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○薬事法に対する疑義について〔薬事法第十二条・第五十条〕

(昭和四四年六月一二日)

(警察庁丁安発第二三二号)

(厚生省薬務局薬事課長あて警察庁保安部保安課長照会)

長野県警察において、現在捜査中の薬事法違反被疑事件について必要がありますので、左記事項について至急貴省の見解を承わりたく照会します。

1 岡谷市下浜区衛生自治会役員が各家庭に配布する目的で、医薬品一般販売業者Aに対して医薬品である家庭用殺虫剤シントウBVS乳剤一八1入り三缶を注文したが、その際配布の手数をはぶくため小分けしてほしい旨要請した。

このため、医薬品一般販売業者AはシントウBVS乳剤をとくに仕入れたドリンクびん約六六五本に小分けし、自治会役員に交付したが、この場合医薬品販売業者Aは薬事法第十二条第一項違反となるかどうか。

2 前記小分け行為が薬事法第十二条第一項違反に該当しない場合、BVS乳剤をつめたドリンクびんは薬事法第五十条に定める医薬品となるかどうか、また、同条に定める直接容器等の記載事項を表示する必要があるかどうか。

なお、当庁の見解はつぎのとおりである。

「薬事法第十二条第一項の製造には、小分けを含むものと解されているが、特定の需要者の注文に応じてはかり売りすることは、小分けとは異なるものとされている。」

設問の場合、自治会役員の注文に応じて小分けしているので、はかり売りのようにも受けとれるが、はかり売りが小分けと異なる規制を受けている趣旨は、特定の需要者が、その医薬品の内容、用法等を承知しているので内容の不知あるいは誤認による事故の防止が期待できるためと考えられる。

しかし、特定の需要者の注文による場合であつても、その需要者が直接使用するのでなく、さらに六〇〇人以上もの多数人に頒布する場合には、危害防止の担保はないものとみられるので、法第十二条第一項の小分けに含まれるものと解する。

したがつて、直接容器等の記載事項の表示義務もあるものと解する。

(昭和四四年一一月六日 薬事第三二六号)

(警察庁保安部保安課長あて厚生省薬務局薬事課長回答)

昭和四十四年六月十二日警察庁丁安発第二三二号をもつて照会のあつた標記について、左記のとおり回答する。

1 照会事項の1について

医薬品の販売業者において、医薬品の直接の容器又は被包を開き、その医薬品を分割して販売する行為が、販売の一態様に過ぎない分割販売に該当するか、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十二条第一項に規定する医薬品製造業の許可を必要とする小分け製造行為に該当するかの区別は、当該行為が特定の人の求めに応じて行なわれるのか、それとも一般の人の求めに応じ得るようにするためあらかじめ行なわれるのかの相違により判断すべきである。

照会に係る事例においては、特定の人の求めに応じて分割行為が行なわれているものと認められるので、Aは薬事法第十二条第一項の規定に違反しない。

2 照会事項の2について

分割販売された医薬品も薬事法上の医薬品であることに変わりはないので、分割販売された医薬品の直接の容器等に同法第五十条各号に掲げる事項が記載されるなど同法に基づく所要の表示がなされていなければ、同法第五十五条第一項の規定によりその販売、授与等が禁止されるものである。

3 その他参考事項について

照会に係る事例の場合、当該医薬品の容器としていわゆるドリンク剤の容器が使用されているが、当該容器の形状、表示内容等によつては、当該容器に収められている殺虫剤たる医薬品があたかも内服用の液剤であるかの如き誤認を生ずるおそれがあるので、薬事法第五十七条第一項に規定する「医薬品の容器又は被包は、その医薬品の使用方法を誤らせやすいものであつてはならない。」に抵触している可能性があるので、念の為申し添える。