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○日本薬局方「ガーゼ」、同「脱脂綿」及び同「精製脱脂綿」の「滅菌済」の表示について
(昭和六一年二月三日)
(薬監第一四号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局監視指導課長通知)
今般(社)日本衛生材料工業連合会より、別添の日本薬局方ガーゼ(滅菌済)、日本薬局方脱脂綿(滅菌済)及び日本薬局方精製脱脂綿(滅菌済)の製造管理及び品質管理自主基準(当該製品の規格及び試験方法を含む。)に基づき、日本薬局方「ガーゼ」、同「脱脂綿」及び同「精製脱脂綿」の滅菌を実施し、製造したものには、「滅菌済」の表示を行いたい旨要望があつた。
当該基準に基づき、製造されたものについては「滅菌済」の表示がなされるので貴職も御了知の上貴管下の関係製造業者に対し周知方をお願いする。
別添
日本薬局方ガーゼ(滅菌済)、日本薬局方脱脂綿(滅菌済)及び日本薬局方精製脱脂綿 (滅菌済) の製造管理及び品質管理自主基準
第一章 総則
(製造管理責任者及び品質管理責任者)
第一条 日本薬局方ガーゼ(滅菌済)、日本薬局方脱脂綿(滅菌済)及び日本薬局方精製脱脂綿(滅菌済)(以下「当該製品」という。)の製造業者は、製造所ごとに、当該製品の製造管理者の管理の下に、製造管理に係る部門の責任者として製造管理責任者を、品質管理に係る部門の責任者として品質管理責任者を置かなければならない。
2 品質管理に係る部門は、製造管理に係る部門から独立していなければならない。
3 製造管理責任者は、品質管理責任者を兼ねてはならない。
実施細則
ア 当該製品の製造管理者とは、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十五条第一項に規定する製造管理者たる薬剤師をいう。
イ 当該製品の製造管理者は、やむを得ない場合には製造管理責任者又は品質管理責任者のいずれか一方を兼ねることは差し支えないものであること。
ウ 原料とは、日本薬局方ガーゼ、日本薬局方脱脂綿及び日本薬局方精製脱脂綿をいう。
エ 資料とは、製品に使用されるものであつて、容器、表示材料(ラベル及び添付文書をいう。)及び包装材料(梱包材料を除く。)をいう。
オ 製造の中間工程で造られるものとは、さらに以後の製造工程を経ることによつて製品となるものであつて、中間製品のことをいう。
カ 製品とは、すべての製造工程を終えたものであつて、最終製品のことをいう。
キ ロットとは、原料及び製品(中間製品を含む。)について用いるもので、同一製造期間に一連の製造工程により均質性を有するように製造されたものの一群をいう。
ク ロット番号とは、ロットごとに付された番号又は記号をいう。
ケ 管理単位とは、資材について用いるもので、同じ材質のもので均質性が確認されたものの一群をいう。
コ 管理番号とは管理単位ごとに付された番号又は記号をいう。
(当該製品の製造管理者)
第二条 当該製品の製造管理者は、次の各号に掲げる業務を行わなければならない。
一 製造管理責任者及び品質管理責任者を統括すること。
二 製造管理及び品質管理の結果を適正に評価して、製品の製造所からの出荷の可否を決定すること。
2 当該製品の製造業者は、当該製品の製造管理者が業務を遂行するに当たつて支障を生ずることがないようにしなければならない。
実施細則
ア 第一項第一号の「製造管理責任者及び品質管理責任者を統括する」とは、当該製品の製造所における組織の中で当該製品の製造管理者は、製造管理責任者及び品質管理責任者の上位にあつて製造管理及び品質管理の最終的な権限と責任を有するものであること。
イ 同項第二号の「製造管理及び品質管理の結果を適正に評価し、製品の製造所からの出荷の可否を決定する」とは、製造された製品について、製造管理状況及び品質管理状況を正確に把握したうえで出荷の可否を決定するものであり、この決定のされない製品を当該製品の製造業者は出荷してはならないものであること。
ウ 第二項の「支障を生ずることがないようにしなければならない」とは、当該製品の製造業者が当該製品の製造管理者の業務を妨げてはならないことはもとより、さらにこれにとどまらず、当該製品の製造管理者が業務を遂行するに当つて積極的に配慮しなければならないという趣旨である。
(製品標準書)
第三条 当該製品の製造業者は、製造所における当該製品の製造管理及び品質管理を適切に行うため、当該製品の品目ごとに、製造手順その他必要な事項について記載した製品標準書を当該製品の製造に係る製造所ごとに作成しなければならない。
実施細則
