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○麻薬を指定する政令の一部を改正する政令の公布について

(昭和四五年六月一二日)

(薬発第五二一号)

(各都道府県知事・各地区麻薬取締官事務所長あて厚生省薬務局長通知)

「麻薬を指定する政令の一部を改正する政令」が昭和四十五年五月二十三日政令第百三十号をもつて別紙(1)(略)のとおり公布されたので、左記事項について御了知のうえ、関係方面に対する周知等この政令の施行にあたり、適切な指導方について特段の御配意をお願いする。

1 追加指定した麻薬の品目について

次に掲げる二品目を麻薬に追加指定したものであること。

(1) 一四―ヒドロキシジヒドロ―六・ベーターテバイノール―四―メチルエーテル及びその塩類

(一般的名称)オキシメテバノール

(2) 一―(三―シアノ―三・三―ジフェニルプロピル)―四―(二―オキソ―三―プロピオニル―一―ベンズイミダゾリニル)―ピペリジン及びその塩類

(一般的名称)ベジトラミド

2 麻薬指定の理由について

二品目を麻薬に指定した理由は、次のとおりであること。

(1) オキシメテバノールは、わが国で開発したあへんアルカロイド系麻薬で鎮咳(鎮痛)作用を有し、その依存性は、モルヒネと同程度であるので「オキシメテバノール及びその塩類」を麻薬に指定したものである。

(2) ベジトラミドについては、ベルギー政府が国際連合事務総長あて合成麻薬として指定するよう通告し、世界保健機関において検討の結果、この薬品は「千九百六十一年の麻薬に関する単一条約」の附表に掲げる薬品と同様の濫用のおそれがあり、かつ、同様の悪影響をおよぼすものであると認められたので、前記薬品の麻薬指定が同機関より麻薬委員会に通知勧告された。

麻薬委員会は前記薬品を同条約の附表に追加することを決定し、わが国も国際連合事務総長からその旨通告を受けたものである。

同条約の締約国たるわが国は、前記通告の受領によつて、前記薬品を麻薬に指定し、麻薬取締法の規制下におく義務を負つているのでこれを麻薬に指定したものである。

3 施行期日について

この政令は、公布の日(昭和四十五年五月二十三日)から起算して三十日を経過した日、すなわち昭和四十五年六月二十二日から施行されるものであること。

4 施行に伴う留意事項について

前記二品目は、公布日現在、わが国において製造及び販売は行なわれていないが、化学研究者が研究用として所持している可能性があること。

なお、オキシメテバノールについては、昭和四十五年六月二十二日に製造の許可が認められる予定であること。

5 今回の麻薬指定に係る品目の性状等について

オキシメテバノール及びベジトラミドの構造式は別紙(2)のとおりであること。

別紙 (1) 省略

別紙 (2)

オキシメテバノール

(1) 一般的名称  オキシメテバノール

(2) 化学名  一四―ヒドロキシジヒドロ―六・ベーターテバイノール―四―メチルエーテル

(3) 構造式

モルヒネ

オキシメテバノール

コデイン

〔参考〕

〔概略〕

本品は、モルフィン誘導体の新しい化合物開発の意図をもつて、アヘンアルカロイド系麻薬のテバインを部分合成したものである。

〔身体的依存性〕

身体的依存性は、モルヒネ型依存性生成能を有するものである。

〔薬理作用〕

鎮咳(鎮痛)作用がある。

・ ベジトラミド

(1) 一般的名称 ベジトラミド

(2) 化 学 名 一―(三―シアノ―三・三―ジフェニルプロピル)―四―(二―オキソ―三―プロピオニル―一―ベンズイミダゾリニル)―ピペリジン

(3) 構造式

〔概略〕

本品は、ベルギーで開発された合成麻薬で、持続性の経口鎮咳(鎮痛)作用を有する。

本品の試験は、難溶性のため経口投与により行ない、モルヒネ様の性質を有する。

〔身体的依存性〕

身体的依存性は、モルヒネ型依存性生成能を有するものである。

〔薬理作用〕

鎮咳(鎮痛)作用がある。