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○麻薬取締法施行上の疑義について
(昭和三一年三月一四日)
(薬第五四七号)
(厚生省麻薬課長あて愛媛県衛生部長照会)
昭和三十一年四月一日から実施される医薬分業を目睫に控えて、麻薬小売業者(薬局)の麻薬取扱指導にあたり左記の点につき疑義が生じましたのでこれが取扱について、貴職の御見解を御教示願います。
記
1 麻薬処方せんの記載事項について
医師の処方せんに記載すべき事項は医師法施行規則第二十一条に規定されているので、麻薬取締法第二十七条第四項の麻薬処方せんの規定は、医師法施行規則の処方せん記載事項の特例と考えられますが、現行の麻薬処方せんの規定は一応医師法施行規則とは別に麻薬取締法として独立した形式をとつているに拘らず「患者の年令」を記載すべき規定がないため、調剤上不備な処方せんでありながら法的には正常な麻薬処方せんであると解される。
医薬品である麻薬はすべて、毒薬、劇薬等に属しており、調剤上、患者の年令は重要な要素であるから、当然麻薬処方せんの記載事項には患者の年令が必要であると指導を行つているが、法文中明記すべきではないか。
2 麻薬小売業の免許を受けた薬局における燐酸コデインの調剤について薬局には燐酸コデイン散と家庭麻薬である燐酸コデイン百倍散の使用が考えられるが
1 燐酸コデインが処方されている麻薬処方せんで家庭麻薬「燐酸コデイン百倍散」を調剤して与えることは、麻薬取締法には牴触しないが薬事法第二十四条(昭三一、四、一、施行、昭二六、法律第二百四十四号)第一項に牴触すると解してよろしいか。
2 燐酸コデインが処方された処方せん(麻薬処方せんに非ず)が提出された場合、薬剤師は医師に対し、麻薬取締法に規定する麻薬処方せんの形式に改めさせた上、麻薬である燐酸コデインを調剤すべきが望ましいと考えられるが、そのまま家庭麻薬「燐酸コデイン百倍散」で調剤することは、麻薬取締法に牴触するか、するとすれば、その根拠。
3 この場合医師の処方する燐酸コデインとは特に「家庭麻薬燐酸コデイン」と処方せんに明記しない場合はすべて麻薬である燐酸コデインを指すものであると解して指導すべきであるか。
(昭和三一年六月二二日 薬麻第五三三号)
(愛媛県衛生部長あて厚生省麻薬課長回答)
昭和三十一年三月十四日薬第五四七号により照会のあつた標記の件につき左記のとおり回答する。
記
1 麻薬取締法第二十七条第四項は、必ずしも医師法施行規則第二十一条、歯科医師法施行規則第二十条の全面的な特例となるものではなく、麻薬取締の見地から麻薬処方せんとして必要にして不可欠な記載事項のみを特に規定したものであり、患者の年令等本条に規定されていない事項であつても医師法施行規則第二十一条に規定されている事項については、当然記載しなければならないものであるから、十分なる指導をわずらわしたい。
2 1及び2
麻薬処方せんとは麻薬を記載した処方せんをいうものであり、照会の燐酸コデインが処方された処方せんは当然に麻薬取締法第二十七条第四項の規整をうける。従つて、麻薬小売業者は麻薬施用者に対し、法第二十七条第四項の記載事項が完全に記載された処方せんの提出をもとめ、麻薬である燐酸コデインにより調剤すべきである。
この場合、麻薬小売業者が家庭麻薬「燐酸コデイン百倍散」により調剤することは、必ずしも薬事法第二十四条第一項に牴触するものではないが、麻薬取締上弊害を生ずるおそれがあるので、麻薬処方せんを所持する者に対しては当該処方せん記載の麻薬を調剤して譲り渡すよう指導されたい。
3 貴見のとおり。