ア 「製造手順その他必要な事項」とは、次の事項をいうものであること。
(ア) 当該製品の一般的名称及び販売名
(イ) 製造許可年月日
(ウ) 成分及び分量
(エ) 原料、中間製品及び製品の規格及び試験方法
(オ) 容器の規格及び試験方法
(カ) 表示材料及び包装材料の規格
(キ) 製造方法及び製造手順(工程検査も含む。)
(ク) 標準的仕込量及びその根拠
(ケ) 中間製品の保管条件
(コ) 製品の保管条件
(サ) 用法及び用量、効能又は効果並びに使用上の注意
なお、規格及び試験方法に関しては、次の事項も製品標準書に記載しておくこと。
Ⅰ) 公定書で定められている規格及び試験方法よりも、より厳格な規格及びより精度の高い試験方法を用いる場合には、その規格及び試験方法並びにその根拠
Ⅱ) 原料及び製品の規格及び試験方法が公定書で定められていない場合であつて、品質管理上必要と判断されるものとして自主的に設定した規格及び試験方法
Ⅲ) 中間製品及び容器の規格及び試験方法並びに表示材料及び包装材料の規格が公定書で定められていない場合あるいは定められていても規格又は試験方法が不足している場合であつて、それらについて品質管理上必要と判断されるものとして自主的に設定した規格又は試験方法
Ⅳ) 前記アの(エ)(中間製品を除く。)及び(オ)については、試験検査の実施を当該製造業者の他の試験検査設備又は厚生大臣の指定した試験検査機関を利用して行う場合には、これらを利用して行う試験検査項目並びにそれらの規格及び試験方法
イ 製品標準書には、制定者及び制定年月日並びに改訂した場合には改訂者、改訂年月日、改訂事項及び改訂理由を記載しておくこと。
第二章 製造管理
(製造管理基準書及び製造衛生管理基準書)
第四条 当該製品の製造業者は、製造所における当該製品の製造管理を適切に行うため、製造所ごとに、原料等の保管、製造工程の管理その他必要な事項について記載した製造管理基準書を作成するとともに、製造作業を行う場所(以下「作業所」という。)ごとに構造設備(試験検査に関する設備及び器具を除く。以下同じ。)の衛生管理、作業員の衛生管理その他必要な事項について記載した製造衛生管理基準書を作成しなければならない。
実施細則
ア 「原料等の保管、製造工程の管理その他必要な事項」とは、次の事項をいうものであること。
(ア) 原料及び資材の受入れ時、保管時及び出庫時の注意事項
(イ) 中間製品の保管時の注意事項
(ウ) 製品の保管時及び出荷時の注意事項
(エ) 製造工程の管理に関しての作業所への立入り制限事項及び各製造工程の点検事項
(オ) 製造設備及び器具の管理に関しての点検事項及び事故発生時の注意事項
(カ) 作業員の作業管理に関する事項
(キ) その他製造管理に必要な事項
イ 「構造設備の衛生管理、作業員の衛生管理その他必要な事項」とは、次の事項をいうものであること。
(ア) 作業室、設備及び器具等の衛生管理に関する次の事項
Ⅰ) 清掃すべき場所及び機械器具の指定並びに清掃間隔の設定
Ⅱ) 清掃作業の手順並びに使用される薬剤及び用具の維持管理
Ⅲ) 清掃後の点検方法
(イ) 作業員の衛生管理に関する次の事項
Ⅰ) 作業服装基準の設定
Ⅱ) 健康状態の把握方法
Ⅲ) 手洗い方法
Ⅳ) 製造衛生に関する注意事項
(ウ) その他製造衛生管理に必要な事項
(製造管理責任者の業務)
第五条 当該製品の製造業者は、製造管理責任者に、製品標準書、製造管理基準書又は製造衛生管理基準書に基づき、次の各号に掲げる当該製品の製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。
一 製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した製造指図書を作成すること。
二 次に掲げる業務を自ら行い、又は業務の内容に応じてあらかじめ指定した責任者に行わせること。
イ 製造指図書に基づき当該製品を製造すること。
ロ 当該製品の製造に関する記録をロットごとに作成すること。
ハ 製品の表示及び包装についてロットごとにそれが適正である旨を確認し、その記録を作成すること。
ニ 原料及び製品(製造の中間工程で造られるものを含む。第七条第二号イにおいて同じ。)についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに適正に保管し、及び出納を行い、並びにその記録を作成すること。
ホ 構造設備の清掃を確認し、その記録を作成すること。
ヘ 作業員の衛生管理を行い、その記録を作成すること。
ト 構造設備を定期的に点検整備し、その記録を作成すること。
チ その他必要な業務
