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○司法警察員としての麻薬取締員に対する都道府県知事の指揮監督について

(昭和三五年八月二日)

(薬麻第五五〇号)

(各都道府県衛生主管部長あて厚生省薬務局麻薬課長通知)

先般開催した第一○回麻薬取締職員研修会の席上、麻薬取締法第五十四条第五項の規定に基づき麻薬取締員が司法警察員としての職務を執行するに当つての都道府県知事の指揮監督について質疑があつたが、これについては積極に解されたい。

なお、漁業監督吏員が司法警察員としての職務を行う場合都道府県知事の指揮監督についての質疑応答(長崎県議会事務局長対法務省刑事局)を参考まで送付する。

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(昭和三五年六月二○日 法刑第五一三号)

(法務省刑事局総務課長あて長崎県議会事務局長照会)

漁業法の疑義について

さきに、三五議第三○六号をもつて照会致しました標記について、恐縮ながら、その内容を左記のとおり差替え変更致しますので、よろしく御了承の上、至急御回示賜りますようお願い致します。

1 漁業法にいう司法警察員は、知事の指揮監督を受けるのであるか。

2 知事の指揮監督を受けないとすれば、検察官の指揮監督を受けるのであるか。

3 前記いずれでもない場合、その部内の秩序統制は如何にして保つのであるか。

4 麻薬法にいう麻薬取締員は、知事の指揮監督を受けると明記してあるが、漁業法にいう司法警察員もこれと同様に解すべきか、又は消極に解すべきか。

(付記)

照会先

水産庁漁業課長、自治庁行政課長、法務省司法法制課長

(昭和三五年六月二○日 法務省刑事第五一三号)

(長崎県議会事務局長あて法務省刑事局総務課長回答)

昭和三十五年四月十六日付三五議第三○六号をもつて当法務省大臣官房司法法制調査部司法法制課長あて照会のあつた標記の件につては、当局の所管であるので、当職から、左記のとおり回答します。

第一 貴問1について

地方自治法第百五十四条によれば、都道府県知事は、その補助機関たる職員を指揮監督すべきものとされ、これには、身分上の監督権と職務執行に関する指揮監督権とが含まれる。しかし、後者の指揮監督権の範囲については、当該都道府県の処理すべき事務又は法令により都道府県知事の権限とされた事務に限るものと解すべきである。

ところで、漁業監督吏員であつて都道府県知事が当該都道府県を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議をして指名したものが行う司法警察員としての職務は、都道府県の処理すべき事務又は法令により都道府県知事の権限とされた事務の範囲外であるから、都道府県の職務執行に関する指揮監督権の対象にはならないものと解する。

しかしながら、一面、漁業監督吏員は、漁業に関する法令の励行に関する行政事務に関しては、都道府県知事の補助機関として、その指揮監督に服するのみならず、一般的に都道府県知事の任免、懲戒等身分上の監督権に服するものであるから、都道府県知事において、その職務執行が適正に行われるかどうかについて監督し得ることはいうまでもない。

したがつて、都道府県知事は、漁業監督吏員が司法警察員としての職務を行なうにあたつて、職務執行上の具体的な指揮監督をすることはできないけれども、司法警察員としての職務執行と密接な関係にある行政上の取締りに関する指揮監督権を有するのみならず、司法警察員としての職務執行についても、身分上の監督権の発動として、職務の適正な執行を担保するため服務に関する一般的準則を定め、あるいは、職務上の義務に違反し又は職務を怠る等適正に職務を執行しなかつた者に対して懲戒を行う等の措置をとることはできるのであるからこれによつて部内の秩序統制は保ち得るものと解する。

第二 貴問2について

漁業監督吏員が司法警察員として職務を行なうにあたつては、検察官と互いに協力すべく(刑事訴訟法第百九十二条)、また、検察官の一般的指示、一般的指揮及び具体的指揮に従うべき(同法第百九十三条)であることはいうまでもない。

しかし、検察官は、当該吏員に対する身分上の監督権を有しないから、当該吏員は右指示又は指揮に従わない場合、都道府県知事に対して、その懲戒又は罷免の訴追をすることができるにとどまるが、当該都道府県知事は、右訴追が理由あるものと認めるときは、その本来有する身分上の監督権に基づき、懲戒し、又は罷免しなければならないものとされている(同法第百九十四条、「刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒処分に関する法律」参照)。

第三 貴問3について

第一参照

第四 貴問4について

漁業監督吏員が司法警察員としての職務を行なう場合における都道府県知事の指揮権について明文のない以上、消極に解すべきである。

なお、前記第一参照