添付一覧
○授産事業の経理について
(昭和二五年八月二五日)
(社乙発第一三五号)
(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)
授産事業の経理については本年四月十日社乙発第五一号「授産事業の刷新について」により通知した処であり、又これが経理方法については、過般の授産事業に関するブロック別会議において指示したので遺憾なく実施のことと存ずるが、細部については別添のとおり授産事業の経理要領の原則を示すから、授産事業の健全なる運営の指導育成に遺憾のないよう努められたい。
〔別添〕
授産事業経理要領
一 保護授産事業の経理要領
(一) 事務費に計上する支出科目
1 職員の給与(俸給、家族手当、勤務地手当、被服手当、超過勤務手当、健康保険料等)
2 通信費(郵便、電信、電話料等)
3 修理費(調度、備品の修理)
4 消耗品費 (純然たる事務用消耗品を云い、事業上使用するものは含まない。)
5 電気料(作業場以外の事務用電灯、電熱代等)
6 地代
7 交通費(職員旅費一人に伴う旅費及び運営上の資材入手、製品販売並びに拡張等のための各地出張電車、汽車、自動車賃等)
8 燃料費(事務上における暖房その他のガス代等)
9 厚生費(職員の衛生、体育等の福利厚生費)
10 水道料
11 火災保険料(家屋、動産等「事業運営用を除く。」に対する保険料)
12 印刷費(事務用、協議会用各種印刷代、製品販売、宣伝等)
13 雑費(新聞、書籍代、ラジオ聴取料、借料、損料、便所汲取料、接待用食費その他運営上特に必要な会費等)
(二) 事業費に計上する支出科目
1 工賃(例 縫製賃、裁断料、仕上代等の一切を含む。但し、指導員が直接行う裁断、仕上料等は工賃と認められない。これらは原則として給与中よりまかなわれるべきであること。)
2 原材料費 (副資材を除く主要資材―原反、木材、竹材等)
3 附属材料費(例 糸、釦、芯、裏地、ホックス等)
4 梱包荷造費(製品発送等に要する紙、莚代、箱、縄代等)
5 光熱費(事務用を除く作業場の電灯、電熱料及び動力用電気料)
6 消耗品費 (事務用を除くもの 例 ベルト、ミシン針、油類、小物器具、その他)
7 機械修繕費(備付機械、工具類等の修理代)
8 運搬費(イ 製品又は資材等の自動車、三輪車等による運送費)
(ロ 指導員、作業員が運搬のため、又は運搬)に附随する場合の出張旅費)
(ハ 運搬に伴う人夫賃、車馬賃等)
9 火災保険料(作業場及び資材、製品その他の動産に対する火災保険料)
10 福利費(作業員の衛生、体育等の福利厚生費)
11 その他(製品減損代、仕掛品代、運転資金を借入した場合等における借入金利息、回収不可能金等)
(三) 減価償却費
1 公営保護施設の減価償却費については、償却の対象となり得るものでも事業費に計上経理せざること。
2 民営保護施設の減価償却費は、公費(国庫補助金を含む。)寄附金として賄い得るものであるから、公の補助又は寄附金等を受けた部分の金額に相当する償却費は、事務費及び事業費に計上せざることとし、公費に相当しない部分のその他のものは償却費に計上して差し支えないこと。
(四)1 生業扶助の適用をうけない作業員については本人の作業収入を充分考慮して事務費の基準額の範囲内の金額を事務費として徴収計上しても差し支えないがこれによる区分は明確にして事務費と事業費を流用せざること。
2 指導員の俸給は、技術者の建前から他の職員の給与より幾らか高率に定めるよう考慮し、指導員が直接行う裁断、仕上料等は工賃として差し引かぬよう取り計うこと。
二 社会福祉事業法〔社会事業法〕による授産事業経営費の経理要領
(一) 社会福祉事業法〔社会事業法〕による授産事業は、左に掲げるものを除く外は、保護授産事業経営費の経理要領によること。
1 事務費は、保護施設事務費基準額に準じた金額を作業員より徴収して差し支えないが、保護授産事業におけると同様の支出科目を設け経理すること。
2 事業費中の支出金額は、でき得る限り小範囲に止め、作業員に支払われる工賃をなるべく高率にするよう措置し、この工賃は保護授産事業の(二)の1に定める要領によりその経費は正確にすること。
3 減価償却費については、事務費、事業費中の支出科目に償却費を計上して差し支えないが具体的項目の例としては、左の如きものとすること。
(1) 事務費 土地建物償却費、什器備品償却費等
(2) 事業費 機械償却費、附属器具償却費、電動機償却費、機械据付費償却費、電気設備費償却費、工場設備器具償却費等
4 公租、公課は、事務費、事業費中に計上すること。