アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○医療用具の製造所における品質保証に関する基準(医療用具GMP)について

(昭和六二年一月二八日)

(薬発第八七号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

医療用具は、医薬品と並び国民の保健衛生上不可欠の医療資源であつて、その品質確保には万全を期す必要がある。このため、従来から、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づき、医療用具製造業者等に対し規制指導を行つてきたところであるが、近年より高い品質の医療用具の供給が要求されていることから、医療用具の総合的品質保証体制の確立が求められている。

このような現状にかんがみ、今般、医療用具の品質確保の基本方針として、別添のとおり、「医療用具の製造所における品質保証に関する基準(医療用具GMP)」を定めたので通知する。

本基準については、昭和六十三年十月からこの基準に沿つて製造が行われることを目途としているので、貴管下医療用具製造業者に対し、その趣旨の周知徹底を図るとともに、自主的に実施計画を立案するよう指導し、これに対し必要に応じ指導助言を行うこととされたい。

なお、本基準の実施については、特に左記事項に留意することとされたい。

1 基準の適用範囲について

本基準は、薬事法第十二条の許可を受けているすべての医療用具製造所について適用するものとすること。

2 品質保証組織の設置について

本基準で品質保証管理者の設置を規定したのは、製造所における品質保証が適切に行われていることを確認させることにより品質確保の向上を図るためであること。

3 標準書等の整備について

本基準において、製品標準書及び品質保証基準書の作成を規定したのは、品質保証に係る業務を適切に行うのに標準となるものが必要であるためであり、そのため標準書等は十分に内容を検討し定めるよう指導するとともに、作業における記録についても製品の品質確認が十分できるようその整備を図るよう指導すること。

4 苦情処理について

品質等に関する苦情処理についての規定を設けたのは、品質の確保に関するあらゆる情報を収集し、これらの情報をもとに品質保証体制の改善を行うことを目的としたものであり、この趣旨に沿つて十分な体制の整備を図るよう指導すること。

5 教育訓練について

教育訓練についての規定を設けたのは、医療用具製造所において医療用具の製造、試験検査等に従事する者に対し、医療用具の品質確保に関する教育訓練に努めることを目的としたものであること。

〔別添〕

医療用具の製造所における品質保証に関する基準(医療用具GMP)

第一章 総則

(目的)

第一条 この基準は、医療用具の製造所における品質保証に関する基準を定めることにより、医療用具の品質の確保を図ることを目的とする。

(定義)

第二条 この基準において、用語の定義は次のとおりとする。

一 「医療用具」とは、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第二条第四項に規定する医療用具をいう。

二 「責任技術者」とは、法第十七条第一項の規定により医療用具の製造を実地に管理する責任技術者をいう。

三 「原料」とは、医療用具の一部を構成する材料、部品等をいう。

ただし、製造中に用いられ、製品の品質に影響を及ぼすものであつて製品である医療用具に使用されていないものを含み、資材及び中間製品を除く。

四 「資材」とは、製品に使用されるものであつて、容器、表示材料(ラベル及び添付文書をいう。)及び包装材料をいう。

五 「中間製品」とは、医療用具の製造の中間工程で造られるものであつて、さらに以後の製造工程を経ることによつて製品となるものをいう。

六 「製品」とは、すべての製造工程を終えた医療用具(最終製品)をいう。

七 「滅菌医療用具」とは、承認書又は許可書に製造工程において滅菌処理を行う旨が記載されている医療用具をいう。

第二章 医療用具製造所の品質保証体制

(品質保証組織)

第三条 責任技術者は、次の各号に掲げる業務を行わなければならない。

一 品質保証に係る業務を管理すること。

二 品質保証に係る業務の結果を評価し、製品の製造所からの出荷の可否を決定すること。

2 医療用具の製造業者は、責任技術者が業務を遂行するに当たつて支障を生じることがないようにしなければならない。

3 医療用具の製造業者は、製造所ごとに直接製造を担当する者以外の者から品質保証管理者を選任し、その者に、当該製造所における品質保証が適正であることを確認させ、かつ、その結果を責任技術者に対して文書をもつて報告させなければならない。

4 責任技術者は、やむを得ないと認められる場合には、品質保証管理者を兼務することができる。

(製品標準書等の整備)

