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○医療扶助における長期入院患者の実態把握について

(昭和四五年四月一日)

(社保第七二号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)

医療扶助の運営については、昭和四十二年六月一日社保第一一七号社会局長通知「医療扶助運営体制の強化について」の趣旨に基づき、その充実強化に努められているところであるが、全国的にみると、とくに長期入院患者の有する社会的需要、出身世帯との関係、他法措置との関係等処遇充実の基礎となる実態の把握が十分行なわれているとは未だ認め難い現状である。

このような事情にかんがみ、昨年、昭和四十四年三月二十六日社保第六七号本職通知「医療扶助による長期入院患者の実態把握について」により、長期入院患者の実態につき報告を願つたところであるが、その報告を検討した結果、長期入院患者の実態を常時把握することが適切な医療扶助を行なう上で重要であることが確認し得たので、今後その実態把握を恒常的に行なうこととし、別紙のとおり「長期入院患者実態把握実施要領」を定めたので、以後、この要領に基づいて長期入院患者の実態を適確に把握し、当該患者に対する積極的かつ適切な処遇の確保に努められたい。

なお、この業務を行なうにあたつては、とくに次の点を考慮し、適正な実施を図るよう格段の配慮を煩わしたい。

1 本業務は、指定医療機関が行なう診療内容に関与する趣旨のものではなく、医療扶助による長期入院患者の有する社会的需要等の実態を把握し、実態に即応した適切な処遇を講ずることを目的とするものであること。

2 本業務を実施するにあたつては、指定医療機関に対して生活保護制度の趣旨を正しく説明して協力を求めるとともに、個別ケースの取り扱いにあたつては、主治医の意見を十分尊重すること。

3 病状上退院可能であることが明らかとなつた者については、すみやかに退院するよう取計らうとともに種々の理由で退院がさまたげられている者については、その阻害要因を検討し、所要の援護措置を講ずること。

例えば、本人および家族等に対し必要な助言指導を行なうこと。

また、公営住宅への入居、社会福祉施設への入所を適当とする者に対しては、これが優先入居または入所について積極的に斡旋または働きかけを行なう等個々のケースについて退院阻害要因の解消を図るよう配慮すること。

別紙

長期入院患者実態把握実施要領

1 目的

長期入院患者の状況を把握し、実態に即した適切な措置を講ずることにより、これら患者の処遇の充実を図ることを目的とする。

2 対象

医療扶助による入院患者であつて、その入院期間が百八十日を超える(他法又は自費による入院期間を含む。以下同じ。)の者とする。

3 検討時期

入院期間が百八十日を超えた時点とする。

4 実施主体

福祉事務所及び都道府県(指定都市及び中核市を含む。以下同じ。)本庁生活保護主管課(以下「本庁」という。)とする。

5 実施方法

(1) 準備作業

地区担当員は、入院継続百八十日を超えた時点及び百八十日を越えて引き続き入院を必要と認められた者については、その後六か月を経過した時点ごとに当該患者に係る直近の要否意見書及び過去六か月分の診療報酬明細書等を準備すること。

(2) 書面検討

嘱託医は、(1)により準備された要否意見書及び診療報酬明細書等に基づき、当該患者にかかわる今後の処遇方針を定めるうえにおいて①医療扶助による入院継続の必要があるもの ②入院継続の必要性について主治医の意見を聞く必要があるものに分類するための検討を行なうこと。

なお、精神疾患による入院患者について、嘱託医による検討が困難である場合は、精神科業務委託医師又は本庁精神科嘱託医が検討すること。

(3) 実態把握対象者名簿の整備

(2)による書面検討の結果、主治医の意見を聞く必要があると認められるものについては、様式1に準じ実態把握対象者名簿を整備すること。

(4) 実地検討

ア 主治医との連絡

(ア) 地区担当員は、「実態把握対象者名簿」に登載された患者について調査票(様式2)を準備するとともに、主治医と連絡をとり、当該患者の処遇上必要な事項について意見を聞くこと。なお、必要に応じて福祉事務所嘱託医又は精神科業務委託医師の同行訪問を求めること。

(イ) 主治医との意見を聞いた結果、入院の必要がないことが明らかとなつたものについてはその旨を、入院継続を要するものについては、主治医の見解をそれぞれ調査票に記入すること。

イ 地区担当員による実態把握

主治医訪問の結果、医療扶助による入院継続を要しないことが明らかになつたものについて、地区担当員はすみやかに、当該患者及び家族を訪問し、実態を把握するものとし、退院に伴い必要な措置の状況等を調査票に記入すること。

ウ 退院に伴う措置等

イによる実態把握の結果に基づき、当該患者の退院を阻害している要因の解消を図り、実態に即した方法により、適切な退院指導を行なうこと。

なお、この場合、退院に伴い必要な措置、例えば本法による家賃、敷金、介護料等の認定、施設入所、結核予防法、精神衛生法等他法への移替措置、介護を要する者に対するホームヘルパーの派遣等関連制度の活用、円滑な家族関係の回復についての指導等を当該患者の実態に即した方法により積極的に行なうこと。

(5) 措置状況の確認

福祉事務所長は、実態把握対象者の状況及び検討経過、措置結果等について管内の状況を常時把握しておくこと。

6 結果の報告

(1) 福祉事務所長は、毎年三月三十一日現在における実態把握対象者名簿に登載されたものの状況を別紙様式3により本庁に報告すること。

(2) 本庁は、(1)の結果をとりまとめ、別紙様式3により毎年四月末までに本職あて報告すること。

7 福祉事務所に対する指導等

本庁は、管内福祉事務所の指導監査時等において、実態把握対象者の状況、措置結果等について確認するとともに、適切な指導及び援助を行うこと。

様式1

様式2

様式3