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○薬用ニンジンについて薬事法適用上の疑義及びその行政上の実状についての件

(昭和四一年一月一二日)

(日記刑第五号)

(厚生省薬務局長あて福井地方検察庁検察官検事照会)

捜査上必要があるので、標記の件につき左記事項調査の上、至急回報を煩わしたく、刑事訴訟法第百九十七条第二項により照会いたします。

1 第七改正日本薬局方第二部収載のニンジンGINSENGは薬事法第二条、第十二条第一項、第二十四条第一項によりその「製造業」又は「販売業」を営むことを規制されているものであるが、左記具体的過程の場合どの部分を以て右「製造」又は「販売」に当るものとして行政上取扱つているか。

(1) 生産現地における

(イ) 栽培

(ロ) 収穫

(ハ) 水洗い、毛根除去

(ニ) 乾燥

(2) 生産現地から出荷後

(イ) レッテル貼付(別添写真①のとおり 略)

(ロ) 計量、小売用箱詰め、効能書封入(別添写真②のとおり 略)

(ハ) 漢方薬商の注文に応じて卸売りし、又は直接需要者の求めに応じて小売り

おつて別添貴省薬務局長の回答、通牒は当職においても参照済であるが、なお分明ならざる為、右照会に及んだ次第につき、為念。

2 国産薬用ニンジンの主生産地とみられる福島県においては

(1) 栽培者として

会津ニンジン農業協同組合

があるが

(2) 医薬品の原料と認定しているため、製造、販売の許可は当県にはない。

長野県においては

(1) 栽培者として

丸子町ニンジン農業協同組合

があるが

(2) 製造許可は一件(天徳鉱泉株式会社生薬マスニ薬局)のみで、販売許可は無し。

との趣きであるが、国産薬用ニンジンに関する製造許可の実状如何。特に大手製薬業者でなく、所謂生産地における栽培者或いは元卸業者による製造過程につき行政上如何に取扱われているか。

(昭和四一年二月二三日 薬発第七八号)

(福井地方検察庁検察官検事あて厚生省薬務局長回答)

昭和四十一年一月十二日日記刑第五号をもつて照会のあつた標記について、左記のとおり回答する。

1 照会事項1について

(1) (1)の(イ)から(ニ)に掲げられている行為をなす限りにおいては、行為者が主観的にどのような目的を有していようとも、医薬品の製造行為とはみなされない。

(2) (2)の(イ)及び(ロ)に掲げられている行為は、行為者が医薬品を製造する目的をもつて行なつているものとみなされる場合は、医薬品の製造行為となる。したがつて、たとえば、通常人に医薬品の認識を与えるような事項(日本薬局方に該当する旨を含む。)を記載したレッテルを貼付する等の行為が行なわれれば、その行為は、医薬品の製造行為である。そして、このことは、その行為が生産現地で行なわれるか否かによつて結論を異にするものではない。

なお、本件については、送付された資料(レッテル及び効能書の記載内容は判読しがたい。)をもつてしては、不明である。

(3) AがBに販売する物が、Bにとつて製品たる医薬品であれ、原料医薬品であれ、医薬品と目されるように手を加えられたものであるときAがその手を加える行為を行なうのであれば、Aは医薬品の製造業許可を要し、第三者が手を加えたものにAが何ら手を加えることなくBに販売するのであれば、Aは販売業の許可を要する。また、Aが医薬品と目されない原料物質を販売するのであれば、Aは医薬品の製造業・販売業の許可は要せず、Bが当該原料物質に手を加えて医薬品と目されるものを製出するのであれば、Bは製造業の許可を要する。

本件については、送付された文面だけをもつてしては、不明である。

2 照会事項2について

薬用ニンジンに関する製造許可又は製造承認・許可を受けている者は多数ある。

なお、栽培者、元卸業者については、前記1によつて取り扱つている。