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○刑事訴訟法の一部改正による麻薬取締について

(昭和二八年一二月七日)

(薬発第四二七号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

本年八月七日、刑事訴訟法の一部を改正する法律が公布され同年十一月五日より施行することになつたが、この改正中麻薬取締官(員)の職務執行上特に必要な点は左記のとおりであり、本改正に伴う司法警察員捜査書類様式例の一部は別紙のように改正されたから充分留意の上、麻薬取締に遺憾なきを期せられたい。

1 権利保釈(第八十九条)

従来権利保釈に関する規定が寛大にすぎるため、強盗犯人等と同様常習麻薬犯人がすぐ保釈になり又は住居がよく判らない者が保釈されたりして、その再犯がなされ又は逃亡することが少くなかつた。従つて本改正では、保釈に関するこのような欠陥を是正するとともに、新たにいわゆるお札廻り等を行うおそれのある恐喝犯人等についてはそれらを行うと疑うに足りる十分の理由のある以上権利保釈は許されないことになつた。

2 勾留並びに保釈及び勾留の執行停止の取消(第九十二条第二項・第九十六条第一項)

勾留取消決定の場合においても、検察官の請求による場合を除いて、検察官の意見具申権を認め、保釈又は勾留の執行停止の取消請求権を新たに検察官に認めるとともに、その取消事由として第九十六条第一項第四号が加えられた。

3 鑑定留置(第百六十七条・第百六十七条の二・第二百二十四条第二項)

一 鑑定留置の規定があまりに簡単に過ぎ、いろいろ疑義が出て来たのでこれを解決するための改正措置が講じられたが、その要点は、次の通りである。

(イ) 鑑定留置の令状の名称を他と明確にするために、単に留置状といつたのを「鑑定留置状」と呼ぶことになつた。(第百六十七条第二項)

(ロ) 留置中の被告人の戒護について、その根拠規定が設けられた。(同条第三項)

(ハ) 裁判所による留置期間の変更権限に関する規定が新設された。(同条第四項)

(ニ) 未決勾留日数の算入については、その留置が勾留とみなされることになつた。(同条第六項)

(ホ) 勾留中に鑑定留置処分がなされた場合当該留置期間中両者の関係につき、勾留の執行は停止されることが明らかにされた。(第百六十七条の二第一項)

(ヘ) 勾留中になされた鑑定留置処分が取り消され、または留置の期間が満了した場合における収監の手続が明らかにされた。(同条第二項)

(ト) 捜査機関が裁判官に対して請求する鑑定留置処分についても、以上に準ずることとなつた。(第二百二十四条第二項)

4 検察官の一般的指示(第百九十三条第一項)

検察官の司法警察職員に対する指示に関して、その目的が従来「公訴を実行するため」であつたのが、「捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために」と改められ、指示目的の内容が明確にされた。

5 供述拒否権告知(第百九十八条第二項)

従来検察官、司法警察職員等による拒否権告知の内容が「供述を拒むことができる旨」であつたのが、「自己の意思に反して供述をする必要がない旨」と改められた。言い換えれば、従来「何もいわなくてもよろしい。」ということを告げなければならなかつたのが、これからは「無理にいわなくてもよろしい。」ということを告げればよいことに変つた。

6 逮捕状の請求手続等(第百九十九条第二項)

司法警察員の通常逮捕状の請求について、これが濫用されているという非難が高かつたので、その防止策として改正が行われたが、その要点は次の通りである。

(イ) 逮捕状の請求をすることができる司法警察員の範囲が、公安委員会が指定する特定の警部以上の者に限られたこと。

(ロ) 裁判官に逮捕状発行の要件である犯罪の嫌疑の有無に関する判断の外に、その必要性の有無をも判断する権限があることが明らかにされ、その司法権的抑制が図られた。

別紙

(昭和二八年一○月三一日 最高検・日記総指示第一号)

(司法警察職員あて検事総長通知)

今般刑事訴訟法の一部改正及び刑事訴訟規則の一部改正等に伴い、司法警察職員捜査書類様式例の一部を次のように改正するから、司法警察職員はこれに依られたい。

この改正は、左記1、基本書式の改正中様式第四号、第七号、第十号、および第十四号、並びに3、その他の改正中(1)、(2)、(3)については、刑事訴訟法の一部を改正する法律の施行の日から、その他の改正若しくは追加については、昭和二十九年一月一日から施行する。但し昭和二十九年一月一日から施行する様式の用紙については、従来の様式による用紙が残存している限り、引き続きこれを使用することを妨げない。

右刑事訴訟法第百九十三条第一項により指示する。

1 基本書式の改正

様式第四号を別紙様式第四号に@(鑑定留置請求書)

様式第七号を別紙様式第七号に@(供述調書)

様式第十号を別紙様式第十号に@(逮捕状請求書甲)

様式第十四号を別紙様式第十四号に@(逮捕状請求書乙)

様式第三十一号の一・二を別紙様式第三十一号の

          一  (押収物の標示荷札)

          二  (〃)

             (レツテル大)

          三 に(〃)

             (レツテル小)

様式第三十三号を別紙様式第三十三号に@(還付請書)

様式第四十五号を別紙様式第四十五号に@(証拠金品総目録)

様式第五十一号を別紙様式第五十一号に@(収監状)

2 基本書式の追加

様式第三十一号の三の次に、次の四様式を加える。

様式第三十一号の四@(証拠品袋大)

様式第三十一号の五@(証拠品袋中)

様式第三十一号の六@(証拠品袋小)

様式第三十一号の七@(封筒)

様式第三十二号に次の一様式を加える。

様式第三十二号の一@(所有権放棄書)

様式第三十三号に次の四様式を加える。

様式第三十三号の一@(仮還付請書)

様式第三十三号の四@(保管請書)

3 その他の改正

(1) 基本書式様式第八号の標題「第  回供述調書」を「供述調書」に改める。

(2) 経済警察一斉取締に対する書式特例(経一斉)様式第三号中「供述を拒むことができる旨」を「被疑者に対し、自己の意思に反して供述をする必要がない旨」に改める。

(3) 交通警察に対する書式特例(交)様式第二号中「供述を拒むことができる旨」を「被疑者に対し、自己の意思に反して供述をする必要がない旨」に改める。

(4) 諸様式中被疑者等の年齢を表示する(当  年)の「当」を削る。

(5) 次の書式の用紙には、その折目(半切では左辺)の下方に概ね縦五センチメートル横一センチメートルの部分を赤色に染めるものとする。

基本書式中

還付請書   (様式第三十三号)

仮還付請書  (様式第三十三号の一)

領置調書甲  (様式第二十号)

領置調書乙  (様式第二十一号)

押収品目録  (様式第三十号)

証拠金品総目録(様式第四十五号)

経済警察一斉取締に対する書式特例(経一斉)中

差押調書乙  (様式第四号)

捜索差押調書乙(様式第五号)

領置調書甲  (様式第六号)

領置調書乙  (様式第七号)

の各押収品目録

移動警察並びに警乗警察に対する書式特例(交)中

領置調書甲  (様式第五号)

領置調書乙  (様式第六号)

の各押収品目録

様式 略