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○薬事法第四十七条の規定の解釈について
(昭和四〇年七月二二日)
(薬事第一二九号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局薬事課長通知)
標記について、別添1のとおり警察庁保安局保安課長から照会があり、これに対し別添2のとおり回答したので、了知されたい。
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(別添1)
薬事法の運用に関する質疑について
(昭和四〇年六月一二日 警察庁丁安発第二二九号)
(厚生省薬務局薬事課長あて警察庁保安局保安課長照会)
薬事法第四十七条にいう「安全な取扱いをすることについて不安があると認められる者」には、「精神異常者、麻薬、あへん、大麻若しくは覚せい剤の中毒者であつて毒劇薬を乱用するおそれのある者、自殺のおそれのある者は勿論、最近流行している睡眠薬遊びのように酒に酔つた気分になるために許容量をこえて服用する者も含まれる。」ものと解されるが、同条の解釈運用について、なお疑義があるので左記について貴省の見解を承りたい。
記
1 薬事法第四十七条の規定は、「毒薬又は劇薬」を交付する者に対し、その交付にあたつて、交付の相手方が一四歳未満その他安全な取扱いをすることについて不安がある者であるかどうかを認識するための、相当の注意義務が課せられているものと解してよいか。
2(1) 前記1を積極に解するとすれば、同法にいう薬局開設者、医薬品販売業者の注意義務は、同法第四十六条第一項の規定による譲渡手続が形式的に充足されているだけでは、その履行があつたとはいえず、相手方の購入量、言動、身体的な所見などからその者が一四歳未満その他安全な取扱いをすることについて不安がある者であるかどうかを積極的に認識する義務があるものと解してよいか。
(2) たとえば、同一人、特に同一少年が、同一の薬局で不眠症と称して連日、劇薬であるハイミナール一箱(一〇錠入り)、ないし三箱を購入しており、その薬局の管理者としては、当然その者が、その薬剤の常用量を超えて連用している疑いを抱くべきであるのに、ただ相手方の申立てに基づいて形式的な譲渡手続をとるだけで、求められるままにそれを譲渡していたような場合、同薬局管理者は、安全な取扱いをすることについて不安があると認められる者に劇薬を交付したものと解してよいか。
(別添2)
(昭和四〇年七月二二日 薬事第一二九号)
(警察庁保安局保安課長あて厚生省薬務局薬事課長回答)
昭和四十年六月十二日警察庁丁安発第二二九号をもつて照会のあつた標記について、左記のとおり回答する。
記
薬事法(昭和三十五年第百四十五号)第四十七条にいう安全な取扱いをすることについての不安とは、当該医薬品について、その効能効果に示される本来の目的のため使用され、かつ、その用法用量に示される使用方法が守られることについての不安と解される。
次に同条に規定する「安全な取扱いをすることについて不安があると認められる者」であるか否かの判断は、如何なる程度の注意ないしは行動に基づいて行なうべきかの点については、交付の相手方が精神異常者とか麻薬等の中毒者等であることを交付する側において知つている等の特段の事情がある場合を除き、交付する側において社会通念上要求される相当の注意ないし通常の問答によれば把握できる程度の徴表を把握して行なえば足りると解すべきであつて、それをこえる積極的な観察、問答などの行動が法理上要求されるものではないと思料する。
なお、社会通念上要求される相当の注意ないし問答において把握すべき徴表とはいかなる事項であるかは、個々具体的な事案ごとに決するほかはないが、相手方の購入量や購入頻度、言動、身体的所見などは、一般的について把握すべき徴表である。