添付一覧
○老人保健施設療養費の支給に関する部分の施行に伴う生活保護運営上の留意事項について
(昭和六三年三月三一日)
(社保第三五号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)
昭和六十三年四月一日から老人保健施設療養費の支給に関する部分が施行されることに伴い、生活保護の運営に関連して、昭和六十三年三月三十日に老人保健法施行規則等の一部を改正する省令(昭和六十三年厚生省令第二十二号)、老人保健施設療養費等の請求に関する省令(昭和六十三年厚生省令第二十三号)及び生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬の一部を改正する件(昭和六十三年三月厚生省告示第百十一号)が別添1から別添3のとおりそれぞれ公布され、また、昭和六十三年三月三十一日社保第三四号厚生省社会局長通知「生活保護法による保護の実施要領及び医療扶助運営要領等の一部改正について」により、その取扱いの基本的事項が示されたところであるが、更に左記の事項に留意の上、その取扱いに遺憾のないよう配意されたい。
記
1 老人保健施設の指定医療機関としての指定について
(1) 老人保健施設は、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)第四十六条の十七の規定により生活保護法(以下「法」という。)においては病院又は診療所とみなされることから、法第四十九条の規定により法による医療扶助のための医療を担当する機関として指定できることとされたこと。
(2) 老人保健施設を生活保護法の指定医療機関として指定する場合は、老人保健法第四十六条の六第一項の規定による都道府県知事の許可を受けており、医療扶助に基づく医療等について理解を有していると認められるものであること。
2 老人保健施設療養に係る診療方針及び診療報酬について
老人保健施設療養費の支給に関する部分の施行に伴い、生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬の一部を改正する件の一部が改正され、老人保健法第六条第四項に規定する老人保健施設における医療扶助の診療方針及び診療報酬は、同法第四十六条の二第四項及び第四十六条の八第三項の規定による厚生大臣の定め(別紙1及び別紙2)の例によるものとされたこと。
3 医療扶助に関する費用請求について
老人保健施設療養に係る医療扶助に関する費用の請求については、老人保健施設療養費等の請求に関する省令及び昭和六十三年三月三十日健医老老第二四号厚生省保健医療局老人保健部老人保健課長通知「老人保健施設の施設療養費請求書等の記載要領について」(別添4)に基づき行うものであること。
4 老人保健施設入所者等の範囲について
老人保健施設への入所及び通所の対象となる被保護者は、七○歳以上の者及び六五歳以上七○歳未満の者であつて老人保健法施行令(昭和五十七年政令第二百九十三号)別表第一に定める程度の障害の状態にあるものであること。
さらに、老人保健施設への入所の対象となる被保護者は、昭和六十三年一月二十日健医老第九号厚生省保健医療局老人保健部長通知「老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準の施行について」に定める老人保健施設の入所者の範囲(別紙3)に含まれる者に限られること。
5 老人保健施設入所等の基本的取扱いについて
(1) 老人保健施設は主として病院に入院している要介護老人の自立を支援し、家庭への復帰を目指しているものであることから、生活保護制度においても、病院における治療が終つた段階でリハビリテーションを中心とした療養を必要とする者を中心に認めていくこととすること。
(2) 老人保健施設入所の可否を判定する際には、社会局長通知によるほか、老人家庭奉仕員派遣事業等在宅老人のための諸施策の活用や社会福祉施設の利用について十分に検討し、判定すること。
また、老人保健施設通所の可否を判定する際にも老人保健施設療養病状診査票等のほか、在宅老人デイ・サービス事業等他法他施策の活用について十分に検討し、判定すること。
6 老人保健施設入所等の判定について
