の原則に照らしても明らかな如く、これを認めることはできない。貯金等があれば、当然これを最低生活費に充当せしめることになる。然しながら、更生施設において被保護者以外の者又は一部負担を行う被保護者について、その者が勤労収入を無駄に消費してしまい、ために施設側に対して納入すべきものを納入しないといつた場合が予想される。このような場合に、これらの費用に充てさせるために、日々ある程度の額を積立たせるような措置をとつている場合があるが、これは本人に対し強制的でない限り差し支えないであろう。

17(問)養老施設等において収容者に小遣銭を支給することは差し支えないか。

(答)養老施設等で収容者に対して小遣銭を支給することは原則的には好ましいこととはいえない。然しながら、これを全く禁止するとなれば、現実の問題として必ずしも実情に即した措置といえない点も考えられるので、最低生活費基準額中に例えば嗜好品費、雑費としての用紙代、鉛筆代及び通信費等の経費も見込まれていることでもあるので、月一○○円程度であればあえてこれが支給を禁止することもないと考えられる。

18(問)収容保護施設の診療設備を併設の宿所提供施設の利用者に利用させて差し支えないか。

(答)収容保護施設の診療設備は、当該施設の収容者の医療的処遇のため設置されたものであり、外部の者にこれを利用させることはあり得ない。然も宿所提供施設の利用者に対する保護は居宅保護の取扱によるものであるから、現行法の建前からは他の指定医療機関において診療を受けるべきものであろう。ただし、特に緊急を要する場合において、地理的事情等により止むを得ず収容保護施設の診療設備を利用する場合が予想されるが、そういつた場合の診療費は、医療のために要した最少限度の実費とすることが妥当であろう。

なお、この場合被保護者については、保護の実施機関と十分連絡して遺憾のないよう配慮する必要がある。

19(問)収容保護施設の医療に関し、当該施設の医師が医療扶助をうける場合の初診を行うことは差し支えないか。

(答)法による医療についての初診は、保護の実施機関が要保護者の医療の要否と所要医療費概算額について、指定医療機関に対してその意見を求めるものである。

この初診を行う指定医療機関に関しては、特に現行法上は特別の制限はないが、要保護者の医療を委託しようとする指定医療機関によつて初診が行われることは、その趣旨から当然のことである。従つて原則的には施設の医師が収容者の初診を行うことはあり得ないと解すべきであろう。ただし、このことは施設の医師としての立場における問題であるから、例えば嘱託医である施設の医師が、別個に開業していたり又は別の病院、診療所等に勤務している場合であつて然もその病院又は診療所が指定医療機関である場合は、収容者の初診を行うことは当然あり得ることであり、ここにいう施設の医師が初診を行い得ないということは、その医師が施設の医師の立場としては行い得ないということである。

20(問)収容保護施設から、給食設備のない病院に患者を入院させた場合、施設が給食その他の世話を行わなければならないと思うが、この場合の取扱如何。

(答)収容保護施設の収容者は、精神上又は身体上の欠陥等の理由によりおおむね独立して日常生活を行い得ない者であり、このような者を給食設備のない病院に入院させるとすれば、当然何等かの介護、給食等を必要とすることになるが、施設が入院患者に対し介護、給食等を行うことは現実には困難なことであり、むしろ給食設備のある病院を選ぶべきである。

然しながら、緊急を要する場合等、何等かの理由により給食設備のない病院に入院させる場合も全くないとはいい得ないが、このような場合は、施設において給食を行うことも止むを得ないと考えられる。ただしこの場合なるべく早急に給食設備のある病院に移すべく、保護の実施機関と連絡して適切な措置をとることが望ましい。

なお、給食設備のない病院に入院した患者の入院期間中は、生活扶助と医療扶助の併給者として取り扱われることとなるから、その患者の当該病院入院期間中の保護費及び施設事務費は、入院前と同様に支出して差し支えない。

21(問)収容保護施設の収容者の医療的処遇の内容及び限界如何。

(答)収容保護施設の収容者に対する医療的処遇は施設自体においてこれを行い、原則として医療扶助の適用(医療券の発行)は行わないことになつている。ただし、病状によつては、この原則をあくまでも貫くことが困難な場合が予想されるので、真にその施設において措置できないと認められる場合においては、保護の実施機関に連絡して医療扶助の適用を受けることができることになつている。

収容保護施設における医療的処遇の取扱においては、一般的にその診療方針は、法第五十二条(診療方針及び診療報酬)の規定によつて実施される一般の法の診療方針を準用することになる。

