添付一覧
○覚せい剤取締法及び同法施行規則の一部改正並びに覚せい剤取締法関係手数料令の制定について
(昭和四八年一一月六日)
(薬発第一〇九〇号)
(各都道府県知事・各地区麻薬取締官事務所長あて厚生省薬務局長通知)
昭和四十八年十月十五日法律第百十四号をもつて覚せい剤取締法の一部を改正する法律が、十一月六日政令第三百三十四号をもつて覚せい剤取締法関係手数料令が、また、同日厚生省令第四十九号をもつて覚せい剤取締法施行規則の一部を改正する省令が、それぞれ公布され、いずれも十一月十五日から施行されることになつたので、特に次の事項について御了知のうえ、指導、取締りについて特段のご配意をお願いする。
記
第一 法律改正の内容
1 覚せい剤原料の規制強化等について
(1) 覚せい剤原料輸入業者及び輸出業者の指定に関する制度を新設し、覚せい剤原料の輸入又は輸出は指定を受けた者でなければこれを行うことができないこととしたこと。
(2) 覚せい剤原料の製造、譲渡、譲受、使用等については、薬事法の規定に基づく医薬品製造業、薬局開設又は医薬品販売業の許可を受けている者についても、覚せい剤原料製造業者又は覚せい剤原料取扱者の指定を要することとしたこと。ただし、薬局開設者が処方箋により調剤した医薬品である覚せい剤原料を譲り渡す場合には当該指定は要しないこと。
(3) 覚せい剤原料を譲り渡し、又は譲り受ける場合には、厚生省令で定めた様式による譲渡証及び譲受証をもつて行うこととしたこと。
(4) 覚せい剤原料の保管は、かぎをかけた場所において行わなければならないこととしたこと。
(5) 覚せい剤原料を廃棄するときは、所在地の都道府県知事に届け出て当該職員の立会の下に行うこととしたこと。
(6) 覚せい剤原料に関する指定を受けた者は、帳簿を備え、輸入し、輸出し、製造し、譲り渡し、譲り受け、又は業務若しくは研究のため使用した覚せい剤原料の品名及び数量等を記入し、二年間保存することとしたこと。
(7) 指定の申請に対する審査に要する手数料を政令で定めることとしたこと。
(8) 法第二十六条(違法の覚せい剤の処分)の規定を削除することとしたこと。従つて、今後は違法の覚せい剤及び覚せい剤原料については、行政上の処分はできないこと。
2 罰則の強化について
別添「覚せい剤取締法(新・旧)罰則一覧表」のとおり罰則を強化したところであるがその主な内容は次のとおりであること。
(1) 違反行為をその行為の態様に応じ「覚せい剤又は覚せい剤原料の輸入、輸出及び製造」、「覚せい剤又は覚せい剤原料の譲渡、譲受、使用、所持及び施用」等に分類し、それぞれに応じた刑の引上げを行なつたこと並びに常習犯及び営利常習犯を廃して単純犯及び営利犯としたこと。
なお、覚せい剤又は覚せい剤原料の輸入、輸出及び製造については、その予備を罰することとしたこと。
(2) 新たに「覚せい剤又は覚せい剤原料の密輸出入及び密造に要する資金、建物等の提供」及び「覚せい剤又は覚せい剤原料の不正取引の周旋」は独立の罪として罰することとしたこと。
3 別表の改正について
別表の覚せい剤原料中エフェドリン及びメチルエフェドリンの規制の除外範囲を一○%以下とすることとしたこと。
4 経過措置について
(1) 改正前の法律(以下「旧法」という。)で指定を要せず、覚せい剤原料の製造、販売等を行うことができた者(薬事法の規定に基づく医薬品製造業等の許可を受けた者)は、改正後の法律(以下「新法」という。)の施行の日から三○日間は新法の規定により指定を受けた者とみなされて新法の適用を受けることとしたこと。又その者がその期間内に当該指定の申請をしている場合は、その期間の経過後も当該指定に係る処分があるまでの間は、同様とすること。
(2) 新法の施行の際、現に覚せい剤原料の輸入の許可を受けている者は、その許可された覚せい剤原料を輸入した日から六○日間は所持、譲渡ができることとしたこと。
(3) 新法の施行の際、現に覚せい剤原料の輸出の許可を受けている者は、新法の施行の日から三○日間は輸出、所持、譲渡、譲受けができることとしたこと。
第二 政令の内容
覚せい剤取締法の一部を改正する法律の施行に伴い、覚せい剤製造業者等の指定の申請に要する手数料の額及び指定証の再交付の申請に要する手数料の額をそれぞれ定めたこと。
第三 省令改正の内容
1 覚せい剤取締法(以下「法」という。)第三十条の二の規定に基づく覚せい剤原料輸入業者等の指定に関する基準を改めたこと。
2 法第三十条の五において準用する第四条の規定に基づく覚せい剤原料輸入業者等の指定申請書の様式を改めるとともに法第三十条の五において準用する第五条の規定に基づく指定の申請者に交付する指定証の様式を改めたこと。
3 法第三十条の十の規定に基づき、譲渡証及び譲受証の様式を新たに定めたこと。
4 法第三十条の十三の規定に基づき、覚せい剤原料の廃棄の届出書の様式を新たに定めたこと。
第四 施行に伴う留意事項
1 法改正に伴い、新たに指定を要する者(薬事法の規定に基づき医薬品製造業等の許可を受けている者)に対しては、法施行後三○日間は製造、販売等が引き続きできることとなつているが、できるだけすみやかに指定の申請を行うよう指導されたいこと。
2 覚せい剤原料輸入、輸出業者の指定申請書の進達に当たつては、その者の経歴、保管設備等十分審査の上副申されたいこと。
3 法第三十条の四、法第三十条の五において準用する法第十一条及び第十二条並びに法第三十条の十四及び法第三十条の十五に規定する申請書及び届出書については、「覚せい剤取締法の施行について」(昭和二十六年七月二十日、厚生省発薬第二九三号各都道府県知事あて厚生事務次官通知)「5 届出、報告及び帳簿記載等」を準用すること。
別添略