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○立入検査証の呈示について

(昭和三八年三月六日)

(薬麻第三九号)

(各都道府県衛生主管部長・各地区麻薬取締管事務所長あて厚生省薬務局麻薬課長通知)

標記について別添のとおり関係団体に指示したので遺憾のないようにされたい。

別添

立入検査証の呈示について

(昭和三八年三月六日 薬発第一一三号)

(各関係国体あて厚生省薬務局長通知)

最近の立入検査の結果等から被検査者が立入検査の証票の呈示を求めることが殆んどなくなつたように見受けられるが、これは事故発生の基因となるので、立入検査を受けるに際しては必ずその証票の呈示を求めるようにせられたい。立入検査と犯罪捜査とはそれぞれ別個なものであり、麻薬取締法第五十三条第三項に規定してあるとおり立入検査を捜査の手段に利用することはできないこととなつているので、証票を所持しない者に対しては麻薬関係帳簿の検査、麻薬等の収去等立入検査に絶対に応じないように貴会員に周知徹底方お願いする。

なお、司法警察員が犯罪捜査のために裁判官の発した捜索許可状、差押許可状、検証許可状を呈示して捜索、差押、検証を行なう場合には拒否してはならないことを念のため申し添える。

立入検査に警察官を同道した事件

経過:昭和三十九年三月頃某県薬務課麻薬取締員に対して警察から「O医師の麻薬の購入数量が相当多いがこれについて何か情報を入手しているか」との電話照会をうけた。これに対し麻薬取締員は当方においても要注意者として留意していることを回答した。

昭和三十九年六月警察から「O医師に対し最近立入検査を実施したか」と照会をうけた。これに対し麻薬取締員は近く行なう予定であるが、上司と相談の上実施すると回答した。

昭和三十九年七月警察職員はO医師の麻薬購入量等の資料を薬務課に持参し「調査の必要があるのではないか、暴力団に関係する麻薬中毒者の存在も疑われる」との申し入れがあつた。

立入検査はO医師を含めてその附近の麻薬診療施設数カ所を実施することになつたが、薬務課長は医師会との摩擦を避けるため、副会長に対し立入検査当日午前九時頃立入検査を行なう旨を連絡した。一方麻薬係長及び麻薬取締員二名は立入検査に赴く途中警察署に立寄り「本日O医師の立入検査を実施する」旨を連絡したが、警察は防犯係長及び警察官二名を同道させたいと申し出たので立入検査には関与しない条件で同道することを了解した。

立入検査に当つては、麻薬取締員警察官各一名が一組となり警察官は、患者待合室に待たせ麻薬取締員が診察室において立入検査を実施したがO医師に対しては、六名が一緒になつて立入検査を行なつた。

問題点:1 要注意者の放置

2 立入検査を実施する旨を医師会に連絡

3 警察官の同道

4 一名で立入検査を実施

指示:1 麻薬取扱者の麻薬購入量は常持把握し、多い処に対しては間違いの生じないよう随時立入検査により指導する必要がある。

2 要注意者に対しては放置することなく、機会あるごとに立入検査等により指導監督する必要がある。

3 平素の麻薬取扱状況を見て実地指導することが、良策であるので立入検査の事前通告は好ましくない。

4 警察官等の捜査機関を立入検査に同道させることは麻薬取締法第五十三条第三項の趣旨に反する。

5 単身行動は問題を生じ易いので慎しむべきである。

これ以外に最近麻薬盗難事件が数件連続して発生しているが今後更にこの種事故が発生するおそれがあるので麻薬取扱者に対し麻薬の管理について注意を喚起するようお願いする。

なお、この様な事故発生等については速かに連絡されるようお願いする。