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○死体保存について

(昭和二六年二月一四日)

(医収第七八号)

(新潟県知事あて厚生省医務局長回答)

照会

死体解剖保存法第十九条の規定により死体を保存する場合次の事項を承知いたしたいので照会致します。

1 死体を保存しようとする者と遺族との間に死体の売買が行われることは許されるか。

2 死体保存者が死亡した場合又は死体保存者に於いて事実上死体の保存ができない場合(病院等の管理者に異動があり前任者が死体保存者となっておった場合)該死体保存についての責任の所在及びその取扱は如何にしたらよいか(自然人でなく当該病院等に対して保存許可を与えることは差し支えないか)。

3 保存死体は、死体保存者に於いて、取扱上礼意を失わない限り処分することは自由であるか、又処分に当たっては知事の許可等を必要としないのか。

回答

一月二十五日付医第一○八号で照会の右のことについて左記のとおり回答する。

1 死体を目的とする売買契約は、公序良俗に反するものとして当然無効と解すべきである。もとより死体を保存目的のため特定人に寄付し、それに対し特定人が謝礼をなすことは差し支えない。

2 死体保存者が死亡した場合には、一応保存すべき責任ある者がいないことになるが、この場合引き続き死体を保存しようとする者があれば、その者が新たに法第十九条に規定する手続を経て死体保存者となるべきであり、そのような者がいない場合には、遺族に引き渡すべきである。但し、病院等の管理者に異動があった場合には、後任者において別段の意志を表示しない限り、当然その者が保存者たる地位を承継するものと解すべきである。なお、自然人又は法人でない病院に対し保存許可を与えることはできない。

3 保存死体は、保存者において、特に保存するための許可をうけたものであるから、処分の自由を当然に有するものではなく、保存する必要がなくなった場合には、遺族のある場合には遺族に引き渡すべきであり、遺族が判明しない場合には、一般社会通念に反せず、且つ、公衆衛生上遺憾のないように、例えば墓地埋火葬等に関する法律の規定に従って埋火葬する等の処分をなすべきものである。この場合許可を与えた都道府県知事に対する届出等の措置が望ましいものと考えるが、現行法上許可を要するものとすることは困難である。