添付一覧
○労災特別援護措置の生活保護法上の取扱いについて
(昭和四八年一一月二一日)
(社保第二〇四号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)
今般、労働省において、労災特別援護措置(別添通知写参照)を実施することになつたが、生活保護法による被保護者がこの措置を受けた場合の取扱いは、次のとおりであるので了知のうえ、保護の実施に遺憾なきを期されたい。
1 労災特別援護措置に基づく援護(以下「援護」という。)のうち診察・薬剤又は治療材料の支給・処置・手術その他の治療・病院への収容及び看護は、生活保護法による医療扶助に優先して行われるものであること。
2 援護のうち療養に要する雑費は、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づく医療手当と同様の趣旨により支給されるものであることにかんがみ、生活保護法による保護の実施要領について(昭和三十六年四月一日厚生省発社第一二三号厚生事務次官通知)第七の3の(3)のテに準じて収入として認定しないこととして差しつかえない。
なお、これが雑費の支給趣旨については、労働省と協議済であるので念のため申し添える。
〔別添〕
労災特別援護措置について
(昭和四八年八月九日 基発第四六七号)
(各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通知)
今般、別添「労災特別措置要綱」により、労災特別援護措置を昭和四十八年八月十五日から行なうこととしたので、左記によりこれが事務処理について遺漏なきを期されたい。
記
1 趣旨
労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)の施行前に鉱山等において有害業務に従事したことに起因して同法施行後にじん肺等長期間の経過後に発病する遅発性疾病にかかり療養の必要があると認められる者に対し、援護の措置を行なう必要があるので、これらの者に対し、援護を行ない、もつて福祉の増進を図るため新たに設けたものである。
2 対象
(1) 「労災特別援護措置要綱」(以下「要綱」という。)2に掲げる援護措置を受けることのできる者は、次に該当する者である。
イ 労災保険法の施行前に鉱業、採石業、窯業等の事業場に勤務し、有害業務に従事したため、労災保険法の施行後にじん肺、慢性砒素中毒等長期間の経過後に発病する遅発性疾病にかかり、現に療養の必要があると認められる者
ロ 労災保険法の施行前に鉱山等に勤務し、業務災害による外傷性せき髄損傷となり、尿路障害、じよく創等の続発症によつて現に療養の必要があると認められる者
ハ 前記イ、ロのほか、労働省労働基準局長が認めた疾病により、現に療養の必要があると認められる者
(2) (1)の者であつて、当該労働者を当該有害業務に従事させた事業主が現に存在している場合、当該労働者を当該有害業務に従事させた事業主から鉱業権又は租鉱権を承継している者、経営を承継している者等より当該疾病について療養の措置を受けている場合、又は労働基準法若しくは労災保険法の規定による災害補償若しくは保険給付を受けることができる場合は、本制度による援護の対象とならない。
(3) 労働者を有害業務に従事させた事業主又は当該事業主から鉱業権又は租鉱権を承継している者、経営を承継している者等が現に存在している場合は、当該事業主等に対し、当該労働者の疾病について療養の措置を講ずるよう指導するものとする。
3 援護の内容
援護の措置は、要綱3に定めるようにイからヘまでとし、そのうち、イからホまでについては、労災保険法における療養の給付と同じ内容である。
4 実施機関
要綱4の(1)の実施医療機関の指定は、援護対象者の所在する地域に、都道府県労働基準局長が指定する医療機関がある場合は、援護対象者の数及び分布状況等を考慮し、原則として労働者災害補償保険法施行規則第十一条の規定により指定された病院のうちから適宜指定するものとするが、当該地域に指定医療機関がない場合は、都道府県労働基準局長が適宜指定のうえ、委託するものとする。委託にあたつては、委託契約を締結し、その病院の名称、所在地等を速やかに労働省労働基準局労災管理課長あて報告するものとする。
5 申請手続
