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○農業共済組合の毒物劇物取扱について
(昭和二七年七月二日)
(広薬第四一五号)
(厚生省薬務局長あて広島県知事照会)
昭和二十六年十月六日付薬収第六八六号をもつて徳島県知事宛回答せられた標記についてその内容に左記のとおり疑義を生じたので貴局の意見を承りたい。
記
農業災害補償法第九十六条の規定により種子消毒に関する共同防除の目的で毒物劇物である農薬を組合員に授与する場合
(1) 毒物及び劇物取締法第十四条第二項の規定に基く文書の授受は必要はないか。(若し必要がないとすれば国民の保健衛生上の見地から必要な取締りをする毒物及び劇物取締法の主旨に反するは勿論、国民の保健衛生の確保は保証し難いと思料する。)
(2) 毒物劇物事業管理人の設置は必要ではないか。(回答の文面によれば農業共済組合は毒劇物販売業の登録の必要がないとあるから従つて法第七条の事業管理人設置もその必要がないことになる。これをこのまま適用すると毒、劇物に関して何等知識のない者でも該品を取り扱い得ることとなり事業管理人試験制度と矛盾を来たし行政指導上、悪結果をもたらすものと思料せられる。)
(3) 災害補償法第九十八条は損害防止のため必要な施設をすることができる旨の規定で何等毒物劇物の授受等に関する行為を規定したものでないので当然毒物及び劇物取締法の適用を受ける可きであると思料する。
参考
当地方の農業共済組合に於ては毒物劇物等を災害補償法による共同防除と称し一括購入しこれを集団的に取り扱わず組合員たる各農家へ頒布使用している現状で危害防止上看過できない状態である。
(昭和二七年七月二六日 薬収第四四二号)
(広島県知事あて厚生省薬務局長回答)
昭和二十七年七月二日広薬第四一五号をもつて貴県衛生部長より照会のあつた標記の件について左記の通り回答する。
記
農業災害補償法に基いて設立された農業共済組合が損害防止に関する施設の一環として種子消毒等の共同防除を行うため毒物又は劇物である農薬を一括購入の上組合員たる農家に使用せしめる場合には毒物及び劇物取締法に規定する販売業を営むものではない。従つてこの場合は、
1 共同防除のため組合と組合員との間に実際上農薬の授受が行われても法第十四条第二項に規定する文書の授受を必要としない。
2 事業管理人の設置も必要としない。但し、毒物である農薬を組合が取り扱うときは、法第二十二条により、法第十一条第一項、第十二条第一項及び第三項、第十七条並びに第二十一条の規定が適用され、これらの違反行為に対しては組合は営業者と同様の責任を負うものである。
3 組合が共同防除の範囲を逸脱して購売事業を行つている場合は、当然毒物及び劇物販売業の登録が必要である、農薬の購入、頒布使用の実情を調査の上然るべく処理されたい。