添付一覧
○医師法違反に伴なう死亡診断書について
(昭和二五年四月四日)
(医収第二一九号)
(青森県知事あて厚生省医務局長回答)
照会
右につき、つぎの事項に関し疑義がありますので至急何分の御指示を願いたい。
記
1 医師の資格のないものが、身分を偽つて医師となり、診療業務を為し、その取り扱った患者の死亡に際し死亡診断書を作成交付し同死体を火葬又は土葬に付した場合におけるつぎの取扱方針について
(1) 右による死亡診断書は効力がないことは明確であるが、死体そのものが火葬又は土葬(但し、相当期間が経過して、屍体検証困難なるもの)に付された後であるので他の医師より死体検案書も出し難い。この場合における、医師法及び他の関係法規上の取扱について
2 医師でないものに市町村長が医師でないことを承知しながら医師として雇い入れ(辞令を下付す)市町村民の診断治療に従事せしめた場合右の市町村長は医師法及びその他関係法規に支障なきや
回答
本年三月八日青医第二一二号をもって貴県衛生部長から照会のあった標記の件について、左記のとおり回答する。
記
1 当該医師免許を有しない者の行った診療業務及び死亡診断書の作成交付は、当然医師法第十七条違反の罪を構成するものである。而してこの場合、当該死亡診断書についても、それが医師の作成すべき死亡診断書に非ざることは勿論であり、従って戸籍法第八十六条の診断書とはなり得ないが、それが診断書としての形式的要件を充たす限り、市町村長は適法に死亡届の添付書類として受理し得るものと考えられる。
而して爾後手続の欠缺の追完として他の医師の検案書を得ることが困難な場合にも、戸籍法第八十六条第三項の死亡の事実を証する書面と認められ手続上の瑕疵を補完するに足るものと思われる。従って当該診断書が法律上要求される死亡診断書に非ざることの一事は、その後の埋(火)葬許可証の交付(墓地、埋葬等に関する法律第八条参照)等の行為に何等の影響を及ぼすものではない。
2 当該市町村長の行為は、医師法第十七条違反の罪の教唆犯又は従犯(幇助犯)として処罰せられるべきものと考える(刑法第六十一条から第六十三条まで参照)
3 以上の点に鑑み、貴殿においては、当該無免許医業を行った者及び当該市町村長につき、速やかに告発の手続をとると共に今後共かかる事態の発生せざるよう、一段の御努力を願いたい。