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○薬物依存性に関する動物実験と臨床観察の適用範囲と実施要領について

(昭和五〇年三月一四日)

(薬麻第一一三号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局麻薬・審査課長連名通知)

医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な添付資料については、従来、昭和四十二年十月二十一日薬発第七四七号薬務局長通知「医薬品の製造承認等に関する基本方針の取扱いについて」別紙2により行つているところであるが、今般標記実施要領を別紙のとおり定めたので、同実施要領のⅡ適用範囲に該当する医薬品を申請する場合は、薬物依存性に関する資料として、同実施要領に基づいて行つた試験資料を提出するよう貴管下関係業者に対し周知方御配意願いたい。

〔別紙〕

薬物依存性に関する動物実験と臨床観察の適用範囲と実施要領

Ⅰ 目的

この試験は、薬物の依存性、乱用の可能性および乱用による保健衛生上または社会上の危害を予測するため必要な知見を得ることを目的とする。

Ⅱ 適用範囲

原則として、薬理学的に中枢神経作用を有する薬物を本試験の対象とする。

ただし、従来依存性のないことまたは乱用されないことが知られている左記の系列の化合物で、化学構造、薬理作用および使用目的(効能、効果)のうえから特にその系列にとつて異質的薬物ではないとみなされるものは除外することができる。

〔記〕 1 クロルプロマジン、ハロペリドール、レセルピン

2 イミプラミン、アミトリプチリン

3 アスピリン、アミノピリン

4 インドメタシン、フルフエナム酸

5 カンフル、ピクロトキシン、ペンテトラゾールストリキニーネ

Ⅲ 試験方法

A 動物実験

1 中枢神経作用

中枢神経作用については、動物の行動を異常に導くような作用の有無および程度が検索可能な実験方法を用いる。薬物の自発的摂取行動に対する強化作用がみられる場合には、用量を制限せず自由に摂取させた際の中枢神経作用の発現状況を観察する。

2 耐性

耐性の検討がなされていない場合には、主な薬理作用について耐性に関する実験を行う。

3 依存性

依存性に関する動物実験においては、原則として薬物の精神依存性および身体依存性について検索するものとし、実験方法は比較的弱い依存性を有する既知の標準的薬物の依存性についても検出可能なものとする。

(a) 身体依存性

身体依存性に関する実験方法としては、原則として、依存形成の実験および交差依存性に関する実験を実施する。ただし、いずれか一方の実験で身体依存性があることおよびその程度が明らかな場合は、他方を省略できる。

(1) 依存形成の実験に際しては、投与条件(投与量、投与間隔、投与期間)を十分に考慮のうえ禁断症状の観察を行う。

(2) 交差依存性に関する実験は、原則として、麻薬性鎮痛、鎮咳薬に類似した化学構造または薬理作用を有する薬物についてはモルヒネ型身体依存が、その他の中枢抑制薬にあつてはバルビタール型身体依存が形成されている動物を用いる。

(b) 精神依存性

精神依存性を調べる実験法としては、薬物摂取に対する欲求または自発的摂取行動に対する強化作用の有無および程度が検索可能な実験を行う。その際の投与経路は原則として中枢神経作用の発現が速やかかつ強い方法を選ぶ。

B 臨床観察

依存性動物実験の成績を参考として、ヒトに依存を起すおそれのある薬物については、有用性(有効性および安全性)に関する臨床試験を実施する際に、依存性につながる可能性のある諸反応の発見を目的とする綿密な臨床観察を薬物使用中のみならず使用中止後も適当な期間行う。

前記の諸反応とは、服薬体験、継続使用の欲求、用量の増加、不安および睡眠障害等をいう。