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○遺失物たる麻薬等の取扱について
(昭和三二年二月七日)
(北麻調第六九号)
(厚生省薬務局麻薬課長あて北海道地区麻薬取締官事務所長照会)
遺失物たる麻薬及びあへんについてその取扱上左記の点について疑義があるので至急御回報煩したく照会します。
記
1 遺失物法(明治三十二年法律第八十七号)第八条第三項によれば法令ノ規定ニ依リ私ニ所有所持スルコトヲ禁シタル物件ヲ拾得シタル者ハ所有権ヲ取得スルノ限ニアラス
とあるが、麻薬取扱者、麻薬診療施設の開設者及び麻薬研究施設の設置者が拾得した場合についても本条の適用があるか、又適用がないものとすれば麻薬取締法上における取扱方法について
2 遺失物法第十五条には
本法ノ規定ニ依リ警察署長ノ保管スル物件ニシテ交付ヲ受クル者ナキトキハ其ノ所有権ハ当該警察署長ノ属スル地方公共団体ニ帰属スル
とあるが、麻薬取締法及びあへん法には遺失物たる麻薬及びあへんに関する特別の規定がなく、従つて同条の規定に該当する場合における麻薬及びあへんの帰属先及び取扱方法について
(昭和三二年六月二七日 薬麻第五四七号)
(北海道地区麻薬取締官事務所長あて厚生省薬務局麻薬課長回答)
昭和三十二年二月七日北麻調第六九号により照会の標記の件について、左記のとおり回答する。
記
1 麻薬は法令の規定により私に所有所持を禁じている物件であるが、遺失物たる麻薬を拾得した者が適法に麻薬を所有し得る者である場合には遺失物法第八条第三項の規定は適用を除外され、拾得者は所有権を取得し得る。大麻又はあへんについても同様である。ただし、遺失物たる麻薬、あへん等はその性質からみて、遺失物法第十一条に規定する犯罪者の置き去りたるものにして法律の規定により没収するものに該当する場合が多く、この場合には拾得者は所有権を取得し得ない。これは遺失物法第八条第三項の適用の有無とは別の問題であるが念の為。
又拾得者が遺失物たる麻薬等の所有権を取得する場合には、麻薬取締法、大麻取締法又はあへん法の規定により取得した麻薬等と同様にその取扱について同法の制限を受ける。
二 遺失物法の規定により警察署長の保管する物件で交付を受ける者がないときは、その所有権は当該警察署の属する地方公共団体に帰属し、国庫に帰属しない。これは麻薬及びあへんについても適用される。
この法律の規定により地方公共団体に帰属した麻薬の取扱、処分等は、麻薬取締法の規定により制限をうけ、麻薬を譲渡する場合は麻薬取締法第二十四条第十項の規定により、麻薬を廃棄する場合は同法第二十九条の規定により、厚生大臣の許可を受けなければならない。
遺失物法の規定により地方公共団体に帰属したあへん又は大麻も前記同様あへん法又は大麻取締法の制限をうけ、あへんを譲渡する場合あへん法第七条第一項の規定により国以外の者に譲渡することができず、あへんを廃棄する場合は同法第十条の規定により厚生大臣の許可をうけなければならない。
また、大麻を廃棄する場合は制限がなく、大麻を譲渡する場合は、大麻取扱者以外の者が譲渡することについて大麻取締法に規定がないので、できるかぎり廃棄されたい。