又収容保護施設における医療的処遇の限界であるが、これは患者の病状、医師の能力等の状況によつて異るので、一律にこれを規定することは困難である。施設の医師は一般的には内科医が適当と考えられるから、従つて内科医がその施設内において処置し得る程度の疾患に対する医療が一応の基準となるのであるから、入院治療を必要とする者、医学通念上内科医が治療し得ない程度の専門的な診断治療、手術を要する者、歯科診療を必要とする者は原則として医療扶助の適用によることとなる。

なお、この取扱いについては、昭和二十七年十二月二十八日社乙発第一七九号及び昭和二十九年五月八日社発第三八○号厚生省社会局長通知「養老施設在院者の医療扶助の適用について」並びに昭和二十九年五月八日社発第三七九号厚生省社会局長通知「生活保護法による医療扶助の適正実施について」に留意のうえ、慎重に実施することが必要である。

22(問)国家公務員法による都道府県の共済組合の都道府県負担金、市町村職員共済組合法による市町村職員共済組合の市町村負担金、健康保険法、厚生年金保険法及び失業保険法による事業主負担金は、施設事務費の算出基礎に見込まれているか。

(答)設問の経費は、保健衛生費として見込まれているから、何れも施設事務費の対象として差し支えない。

23(問)施設事務費中の施設管理費の内容如何。

(答)施設事務費中の施設管理費は、いわゆる各所修繕費といわれるものであつて、施設建物の原形を変更しない程度において行われる腐朽した土台及び床の修理、廊下の修理、畳の表替、建具の修理、給排水設備の修理、破損した壁の塗替、屋根の修理、樋の修理、垣根の修理等のための諸材料費及び人夫賃等である。従つて建物の改造費、増築費及び建物以外の附帯工事費等は、これに含まれない。

24(問)火災等の災害により保護施設の利用者を一時仮収容所に収容して事業を継続する場合、保護費及び施設事務費を支出して差し支えないか。

(答)火災等の災害により保護施設の設備を喪失した場合当該施設の利用者を公民館、学校等に一時収容して事業を継続する場合は、その施設が、短期間に再興されることを条件に従来どおり保護費及び施設事務費を支出して差し支えない。

25(問)養老施設等に入所中の者が伝染病にかかり、伝染病予防法第七条の適用を受けて隔離病院等に短期入院した場合、当該患者にかかる施設事務費を支出して差し支えないか。

(答)養老施設等に入所中の者が短期入院した場合の施設事務費の取扱については、昭和三十一年四月十二日社発第三六八号通知に明らかなごとく、現に生活保護法による医療扶助を受けて入院したもののみに対する特例であり、厳格に解すべきであるから設問の場合は勿論、精神衛生法の適用をうけて入院した場合、優生保護法の適用をうけて優生手術を実施するため入院した場合等、本法による医療扶助の適用をうけないときは、施設事務費を支出することはできない。

26(問)保護施設の歳出予算は、事務費と事業費に分離すべきか。又予算執行に当り事務費と事業費の流用は差し支えないか。

(答)保護施設の経費は、大別すると、通常の場合運営管理に必要な事務費と、利用者の処遇に必要な事業費とに分けられる。このそれぞれの経費を一般的には、事務費を保護施設事務費と呼び、事業費を保護費としている。この保護施設事務費と保護費は、何れも公費の裏付を伴つているものであるから、その使途については、特に明確にすべきである。従つて予算は事務費(保護施設事務費の内容となる経費)と事業費(保護費の内容とする経費)を明確に区分して経理すべきである。

なお、事務費と事業費の流用の問題であるが、前記のようにこれらの経費は夫々その使途が相違し、両者は明確に区分すべき性質のものであり、更に補助金(負担金)の取扱においても明らかに財源を異にしているものでもあるから、彼此流用することはできないと解すべきである。

27(問)地方公共団体の設置する保護施設において、保護費の予算は、必ず設置者たる地方公共団体の予算に計上しなければならないか。歳入歳出外現金(雑部金)として施設の出納責任者等が管理してはいけないか。

(答)一部の保護施設において設問の如きいわゆる保護費についてはこれを予算に計上することなく、保護の実施機関の属する地方公共団体から支出される保護費をそのまま受け入れ歳入歳出外現金(雑部金)として取り扱つている事例が認められるが、このような取扱は事業の計画的な実施を期するうえにも問題があるばかりでなく、会計経理の面においても甚だしく不明確となるおそれがある。「収容保護施設運営要綱」においても特にこの点を明確に定めているとおり当然予算として計上すべきである。

なお、地方自治法施行令第一四三条には地方税その他一切の収入を歳入とし、一切の支出を歳出とし、歳入歳出はこれを予算に編入すべき旨規定されているから併せて参照されたい。