(1) 援護を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、要綱5に定めるところにより、「労災特別援護措置申請書」(様式第1号)と次に掲げる資料を付して、その者の住所地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄署長」という。)を経由して所轄署長の管轄区域を管轄する都道府県労働基準局長に提出させるものとする。
イ じん肺に係るエックス線写真
ロ 鉱山等に勤務し、有害業務に従事していたことを証明できる資料
ハ 前記のほか、援護対象者に該当することを確認するために必要な資料
(2) (1)により申請があつた場合には、別紙様式1の「労災特別援護措置原簿」(以下「原簿」という。)の該当欄に必要事項を記入するものとする。
6 請求事務
(1) 要綱6の(1)により委託を受けた医療機関からの医療措置に要した費用の請求は、労災保険の療養補償給付の診療の場合と同様に行なうこととするよう指導するものとし、当該医療措置に要した費用の請求があつた場合には、その内容を審査するものとする。
(2) 療養に要する雑費の請求は、要綱6の(3)により行なうものとするが、その支払期月は、事務簡素化等のため、毎年二月、五月、八月、一一月の各月とし、支給すべき事由の存する月分の経過後に三か月分を一括して請求させるものとする。この場合、支給すべき事由の有無については、各月ごとに確認し、支給決定を行なうものとする。
(3) 前記(1)又は(2)の請求があつた場合には、原簿の該当必要事項欄に明記するものとする。
7 支出事務
前記6の(1)及び(2)の医療機関からの「療養の費用」の請求及び申請者からの「療養に要する雑費」の請求があつた場合の支出事務については、次により行なうものとする。
(1) 支出負担行為取扱規則(以下「規則」という。)第十四条の規定による支出負担行為の整理区分及び支出負担行為に必要な書類は、次によること。
イ 「療養の費用」の支出負担行為の整理区分は、規則別表甲号「18 委託費」によることとし、支出負担行為として整理の時期は、請求のあつたとき、その必要な書類は、医療機関からの「労災特別援護措置に係る委託費請求書」(診療内訳書添付)とすること。
ロ 「療養に要する雑費」の支出負担行為の整理区分は、規則別表甲号「26 保険金の類」によることとし、その必要な書類は、申請者からの「療養に要する雑費の支給請求書」とすること。
(2) これらの費用を支出するときは、それぞれの当該請求書に基づき、「支出負担行為及び支出決議書」を作成し、一般的な支出事務と同様に処理すること。この場合、二以上の者に隔地払又は銀行等への口座振込の方法による支払いをするときは、「支給調書」を作成して一括決議して処理すること。
(3) 会計検査院に提出する支出計算書の証拠書類は、「領収証書」、「支出負担行為及び支出決議書」、「支給調書」及び「労災特別援護措置に係る委託費請求書(原本)又は療養に要する雑費の支給請求書(原本)」とし、支出官が控として保管する証拠書類(副本)の綴には、「決議書(副本)」に「支給調書」及び複写等により作成した「労災特別援護措置に係る委託費請求書(写)又は療養に要する雑費の支給請求書(写)」を添付して編てつしておくこと。
8 報告
要綱7の(1)による報告は、別紙2の様式2の「労災特別援護措置(医療)状況報告書」により、前年度分を四月三十日までに提出させるものとする。
9 様式
要綱に定める諸様式(様式第一号から様式第六号まで)については、別途管理換する予定であるが、それまでの間、定められた様式をもとに適宜印刷のうえ、使用されたい。
様式 略
(別添)
労災特別援護措置要綱
1 趣旨
労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)施行前において鉱山等で有害業務に従事したことにより、現在じん肺等にかかつている者の生活状態等にかんがみ、その援護を行なうとともにこれらの長期間の経過後に発病するいわゆる遅発性の疾病について発生のメカニズム等を調査研究して職業性疾病の予防に資する必要があるので労働者災害補償保険の保険施設として必要な援護に併せ調査研究を行ない、労働者の福祉の増進を図るものとする。
2 対象
