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○優生保護法指定医の標識規格について

(昭和三〇年二月一日)

(日母医発第一〇九号)

(厚生省公衆衛生局長あて日本母性保護医協会会長照会)

優生保護法指定医である旨の標示をすることは、医療法第六十九条第四項に基く厚生省告示によって容認されているところでありますが、この標示規格に関して疑問をさしはさむ向きがありますので、お伺いいたします。

同告示には、優生保護法指定医の外、健康保険医、生活保護指定医等十五項目が並記されておりますが、その標示規格については何等の制限をも規定しておりません。従って、標示規格に関しては、これらの指定医の根拠となっている法令に規定があるかどうかによって制限の有無が定められるわけであります。

そこで並記されている健康保険医についてみますと、「健康保険及び船員保険の保険医及び保険薬剤師の指定に関する件(昭和二十三年厚生省令第三十二号)」第四条には、「指定を受けた保険医は病院又は診療所の見易い箇所に一定様式(縦一○・五糎、横五・五糎)の標識を掲げなければならない」と規定し、それぞれ指定医に対し標示義務を課し、そしてその規格を定めておりますから、これらについては、当然定められた規格に従うべきこととなると考えます。

ところが優生保護法指定医については、優生保護法施行規則第八条に標識の規格が定められておりますが、その規定は前二者の場合と違って指定医に対する標示義務ではなく、「都道府県医師会が指定をしたときは一定様式(縦五・五糎、横一○・五糎)の標識を交付しなければならない」として医師会に対する交付義務の規定となっております。このことは、行政監督の便宜上指定医である旨の証明を得せしめるための標識を規定したものであって前二者が一般人の便宜のために標示をさせるものとやや趣を異にすると考えることができます。優生保護法指定医に対して標識掲示義務を課さない規定の解釈としては、第八条に定められた様式は、医業広告としての標示に関するものではないと考えて差支えないかと存じます。

優生保護法指定医である旨の標示は、合法的な人工妊娠中絶を行い得る医師であることを示すものでありますから、母体保護の立場からも、又いわゆるヤミ堕胎を防止する立場からもなるべく一般人に判別のつくような大きさにする必要があると考えます。といって医師としての品位を損するような標示が行われることも適当ではありません。そこで、母性保護医協会において、たて五五糎、横一六糎(施行規則八条の様式は横一○・五糎、たて五・五糎)の規格のものに統一するよう本部において一括これが標示板の製作依頼の計画を進めております。

このような解釈でよろしいでしょうか、何分の御回答をお願いいたします。

(昭和三○年二月一五日 衛発第九八号)

(日本母性保護医協会会長あて厚生省公衆衛生局長回答)

昭和三十年二月一日日母医発第一○九号照会の標記について左記のとおり回答します。

優生保護法施行規則第八条の規定は、直接には都道府県医師会の指定医に対する標識の交付義務を定めているのであるが、同時に交付された標識が病院又は診療所の見易い場所に掲示させることを期待しているものである。

しかしながら優生保護法指定医なる表示をすることは、医療法第六十九条第四項の規定に基き、広告し得る事項として許されているのであるから、交付された標識以外のものであっても差しつかえない。