28(問)社会福祉法人の設置した保護施設において、施設の予算はその法人固有の予算と分離しなければならないか。

(答)社会福祉法人が保護施設を設置運営する場合において、社会福祉法人として特別に必要な経費例えば役職員の給与、理事会開催のための費用等は保護施設としての経費とは自ら別個のものであるから、保護施設としての施設事務費及び保護費として当然に公費負担の対象となる経費とは予算内容において分離し区分を明確にすることが必要である。

29(問)収容保護施設における収容者の医療を外部の医療機関に委託した場合初診料、技術料等を保健衛生費から支出してよいか。

(答)収容保護施設における医療的処遇については、原則として施設内で行うことになつているが、病状等によつては直に施設内の医療で解決できない場合があるので、この場合は、保護の実施機関に申請して医療扶助の適用を受けることとなる。従つて設問のような保健衛生費から初診料、技術料等を支出することはあり得ない。

30(問)収容保護施設の嘱託医が夜間等に施設に診療のため登院する場合、その車馬賃を施設事務費から支出して差し支えないか。

(答)夜間等急病人が発生し、施設の医師が急拠施設に登院するような場合の車馬賃は、一般的には医師に対する手当の内容として解決すべきであろう。ただし、施設の医師が遠隔の地に出向いている途中において施設内に急病人が発生し、然も施設の附近に医師がいないため、当該医師が帰院して診療を行う以外に方法のないようなときは、その帰院に要した経費は、これを施設事務費より支出して差し支えない。

31(問)火災保険料及び減価償却費は施設事務費、事業費の何れによつて経理すべきか、又これらの経費は国庫補助の対象として差し支えないか。

(答)これらの経費は、一般的には施設事務費として経理すべきであるが、授産施設における作業機械の減価償却費は、事業費として取り扱うことが妥当である。

なお、火災保険料及び減価償却費を施設事務費として国庫補助の対象とすることは現状においては認められていない。

32(問)地代及び家賃は施設事務費、保護費の何れによつて経理すべきか。又これらの経費は、国庫補助の対象として差し支えないか。

(答)これらの経費は、施設事務費として経理し、施設事務費の庁費の範囲内において支出された場合はこれを国庫補助の対象として差し支えない。

33(問)処遇用のこたつ、湯たんぽ、食器、杓子等の補修費及び一部補充のための購入費は、施設事務費、保護費の何れによりて経理すべきか。又これらの経費は、国庫補助の対象として差し支えないか。

(答)この経費は保護費として経理しその経費が、当該物品が消耗して使用に堪えない状態になつたときにおいてこれを補修し、又はその物品の一部を補充したものであつて真に利用者の処遇上必要と認められる場合は当然国庫補助の対象として差し支えない。

34(問)処遇用の布団修繕費及び綿打返しの経費は、施設事務費、保護費の何れによつて経理すべきか。又これらの経費は、国庫補助の対象として差し支えないか。

(答)この経費は、保護費として経理し、そのために要した費用が真に利用者の処遇のために必要な最少限度のものである場合は当然国庫補助の対象として差し支えない。

35(問)期末手当、勤勉手当、寒冷地手当及び石炭手当は、施設事務費として国庫補助の対象として差し支えないか。

(答)施設事務費算出の基礎に見込まれていないが、これらの手当が不必要であるとの見地から除外されているのではなく、国家財政の現状等から一般的な補助対象としては認められていないので、既定経費の範囲内において、かつ利用者の処遇に支障のない限り、施設事務費より支出しこれを国庫補助の対象として差し支えない。

36(問)電燈料又は水道料等について、一つの計量器により計算されている場合、施設事務費と保護費の区分は如何にすべきか。

(答)原則としては、計量器を事務用と事業用との二つにすることが望ましいが、それが不可能である場合には、例えば電燈料については、電燈をそれぞれの目的及び用途によつて区分のうえ、そのワット数の合計の比率によつて按分するとか、水道料については、使用対象者である施設利用者と職員の数の比率等により按分するとか、最も妥当と考えられる方法により施設事務費と保護費とに按分し支出するより方法がないものと思われる。

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38(問)保護施設における各種帳簿の取扱責任者は誰か。

(答)事業日誌、沿革に関する記録、職員に関する記録、条例、定款又は寄附行為を記載した書類、重要な会議の議事録、報告及び関係官署との往復文書綴、収容者(利用者)名簿等は庶務を担当する事務職員が、保護の経過指導票、収容者(利用者)身上調査書等はケースワークを担当する職員(寮母、指導員)が、会計経理に関する諸帳簿は、会計経理を担当する事務職員が、献立表及び調理関係諸帳簿は調理を担当する職員が、収容者診療録及び医療関係諸帳簿は医師及び看護婦が、それぞれの取扱責任者となろう。