添付一覧
○老人保健法の施行に伴う医療扶助運営上の留意事項について
(昭和五八年一月三一日)
(社保第一一号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)
昭和五十八年二月一日からの老人保健法の施行に伴い、生活保護法による医療扶助の運営については、厚生省社会局長通知「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬の一部を改正する件について」(昭和五十八年一月三十一日社保第九号)及び「生活保護法による医療扶助の運営要領についての一部改正について」(昭和五十八年一月三十一日社保第十号)をもってその取扱いの基本的事項が明らかにされたところであるが、更に左記事項に留意の上、貴管下福祉事務所及び関係各医療機関その他に対し周知徹底を図り、その取扱いに遺憾のないよう配意されたい。
また、これに伴い、昭和四十八年五月一日社保第八七号厚生省社会局保護課長通知「生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について」の(問18)を「(問18)削除」に改め、昭和四十七年十二月十五日社保第二〇六号厚生省社会局保護課長、厚生省保険局国民健康保険課長連名通知「国による老人医療費負担制度の実施に伴う国民健康保険法と生活保護法との調整について」を廃止する。
記
1 老人保健法の対象となる者について
(1) 老人保健法による医療は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「七〇歳以上の者等」という。)であって、社会保険の加入者(被用者保険又は国民健康保険の被保険者等及び被扶養者をいう。老人保健法第六条参照。)であるものに対して行われるものであること。
ア 七〇歳以上の者
イ 六五歳以上七〇歳未満の者であって老人保健法施行令別表(別添1)に定める程度の障害の状態にある旨の市町村長の認定を受けたもの
(2) 老人保健法による医療の対象者は社会保険の加入者であることが要件とされていることから、国民健康保険法第六条第六号の規定により同法の適用除外となっている生活保護世帯に属する者は対象とならないこと。
2 老人保健法による医療に係る一部負担金について
(1) 老人保健法による医療を受ける者は、同法第二十八条第七項の規定に該当する場合以外は一部負担金を支払うこととなるので、この一部負担金についての医療扶助は、被保護者の申請及びその証拠書類に基づき、金銭給付すること。
なお、一部負担金についての証拠書類は、医療機関からの患者に対する請求書又は領収書のほか、老人保健法による健康手帳にとじられている医療受給者証の「その他必要事項」欄で一部負担金を支払ったことが確認できる場合は、その写しを作成の上、担当者の確認表示をすることによっても差し支えないこと。
(2) 老人保健法第二十八条第七項に基づく老人保健法施行規則第二十条の規定により、災害により財産について著しい損害を受けたとき、生計維持者が長期入院をしたときその他特別の事由により一部負担金を支払うことが困難であると市町村長が認めた場合は一部負担金が減免されることとされており、昭和五十八年一月二十四日衛老計第四号厚生省公衆衛生局老人保健部計画課長通知「一部負担金の減免の具体的取扱いについて」(別添2)においておおむね過去一年以内に災害により財産について著しい損害を受けたこと等により生活保護法第六条第二項に規定する要保護者となった場合、要保護者がおおむね過去一年以内に災害により財産について著しい損害を受けた場合等が示されているので、老人保健法による医療を受けることのできる被保護者で一部負担金の減免の対象となると思われるものについては、その申請を指導すること。
また、老人保健法による医療を受けることのできる者から保護の開始申請があった場合も一部負担金の減免の対象となる者であるか否かを確認した上で、保護開始時の要否判定を行う必要があること。
3 七〇歳以上の者等に係る診療方針及び診療報酬について
(1) 老人保健法による医療を受ける者に係る診療方針及び診療報酬に関する基準が老人の心身の特性等を踏まえ新たに定められたことに伴い、生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬(昭和三十四年五月厚生省告示第百二十五号)の一部が改正され、老人保健法の適用を受けない七〇歳以上の者等に係る医療扶助においても、診療方針及び診療報酬は老人保健の例によるものとされたこと。
(2) これに伴い、老人保健の例による診療報酬の算定が行われる者であることを明確にするため、七〇歳以上の者等に係る医療扶助の単独分医療券(医療券・診療報酬明細書)には「指定医療機関の所在地及び名称」欄の右側の余白に(老保)と表示することとし、健康保険等の継続給付を受ける者並びに結核予防法第三十四条及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十二条の公費負担医療を受ける者に係る併用分医療券には「備考」欄の余白に(老保)と表示することとしたこと。
(3) 老人保健法による医療の診療方針及び診療報酬に関しては、次に掲げる通知により詳細が示されているが、老人診療報酬点数表の概要は、別紙「老人診療報酬点数表の概要」のとおりであること。
ア 昭和五十八年一月二十日衛老第七号厚生省公衆衛生局老人保健部長通知「老人保健法による医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準について」
イ 昭和五十八年一月二十日衛老保第一号厚生省公衆衛生局老人保健部老人保健課長通知「老人の診療報酬算定に関する留意事項について」
ウ 昭和五十八年一月二十日衛老保第三号厚生省公衆衛生局老人保健部老人保健課長通知「老人病院の取扱いについて」
4 老人保健の診療方針及び診療報酬の例による六五歳以上七〇歳未満の者に係る障害程度の認定について
国民健康保険法第六条第六号の規定により同法の適用を除外されている者のうち、六五歳以上七〇歳未満の者であって老人保健法施行令別表に定める程度の障害の状態にある者の認定は、福祉事務所長が障害者加算の例により行うことが原則とされているが、これは、当該障害の状態にある者はおおむね障害者加算を計上されている者であるためである。この他の者で当該障害の状態に該当するものは、昭和五十八年一月二十四日衛老計第八号厚生省公衆衛生局老人保健部計画課長通知「医療に関する申請及び届出について」(別添3)の第一の2に示されている次の者等である。
ア 身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第五号)の四級の音声機能又は言語機能の障害に該当する者
イ 同表四級のうち下肢障害の一号、二号又は四号に該当する者
5 その他
(1) 健康保険法第五十五条等による資格喪失後の継続給付は、老人保健法による医療を受ける七〇歳以上の者等については行われないが、被保護者のうち老人保健法による医療を受けない七〇歳以上の者等については行われることとされているので、継続給付に伴う自己負担分については、必要に応じ医療扶助を行うこと。
(2) 老人保健法第十六条に基づく健康診査受診に伴う費用の徴収については、被保護世帯に属する者は免除されることとされていること。
(3) 療養の給付及び公費負担医療の費用の請求に関する省令(昭和五十一年厚生省令第三十六号)の題名の改正に伴い、生活保護法施行規則(昭和二十五年厚生省令第二十一号)第十七条第一項を改めたこと。
別添1~3 略
(別紙)略