第四条 医療用具の製造業者は、製造所における品質保証に係る業務を適切に行うため次の各号に掲げる書類を製造所ごとに作成しなければならない。

一 製品標準書

二 品質保証基準書

2 医療用具の製造業者は、前項の書類を常に適正なものとするよう努め、管理しなければならない。

(製品標準書)

第五条 製品標準書は、医療用具の品目ごとに作成するものとし、次の各号に掲げる事項が記載されていなければならない。

一 医療用具の類別、一般的名称及び販売名

二 製造承認年月日、製造承認番号及び製造許可年月日

三 形状、構造及び寸法

四 原材料又は成分及び分量

五 性能、使用目的、効能又は効果

六 操作方法又は使用方法

七 製造方法及び製造手順

八 製品の品質に影響を及ぼす原料及び中間製品の規格及び試験方法

九 製品の規格及び試験方法

十 資材の規格及び試験方法

十一 包装形態及び表示事項

十二 制定者及び制定年月日

十三 改訂者、改訂年月日、改訂事項及び改訂理由

十四 その他当該医療用具の品質保証のために必要な事項

2 滅菌医療用具に係る製品標準書にあつては、前項各号に掲げる事項のほか、滅菌方法、滅菌基準及び滅菌の判定に関する事項が記載されていなければならない。

(品質保証基準書)

第六条 品質保証基準書は、次の各号に掲げる事項が記載されていなければならない。

一 製造管理手順

イ 原料及び資材の受入れ時、保管時及び出庫時の注意事項

ロ 中間製品の保管時及び出庫時の注意事項

ハ 製品の保管時及び出荷時の注意事項

ニ 製造工程の管理に関しての作業所への立入制限事項及び各製造工程の点検事項

ホ 製造設備及び器具の管理に関する点検事項及び事故発生時の注意事項

ヘ 作業員の作業管理に関する事項

ト その他製造管理に必要な事項

二 試験検査管理手順

イ 原料、資材、中間製品及び製品の試験検査の方法に関する事項

ロ 試験検査結果の判定に関する事項

ハ 試験検査に関する設備及び器具の点検整備に関する事項

ニ 再試験検査を必要とする場合の取扱いに関する事項

ホ 原料等の製造を外部の者に行わせる場合には、当該発注に係る管理に関する事項

ヘ その他試験検査管理に必要な事項

三 その他

イ 制定者及び制定年月日

ロ 改訂者、改訂年月日、改訂事項及び改訂理由

2 滅菌医療用具、体内に埋め込まれて使用される医療用具その他の品質保証上特に製造衛生管理が必要な医療用具(用時滅菌するものを除く。)を製造する製造所に係る品質保証基準書にあつては、前項各号に掲げる事項のほか、次の各号に掲げる事項が記載されていなければならない。

一 作業室、設備、器具等の衛生管理に関する事項

イ 清掃すべき場所及び機械器具の指定並びに清掃間隔の設定

ロ 清掃作業の手順並びに使用される薬剤及び用具の維持管理

ハ 清掃後の点検方法

二 作業員の衛生管理に関する事項

イ 作業服基準の設定

ロ 健康状態の把握方法

ハ 手洗い方法

ニ 製造衛生に関する注意事項

三 その他製造衛生管理に必要な事項

(作業の実施)

第七条 医療用具の製造業者は、第四条第一項各号に掲げる書類に基づき作業指図書を作成し、当該書類に基づき医療用具の製造及び試験検査の作業を行わなければならない。

(記録)

第八条 責任技術者は、次の各号に掲げる記録を作成し、記録の日から三年間(当該記録に係る医療用具に関して使用の期限の記載が義務づけられている場合には、その使用の期限に一年を加算した期間)保存しておかなければならない。

一 原料であつて製品の品質に影響を及ぼすもの、資材、中間製品並びに製品の保管及び出納記録

二 製造及び試験検査に関する記録

三 構造設備及び器具の点検整備記録

四 衛生管理に関する記録

五 苦情の内容、原因究明及び改善措置を記載した苦情処理記録

六 品質保証管理者が行う確認の記録

第三章 雑則

(苦情処理)

第九条 医療用具の製造業者は、医療用具の品質等に関して苦情があつたときは、その苦情に係る事項が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、その製造所の責任技術者に、苦情に係る事項の原因の究明を行わせるとともに、品質保証体制に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講じさせなければならない。

(教育訓練)

第十条 医療用具の製造業者は、本基準の適正な実施を図るため、その製造所において医療用具の製造、試験検査等に従事する者に対する教育訓練に努めなければならない。