三 製造、保管及び出納並びに製造衛生管理に関する記録により製造管理が適切に行われていることを確認し、その結果を当該製品の製造管理者に対して文書により報告すること。
四 製造、保管及び出納並びに製造衛生管理に関する記録を記録の日から三年間保存すること。
実施細則
ア 第一号の「製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項」とは、次の事項をいうものであること。
(ア) 指図者及び指図年月日
(イ) 当該製品の名称、外観及びロット番号
(ウ) 原料の名称及び使用量
(エ) 各製造工程における作業上の指示又は注意事項
(オ) 資材に関する指示又は注意事項
イ 第一号の「製造指図書」は、原則としてロットごとに発行しなければならないものであること。
ウ 第二号の「あらかじめ指定した責任者に行わせること」の趣旨は、業務の内容を熟知した者をあらかじめ当該業務の責任者として指定し、各種業務の分担体制を明らかにしておくものであること。
エ 第二号イの趣旨は、製造管理部門内の各製造工程の作業は、製造指図書に基づいて行われなければならないものであること。
オ 第二号ロの「当該製品の製造に関する記録」とは、いわゆる製造記録のことであり、次の事項が記載されていなければならないものであること。
(ア) 当該製品の名称及びロット番号
(イ) 製造工程名及び作業年月日
(ウ) 原料の名称、ロット番号及び使用量
(エ) 資材の名称、管理番号及び使用量
(オ) 製造工程中に行つた製造管理部門での試験検査の結果及びその結果が不適であつた場合の措置
(カ) 品質管理部門による試験検査の結果が不適であつた場合の措置
(キ) 各製造工程が製造指図書に従つて行われた旨の確認
(ク) 前記のほか、製造作業中にとられた措置
(ケ) 記録者名及び記録年月日
(コ) 製造管理が適切に行われていることの製造管理責任者による確認
(サ) 当該製品の製造管理者が出荷の可否を決定した旨
カ 第二号ニの原料、製品(中間製品を含む。)及び資材についての「適正に保管し、及び出納を行い、並びにその記録を作成すること」とは、次のことをいうものであること。
(ア) 原料、中間製品、製品及び資材は、明確に区分された場所に保管すること。
(イ) 原料、中間製品、製品及び容器(公定書で規格及び試験方法が定められているもの)は、各種類ごとに試験前後のものを、表示又は区分等を適切に行うことによつて保管すること。また、試験検査の結果、不適と判定されたものについては、他のものと明確に区分された場所に保管すること。
(ウ) 表示材料の入荷の際は、点検した後に保管すること。点検結果、不適品とされたものについては、速やかに廃棄等の措置を講ずること。
(エ) 表示材料は品目別に区分して保管し、それぞれの保管場所にその品目名を示す表示を行うこと。
(オ) 表示材料の記載事項に変更があつた場合は、変更前の表示材料について速やかに廃棄等の措置を講ずること。
(カ) 法に基づく記載事項が表示された容器については、前記(ウ)~(オ)を適用すること。
(キ) 原料、中間製品及び製品の保管については、それぞれの保管条件に従つて品質に影響のないように保管するとともに、関係法令によつて保管条件が定められているものについては当該条件に従つて保管すること。
(ク) 原料の保管及び出納について、品目ごと、ロットごとに記載した記録を作成すること。
(ケ) 製品の保管及び出納について、品目ごと、ロットごとに入庫年月日、入庫数量、保管中にとつた措置、出荷年月日、出荷数量及び出荷先を記載した記録を作成すること。
(コ) 資材の保管及び出納について、品目ごと、管理単位ごとに記載した記録を作成すること。
キ 第二号チの「その他必要な業務」とは、次のような業務であること。
(ア) 作業員の衛生教育を行い、製造衛生管理の徹底を図ること。
(イ) 製造作業に従事する者以外の者の作業所への立入りを制限すること。
第三章 品質管理
(品質管理基準書)
第六条 当該製品の製造業者は、製造所における当該製品の品質管理を適切に行うため、製造所ごとに、検体の採取方法、試験検査結果の判定方法その他必要な事項を記載した品質管理基準書を作成しなければならない。
実施細則
「検体の採取方法、試験検査結果の判定方法その他必要な事項」とは、次の事項をいうものであること。
(ア) 原料、中間製品、製品及び資材の試験検査についての検体の採取方法に関する事項
(イ) 検体の採取場所の指定に関する事項
(ウ) 試験検査実施計画書の作成に関する事項
(エ) 試験検査結果の判定に関する事項
(オ) 判定結果の当該製品の製造管理者及び製造管理責任者への報告に関する事項
(カ) 参考品の採取及び管理に関する事項