(1) 老人保健施設入所の要否判定については、老人保健施設は従来の医療機関とは異なり医療的な側面と同時に介護的な側面も併せ持つており医療的側面からだけで入所の要否を判定することは適当ではないので、申請者の主治医(老人保健施設入所前に診療を受けていた病院又は診療所の担当医師)より提出された老人保健施設療養病状診査票及び地区担当員が申請者の出身世帯を訪問するなどして作成した生活実態調査票に基づき行うこととされたこと。
なお、老人保健施設に既に入所している者から保護申請があつた場合についても同様であること。
(2) 老人保健施設入所者に対する医療扶助継続の要否判定については、被保護者の療養にあたつている老人保健施設の長により提出された老人保健施設療養要否意見書に基づき行うこととされたこと。
(3) 老人保健施設通所の要否判定も、(1)及び(2)に基づき行うこと。
(4) (1)、(2)、(3)により、老人保健施設入所が妥当と判定された場合は、被保護者の入所等が円滑に行われるよう当該老人保健施設と十分な連携を図ること。
7 老人保健施設入所者に係る最低生活費の認定について
(1) 医療扶助
老人保健施設に入所している被保護者に係る老人保健施設療養費については、2に示すところにより医療扶助が適用されるものであること。
(2) 生活扶助
老人保健施設は、「生活保護法による保護の基準」(昭和三十八年四月厚生省告示第百五十八号。以下「保護の基準」という。)において病院又は診療所とみなされていることから、老人保健施設に入所している者に対して認定される生活扶助は入院患者に対して認定される扶助費と同様であること。
ただし、老人保健施設入所者に係る食費は入院患者の場合とは異なり入所者が自己負担することから、老人保健施設入所者に対しては上記扶助費に加え、別途食費が生活扶助として認定されるものであること。
なお、具体的には、生活扶助として認定される扶助費は、次のとおりであること。
(ア) 保護の基準別表第1第1章の1の(2)のアに定める期末一時扶助費
(イ) 保護の基準別表第1第2章の2に定める老齢加算
ただし、同4に定める障害者加算の要件に該当する場合には、同8の重複調整等の規定が適用されるものであること。
(ウ) 保護の基準別表第1第3章の2に定める入院患者日用品費
(エ) 昭和三十八年四月一日社発第二四六号社会局長通知「生活保護法による保護の実施要領について」(以下「保護の実施要領」という。)の第六の2の(4)のイに定める基準生活費
(オ) 保護の実施要領第六の2の(5)の(キ)又は(ク)に定めるおむつ代
(3) 老人保健施設に入所している被保護者は、(2)に定める生活扶助費の中で利用料を含めた施設における日常生活費を賄うこと。
8 老人保健施設入所者の加算等の取扱いについて
老人保健施設は、保護の実施要領において病院又は診療所とみなされ取り扱われることから、老人保健施設入所者の加算等の取扱いについては、保護の実施要領第六の2の(4)のコ及び昭和五十八年三月三十一日社保第五一号本職通知「入院患者及び社会福祉施設入所者の加算等の取扱指針」によられたいこと。
9 特別な療養室の取扱いについて
被保護者が特別な療養室に入ることは施設入所している一般低所得者との均衡等から適当ではないので、特別な療養室に入ることは認められないこと。
10 老人保健施設通所者に係る最低生活費の認定について
老人保健施設に通所している被保護者に係る施設療養費については2に示すところにより医療扶助を適用し、生活扶助については居宅の場合の基準により認定すること。
11 関係規定の整備について
(1) 老人保健施設療養費の支給に関する部分の施行に伴い、生活保護法施行規則(昭和二十五年厚生省令第二十一号。以下「規則」という。)第十四条の規定について所要の改正を行つたこと。
(2) 老人保健施設療養等の請求に関する省令(昭和六十三年厚生省令第二十三号)の制定に伴い、規則第十七条の規定について所要の改正を行つたこと。
12 用語の整理について
昭和三十六年九月三十日厚生省社発第七二七号社会局長通知「生活保護法による医療扶助運営要領について」において使用されている医療に係る用語と老人保健施設に係る用語の関係については、次のとおり整理することとしたので留意されたいこと。
ア 「入院」には「老人保健施設入所」は含まれないこと。
イ 「医療」、「診療」及び「診療の給付」には、特に老人保健施設療養を明示的に除いた場合を除き、原則として「老人保健施設療養」は含まれること。
ウ 「医療機関」には、特に老人保健施設を明示的に除いた場合を除き、原則として「老人保健施設」は含まれること。
別添1~4・別紙1~3 略