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○農薬肥料(PCP尿素)の輸送、保管等の取扱いについて
(昭和三七年四月二〇日)
(三七農経A第二四八七号)
(厚生省薬務局長あて農林省経済・振興局長照会)
今般、肥料取締法の一部改正により農薬肥料であるPCP尿素の生産、販売が開始されるにあたり、これの輸送、保管等の取扱いについては、肥料と農薬の複合体であるという特性から、取扱い肥料販売業者等の一部には「毒物及び劇物取締法」の規定について周知徹底を欠き、その具体的解釈においても誤解があるので、当省としては、このことにつき貴省の御見解を得たうえで都道府県関係部課、生産業者、販売業者の関係団体等を通じて、販売業者等に対しPCP尿素の輸送、保管等の取扱いについて遺憾のないよう指導をしてまいる方針であるので、左記質問事項につき貴省の御見解を回報願いたい。
記
一 PCP尿素を工場その他から貨車、トラツク等の輸送機関で出荷する場合、毒物または劇物でない他の肥料と混載することは差しつかえないか。
二 PCP尿素を販売業者等が倉庫に保管する場合
(ア) 倉庫の関係から、毒物または劇物でない他の肥料、農薬と、農機具等の資材と同一倉庫に収容することは差しつかえないか。
(イ) やむを得ず飼料、食糧と同一倉庫に収容する場合、これらの物品とPCP尿素を明確に区分して保管する必要があると思うがどうか。
(ウ) 前記(イ)の場合、明解に区分する方法として、PCP尿素と他の物品との間に適当な空間をあけるほか、
(A)他の毒物または劇物でない肥料を積み上げて仕切りをする。
(B)シートを張り倉庫内に間仕切りをする。
(C)木製の衡立等を立て仕切りをする。
等の方法をとれば差しつかえないか。
(エ) 居住場所と区切られていない土間、店頭を利用して肥料を収容している場合があるが、PCP尿素については原則としてこのようなことがあつてはならないと考えるがどうか。
また、入出庫等にあたつて、やむを得ず一時的にこのような場所に蔵置する際は、どのような処置が必要か。
商品見本としてPCP尿素を店頭に表示する場合、
(ア)現物、(イ)ガラス容器入り内容見本、(ウ)少量のビニール袋入り見本、につきそれぞれどのような措置が必要か。
販売に際しては「毒物及び劇物取締法」によれば、売渡先である農家の認印を必要とするが、PCP尿素の場合これを省略することができないか。
輸送または保管中において、万一包装が破袋した場合、内容のPCP尿素の品質が不変であれば、「肥料取締法」では同法第十七条、十八条の規定により、販売業者(または生産業者)保証票を附すれば販売することが認められ、また「農薬取締法」では容器に同法第七条の規定による表示のほか再包装した販売業者の氏名を表示すれば販売することが認められるが、「毒物及び劇物取締法」では事業管理人の監督の下に同法第十二条の表示をした容器に再包装して販売することは許されるか。
(昭和三七年五月九日 薬発第二三四号)
(農林省経済・振興局長あて厚生省薬務局長回答)
四月二十日農経A第二四八七号をもつて照会のあつた標記のことについては、左記のとおりであるので、PCP尿素の輸送、保管等について遺憾のないよう関係諸機関に対しよろしく御指導願いたい。
記
一 照会一については、毒物及び劇物取締法(以下「法」という。)第十一条第一項に規定する必要な措置が講ぜられており、劇物が盗難にあい、紛失し、飛散し、漏れる等のおそれが認められない場合には、他のものと混載して差しつかえないが、衝撃等により容器又は被包が破損することも懸念されるので、積載の方法については、細心の注意を払うことが必要である。
二 照会二の(ア)についても法第十一条第一項に規定する措置が講ぜられている場合は他のものと同一の倉庫に収容して差しつかえないが、法第十二条第三項の規定により劇物を貯蔵する場所には「医薬用外」及び「劇物」の文字を表示しなければならない。
照会二の(イ)及び(ウ)については、劇物を食糧又は飼料と同一の倉庫に収容することは極力避けるべきであるが、倉庫が大規模なものであり、かつ、劇物と食料又は飼料との間に相当の距りを設けることができる場合は、(ウ)の(A)、(B)又は(C)に示された方法により、両者を明確に区別し、同一の倉庫に収容して差しつかえない。
照会二の(エ)については、劇物を土間、店頭等に貯蔵しておくことは、法第十一条第一項に違反すると解されるが、入出庫等にあたつて、やむを得ず一時的にそのような場所を利用するときは、常時、事業管理人をして監視せしめる等、劇物が盗難にあい、紛失する等のことがないように措置することが必要である。
三 照会三については、現物又は少量のビニール袋入り見本をかぎを施したガラス容器、ショウウインドウ、戸棚等を用いて陳列することは、適当であるが、それ以外の方法により陳列することは適当でない。
四 照会四については、譲受人の押印を省略することはできないが、やむを得ない事由があるときは指印によつて差しつかえない。
五 照会五については貴見によつて処理して差しつかえないが、再包装にあたつては、法第十一条第一項に規定する必要な措置を講じなければないないことは当然である。
なお、運搬業者等業務上劇物を取り扱う者については、法第二十二条第一項の規定により法第十一条の規定が準用されることに留意されたい。