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○小地域社会福祉協議会組織の整備について
(昭和二七年五月二日)
(社乙発第七七号)
(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)
全国の都道府県社会福祉協議会は、一応昨年十二月をもつて全部その結成を完了し、現在頗る順調な発展を遂げつつあることは貴職始め関係者各位の御尽力の賜であり、誠に御同慶に堪えないところである。
しかしながら、社会福祉協議会活動の末端組織として実際活動を行うべき郡市町村等小地域社会における住民は、共同募金運動等を通じて、その地域社会の福祉増進に深い関心を有し、社会福祉協議会結成の機運はつねに醸成せられていることと思料せられるにも拘らず、その結成並びに活動状況は、未だ満足すべき域に達していないので、今後更に貴職の御支援により社会福祉協議会活動が円滑に推進できるよう左記事項を御留意のうえ、都道府県社会福祉協議会とも連絡し、一層の御協力をお願いいたしたい。
記
(目的理念の普及)
1 郡市町村の地域住民に対し、住民の社会福祉に関する関心と理解を深め、各種機関、団体の行う福祉活動の連絡調整を図ることによつて地域社会の福祉を増進するという社会福祉協議会(以下協議会という。)の目的理念を各種関係機関(福祉事務所、市役所、町村役場、公私社会福祉事業施設、民生委員等。)を通じ、具体的な例をもつて啓蒙し、地域住民の十分な理解と協力のもとに自発的且つ民主的に組織されるよう努めること。
(公的扶助との関連性)
2 福祉事務所の管轄区域内の協議会設置により生活保護法その他公的社会福祉事業は、地域住民の真心からの援助により円滑に実施され、その効果を挙げ得るので、その設置に努力願いたいこと。従つて郡市町村等小地域における協議会の育成、指導等の業務は事務に支障がない限り福祉事務所とすることが望ましいこと。
(民生委員との関係)
3 民生委員が本来の民間篤志奉仕者として地域社会の福祉増進を図るためにも協議会は、その母体となり拠点ともなるので、協議会の結成に意を注ぎ、その活動を推進されるよう指導されたいこと。
(小地域の協議会の特色)
4 社会福祉を目的とする事業に対する関心の程度は地域により異なるので、町村など小地域の協議会は、夫々その地域の実情に応じて特色のある構想と仕組をもつてつくられるべきで、画一的に定められるべきものでないことは勿論又その事業も、緩急軽重に応じ総花的でなく実施されるよう指導すること。
(組織の長)
5 比較的規模の小さい町村における協議会は、その性格上凡そ地域の福祉に関連のあるものは官公私の施設たると、個人たるとを問わず一体となつて参加協力することが特徴であるので、その組織の長は、協議会活動に理解と熱意とを持つ人であれば、誰れでも差し支えない性質のものである。
従つて町村長がその組織の長となることも考えられること。
(財政的裏付)
6 町村等小地域における協議会の経費は、共同募金よりの配分金及び構成員からの会費等をもつて充てられるべき性質のものであるが、協議会活動は、町村の福祉を増進し、住みよい環境をつくることを目的としているものであるから結局町村の行政目的と一致し、これを助長する役割をも果すものであり、且つ町村当局も当然協議会の一構成員となるのであるから、分担金とか委託金とかを支出されるよう指導されたいこと。
なお、中央においても地方財政平衡交付金に市町村社会福祉協議会交付金として財政措置を講じているから承知願いたいこと。