労災保険法の施行(昭和二十二年九月一日)前に鉱山等に勤務し、有害業務に従事したため、労災保険法の施行後に、じん肺等長期間の経過後に発病する遅発性疾病にかかつた労働者又はこれに準ずる労働者であつて、療養の必要があると認められるものとする。ただし、次に掲げるものを除く。
(1) 当該労働者を当該有害業務に従事させた事業主が現に存在している者
(2) 当該労働者を当該有害業務に従事させた事業主から鉱業権又は租鉱権を承継している者、経営を承継している者等より当該疾病について療養の措置を受けている者
(3) 労働基準法又は労災保険法の規定により、当該疾病につき災害補償又は保険給付を受けることができる者
3 援護の内容
申請について承認した日から援護すべき事由が消滅する日までの間、援護として疾病の治療に必要な次に掲げる医療措置を行なうものとする。
イ 診察
ロ 薬剤又は治療材料の支給
ハ 処置、手術その他の治療
ニ 病院への収容
ホ 看護
ヘ 療養に要する雑費の支給
4 実施機関
(1) 医療措置(療養に要する雑費の支給を除く。)は、労災病院及び都道府県労働基準局長が指定する医療機関に委託して行なうものとする。
(2) 委託を受けた医療機関は、この要綱の定めるところにより実施するものとする。
(3) 療養に要する雑費の支給は、援護を受けようとする者(以下「申請者」という。)の住所地を管轄する都道府県労働基準局長(以下「所轄局長」という。)が行なうものとする。
5 申請の手続
(1) 申請者は、「労災特別援護措置申請書」(様式第1号。以下「申請書」という。)を申請者の住所地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄署長」という。)を経由して所轄局長に提出するものとする。
(2) (1)の申請書には、次に掲げる書類その他の資料を添えなければならない。
イ じん肺等に関する医師の診断書
ロ その他所轄署長が必要と認めて提出を指示する資料
(3) 所轄署長は、申請書を受理したときは、その内容を検討し、援護すべき事由の有無について意見を付して当該申請書を所轄局長に進達しなければならない。
(4) 所轄局長は、(3)の進達にもとづき援護の承認・不承認の決定を行ない、「労災特別援護措置承認・不承認決定通知書」(様式第2号)をもつて申請者に通知しなければならない。
6 費用の請求等
(1) 委託を受けた医療機関が3のイからホまでの医療措置を講じた場合の当該医療措置に要した費用の請求は、「労災特別援護措置に係る診療委託費請求書」(様式第3号)に「診療費内訳書」(様式第4号又は様式第5号)を付して所轄局長に提出して行なうものとする。
(2) 委託を受けた医療機関が請求できる額は、援護の承認を受けた者に講じた医療措置に要した費用で労災保険法の療養補償給付についての診療費の額の算出方法の例により算出した額とする。ただし、援護の承認を受けた者が国民健康保険法、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法又は条例等の法令の規定により国又は地方公共団体の負担において3のイからホまでに相当する給付を受けている場合は、これらの給付に相当する額を控除した額とする。
(3) 3のヘの療養に要する雑費の請求は、「療養に要する雑費の支給請求書」(様式第6号)を毎年二月、五月、八月、一一月の各月に、その各月の前三か月分(支給すべき事由の存する月分に限る。)について所轄局長に提出して行なうものとする。
(4) 療養に要する雑費は、入院療養者(その月において入院療養した日がある者をいう。)にあつては一月につき一万円とし、通院療養者(その月において入院療養した日のない通院療養者をいう。)にあつては、その月において通院日数が七日をこえる場合は四○○○円、その月において通院日数が一日以上七日以下のものは三○○○円とする。
(5) 所轄局長は、(1)の労災特別援護措置に係る診療委託費請求書及び(3)の療養に要する雑費の支給請求書を受理したときは、内容を審査したうえ、当該金額を(項)保険施設費(目)診療委託費から支払うものとする。
7 報告
(1) 委託を受けた医療機関は、年一回、医療措置を講じた者の症状等について所轄局長に報告するものとする。
(2) 所轄局長は、(1)による報告書を労働省労働基準局長に送付しなければならない。
8 実施期日
この労災特別援護措置は、昭和四十八年八月十五日から実施するものとする。
様式 略