添付一覧
○医薬品の販売方法について
(昭和三八年六月一八日)
(三八薬第四〇五号)
(厚生省薬務局長あて高知県知事照会)
薬事法第三十七条の趣旨は、薬剤師その他の定められた管理者がその業務を適切に行なつたうえで、優良で安全な医薬品を明確な責任のとれる体制のもとに、販売又は授与せしめることを目的としているものと解せられる。
また、薬事法第五条、第二十六条、第二十八条、第三十条及び第三十五条の規定により、薬局及び医薬品販売業は、その所在地の都道府県知事の許可を受けなければ行なつてはならないことと定められている。なお、医薬品の販売業については、その許可は店舗ごとに受けなければならず、また配置販売業はその配置の区域ごとに都道府県知事の許可を受け、かつ、配置販売に従事しようとするときは、その従事区域の都府県知事にあらかじめ届け出なければならない旨、規定されている。
以上の各条文から見て、許可を受けた薬局又は医薬品販売業の店舗以外に、出張所、連絡所等を設けて、あるいは出張員、連絡員、販売員等を訪問させて、学校、事務所、工場、消費生活協同組合などの医薬品製造業、薬局、医薬品販売業、病院、診療所以外の不特定多数のものに対して、常時反覆継続して医薬品を販売もしくは授与する行為は、薬事法の目的としていることがらからきわめて逸脱した違反行為であると考えられる。
すなわち、出張所、連絡所、又は出張員、連絡員、販売員の住居、宿舎あるいは他の民家や倉庫等を貸り、ここに医薬品を貯蔵もしくは陳列しておいて、これを販売又は授与するものがある。
次に、訪問、通信その他の方法により勧誘して医薬品の注文を大量にとり、これを許可を受けた薬局又は医薬品販売業の店舗から後送することにより、これを販売又は授与するものがある。
この際、医薬品自体は、直接に取り扱つていないと称しているが、実態は出張員、連絡員、販売員の方において医薬品を所持していて、これを販売、授与する例が多く、また返品等のあつた時は、これを出張所、連絡所などに貯蔵、陳列しておいて、他の購入希望者に転売することが多い。(なお、連絡員や販売員などはその本舗を見たこともない、医薬品について何等の知識経験を有しないものを雇用している状況である。)
以上のような行為の結果は、学校、事業所、工場、消費生活協同組合等の事務所、売店等において、医薬品が常に貯蔵、陳列されて、ここで、薬事法第二十四条の規定に違反して、医薬品が販売又は授与されている事例をまねく原因となつている。
このような状況で販売又は授与された医薬品は、不良又は不正医薬品である例が多く、また、その責任はきわめて不明確なものであつて、医薬品が保健衛生上重要な地位を占めている点から考えて、きわめて不適当な行為であると考えられる。
不良、不正医薬品の撲滅のために、前記のような行為の根絶を期したいので、左記の事項について照会いたしますから、貴職のなにぶんの御回答をお願いします。
記
1 他の都道府県知事の許可を受けた薬局開設者又は医薬品販売業者が、本県の知事の、この許可を受けることなく、本県に出張所、連絡所等(出張員、連絡員、販売員の住居、宿舎等を出張所、連絡所類似のものとして利用する場合を含む。以下同じ。)を設け、これにより医薬品製造業者、薬局開設者、医薬品販売業者又は病院開設者、診療所開設者、家畜診療所開設者以外の者に対して、医薬品を常時反覆継続して販売もしくは授与する行為は、薬事法第三十七条の違反として差し支えないか。
2 本県の知事の許可を受けた薬局開設者又は医薬品販売業者が本県内に出張所、連絡所等を設け、その出張所、連絡所等は知事の許可を受けることなく、前記1の行為を行なうことは、薬事法第三十七条の違反として差し支えないか。
3 前記1、2の行為が、もし、薬事法第三十七条の違反でないものとすれば、医薬品を出張所、連絡所等に、販売又は授与の目的で貯蔵もしくは陳列しておき、又は出張員、連絡員、販売員等に販売又は授与の目的で所持せしめて、これにより前記1、2のことを行なうものは、薬事法第三十七条の違反として差し支えないか。
4 出張員、連絡員、販売員等を訪問せしめ、また、通信により学校、事業所、工場、消費生活協同組合等から注文をとり、これに対して大量の医薬品を販売又は授与し、その医薬品あつ旋行為を助長せしめるような行為は、薬事法第三十七条の違反として差し支えないか。(一個人が、個々に必要な都度注文して購入するような通信販売を除く。)
(昭和三八年一〇月三日 薬収第八二二号)
(高知県知事あて厚生省薬務局長回答)
昭和三十八年六月十八日付三八薬第四〇五号をもつて照会のあつた件について、左記のとおり回答する。
記
1 照会1から3については、薬局開設者又は医薬品販売業者が、自らあるいはその出張員(雇傭契約の存否を問わない。)等をして、出張所等を根拠として、医薬品の販売又は授与と認められる行為を行なわしめることは、薬事法第三十七条にいう「店舗による販売又は授与」とは解しがたい。
2 照会4については、医薬品の販売について、個々の注文を取りまとめ、単にこれを取り次ぐ程度のあつせん行為については、薬事法第三十七条違反とは解されない。