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○麻薬取締官及び麻薬取締員が行ないうる権限について
(昭和三五年一一月一一日)
(新聞発表)
麻薬取締法第五十八条において
麻薬取締官及び麻薬取締員は、麻薬に関する犯罪の捜査にあたり、厚生大臣の許可を受けて、この法律の規定にかかわらず、何人からも麻薬を譲り受けることができる。
また、あへん法第四十五条において
麻薬取締官及び麻薬取締員は、あへん又はけしがらに関する犯罪の捜査にあたり、厚生大臣の許可を受けて、この法律の規定にかかわらず、何人からもあへん又はけしがらを譲り受けることができる。
と規定されている。これは麻薬取締官又は麻薬取締員が麻薬、あへん又はけしがらに関する犯罪の捜査に従事する場合自から麻薬、あへん又はけしがらを譲り受けなければならないことが当然起りうると予想されるので、たとえ形式的には他の法条に違反するような行為であつても当然違法性が阻却されるべき旨の規定と解すべきである。しかしながらたとえ職務行為として行なう場合でも麻薬を譲り受けると云うことは重大なことであり、特に慎重に行う必要があるので、厚生大臣の許可を受けた場合に限り何人からも麻薬、あへん、又はけしがらを譲り受けることができると規定されたものであつて、その譲り受けについても当然麻薬取締官又は麻薬取締員が直接行なうべきである。
以上が麻薬取締官、麻薬取締員が行ないうる権限であり、この限度をこえたものについては当然許されないもので、したがつて麻薬取締官及び麻薬取締員自身は勿論のこと、その使用する情報提供者等に対しても麻薬等の密売をさせたり又は密売をさせるような暗示を与える等限度を越える行為は許されるべきものではない。