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○私法上の権利義務関係と病院開設許可について
(昭和六二年七月三日)
(衛総第二一四七号)
(厚生省健康政策局総務課長あて熊本県知事照会)
安定した医療を供給するためには、病院を基本的に構成している土地、建物及び医療設備等について確保されていることが必要であると思量するが、現に申請中である次の件について疑義が生じたので照会します。
1 概要
本病院開設許可申請は、病院開設者A医師が土地、建物及び医療設備一切をBから賃借するものである。
Bは、旧病院跡(土地、建物及び医療設備)を買い取つたものであるが、それ以前にCが土地及び建物については賃貸借契約を、医療設備については売買契約を結んでおりCに使用する権利があると主張、D医師がCから賃借し、診療所(一九床)開設の予定がある。
また、BとCにあつては当該土地、建物及び医療設備について次のとおり係争中である。
(1) Bの申請によりCに対して当該土地、建物立入禁止、医療機械等搬出禁止の仮処分決定がなされている。
(2) (1)の仮処分決定に対して、Cから仮処分異議の申請がなされている。
(3) CからBに対して建物明渡し並びに医療機械及び備品引渡しの訴訟が提起されている。
2 疑義
本申請時、土地、建物及び医療設備については前述のとおり仮処分決定がなされ更に係争中であるが他の要件を満たせば医療法第七条に基づき認可して差し支えないか。
認可できないとすれば、1-(1)に対する判決が出た時、あるいは1-(2)に対する判決が出た時いずれの時点で認可すべきか御教示ください。
(昭和六二年八月六日 総第三五号)
(熊本県衛生部長あて厚生省健康政策局総務課長回答)
昭和六十二年七月三日付け衛総第二、一四七号で照会のあつた標記の件について左記のとおり回答する。
記
医療法上の病院開設許可は主として衛生上の観点からのものであるから、当該申請に係る病院予定地において開設者による平穏な占有が行われていることは審査の対象に含まれるものであるが、許可にあたつて土地建物の私法上の権利関係にまで立ち入つて審査を行うことは予定されていない。したがつて私法上の権利関係について係争中のものであつても、法の定める用件を満たせば許可を与えて差し支えないものと解する。
本件については、開設者による平穏な占有が行われ病院の管理運営に支障をきたさないことを十分確認した上で許可を与えることとされたい。