(キ) 試験検査に関する設備及び器具の点検整備に関する事項
(ク) 経時変化試験を実施する場合の方法に関する事項
(ケ) 再試験検査を必要とする場合の取扱いに関する事項
(品質管理責任者の業務)
第七条 当該製品の製造業者は、品質管理責任者に、製品標準書又は品質管理基準書に基づき、次の各号に掲げる当該製品の品質管理に係る業務を適切に行わせなければならない。
一 試験検査実施計画書を作成すること
二 次に掲げる業務を自ら行い、又は業務の内容に応じて指定した者に行わせること。
イ 試験検査実施計画書に基づき、原料及び製品についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに試験検査を行うのに必要な検体を採取し、その記録を作成すること。
ロ 試験検査実施計画書に基づき、採取した検体について、ロットごと又は管理単位ごとに試験検査を行い、その記録を作成すること。
ハ 製品について、ロットごとに所定の試験に必要な量の二倍以上の量を参考品として製造された日から三年間適切な保管条件のもとで保存すること。
ニ 試験検査に関する設備を定期的に点検整備し、その記録を作成すること。
ホ その他必要な業務
三 試験検査結果の判定を行い、その結果を当該製品の製造管理者及び製造管理責任者に対して文書により報告すること。
四 試験結果に関する記録を記録の日から三年間保存すること。
実施細則
ア 第一号の「試験検査実施計画書」には、次の事項が記載されていなければならないものであること。
(ア) 検体名
(イ) 検体が中間製品又は製品である場合には、ロット番号又は製造番号
(ウ) 検査の採取年月日及び試験検査実施予定年月日
なお、原料又は資材の入荷時期が不確定な場合であつて、あらかじめ試験検査実施計画書を作成することが困難な場合には、前記の事項を満たしている場合にあつては、製造管理部門からの試験検査依頼書を試験検査実施計画書とみなして差し支えないものであること。ただし、この場合には、検体が原料の場合はロット番号が、また、検体が資材の場合は整理番号をそれぞれ記載されていなければならないものであること。
イ 第二号イでいう検体の採取は、原則として品質管理部門の者が行うものであること。
ウ 第二号イでいう検体の採取の記録(検体採取記録)には、次の事項が記載されていなければならないものであること。ただし、次のエの試験検査記録に記載されている場合には、検体採取記録を別に作成することは要しないこと。
(ア) 検体名及びロット番号若しくは製造番号又は管理番号
(イ) 検体採取年月日及び採取者名
エ 第二号ロの試験検査の記録(試験検査記録)には、次の事項が記載されていなければならないものであること。
(ア) 検体名及びロット番号若しくは製造番号又は管理番号
(イ) 試験検査項目、試験検査実施年月日、試験検査担当者名及び試験検査結果
(ウ) 試験検査結果の判定、判定年月日及び判定者名
オ 第二号ハの「所定の試験」とは、製品標準書に記載された試験のことをいう。また、「適切な保管条件」とは、最終包装製品の形態で通常の流通下における保存条件と同じ条件のことをいう。
カ 第二号ホの「その他必要な業務」とは、「経時変化試験を行う必要がある場合に、特定ロットについてその必要量を採取しておくこと。」等をいう。
第四章 雑則
(苦情処理)
第八条 当該製品の製造業者は当該製品の品質等に関して苦情があつたときは、その苦情に係る事項が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、その製造所の当該製品の製造管理者に、次の各号に掲げる業務を行わせなければならない。
一 苦情に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講ずること。
二 苦情の内容、原因究明及び改善措置を記載した苦情処理記録を作成し、その作成の日から三年間保存すること。
実施細則
ア 「当該製品の品質等」とは、当該製品の品質並びに当該製品の直接の容器及び直接の被包、外部の容器及び外部の被包、ラベル、添付文書等をいうものであること。
イ 第二号の「苦情の内容、原因究明及び改善措置」とは、次の事項をいうものであること。
(ア) 苦情の内容
Ⅰ) 苦情対象製品の名称、包装形態及びロット番号又は製造番号
Ⅱ) 苦情の発生年月日、発生場所及び申出者住所氏名
Ⅲ) 苦情の内容及び申出経緯
(イ) 調査結果
Ⅰ) 苦情に係る製品の調査結果(市場名、流通状況、使用状況等)
Ⅱ) 参考品の調査結果
Ⅲ) 試験検査記録の調査結果
Ⅳ) 製造記録、保管記録及び製造衛生管理記録の調査結果
(ウ) 調査結果の判定
(エ) 改善措置の状況