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○医療法の疑義について

(昭和二七年四月二二日)

(医収第一二六号)

(山口県知事あて厚生省医務局長回答)

照会

左記事項についてこれが取扱上些か疑義があるので至急御指示を願いたい。

(1) 医療法第七条により会社、工場が新たに病院を開設する場合その病院の建設管理並びに維持等について法通りの内容整備をするに当って著しい財政的困難に直面しこれが打開策として公衆の一般市中の病院と特定の契約を締結しその一般病院内に病棟を建築(建築費については会社が負担し他は総て病院側が提供)し運営したい旨の申出が最近著しく増加する傾向にある。この特殊な経営を許可するとすれば病床数を確保しその早期治療を期する面においては一応肯定出来るがその反面双方が管理並びに経済的に非常に有利な点が認められ今後中小の会社は総てこの方法を利用する一方既存の病院との間に相当の摩擦が懸念され公衆医療の適正を図る上に非常に困難な問題が起るものと思われる。

医療法第一条に公衆又は特定多数人云々とあり、公衆のものを対象とする病院と特定多数人のものを対象とする病院とはおのずから別個(この場合近接する会社が合体して一つの特定多数人のための病院を開設する場合は差し支えない)なものであり開設目的を異にするこれらの者が合体して病院を運営することは認め難きものと考えられ、且つ、特定多数人の病院が一般住民の診療を行うことについてもその地方の医療機関整備等の特殊事情を除いては原則的に一般患者の診療は適当でない旨指示されている。(昭和二十五年二月十四日医収第九二号医務局長から愛知県知事宛)

追って本件に関連しさきに「一般病院に会社工場専用病棟建設について」の照会に対し客年十月十六日医第一五一号をもって貴局医務課長より回答に接したがこれが基本的内容について昭和二十五年八月三十日保発第五八号厚生省保険局通牒の「健康保険組合における結核施設に関する件(別紙写のとおり)」並びに昭和二十五年八月二十八日保険発第一七二号保険局健康保険課長通知の同件と相当錯誤があるように見受けられるのでこれが措置について明確な指示を乞う。

(2) 従来の伝染病院を整備して、高度の医療処置を加える為最近関係市町村が連合して一部事務組合を設立し適当な公的病院にこれが施設を併設せられて来たがこの場合、開設者が相違するため更に伝染病院としての名称を使用したい旨申出があるが、その構造設備等の規定の適用は一般病院と同様医療法により指示しておるもその主要部分たる医師その他の従業者、給食施設等は総て親病院にその管理を委託せられる現状にある。

従って総て独立したものを除く外は単なる伝染病棟として医療法施行規則第一条第二項の規定を適用して差し支えないか。(昭和二十六年四月二十七日衛防第六三号公衆衛生局防疫課長通知を参照願いたい。)

回答

二月十九日衛医第一五九号により照会のあった標記に関し左記の通り回答する。

1(1) 客年十月十六日医第一五一号をもって医務課長より回答致した通り既存の一般病院に会社の従業員等の如き特定多数人のための専用の病棟をその会社の負担により建設し、これが運営を当該病院に委託し、その特定多数人のみを収容するようにすることは法律上差し支えないものと解する。

(2) 医療法第一条の解釈については、公衆のための病院と特定多数人のための病院とを峻別して解すべきではなく、公衆及び特定多数人の両者を目的とする病院もありうると解する。

(3) なお、昭和二十五年二月十四日医収第九二号愛知県知事宛通牒は、従業員を対象とする病院として認められる会社附属の病院が一般住民の診療を行うことの可否について回答したものであり右記(1)とは別個の問題である。

(4) 公的医療機関に特定多数人のための専用の病棟を附設することの可否については、昭和二十六年十月十六日医第一五一号通牒の通り取り扱われたい。

なお、保険局としては今後は地方公共団体に経営を委託することは原則として為さないよう指導する方針であるので御了知ありたい。

2 病院として独立して運営管理されているものを除いては、伝染病棟として取り扱うべきであり、従ってかかるものが伝染病院の名称を使用することは適当ではないと解する。

なお「伝染病院隔離病舎設置要綱」における伝染病院の定義は伝染病予防法の施行便宜上定められたものであるから医療法上においては前記の通り取り扱うべきものと解する。