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○水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律について

(平成六年八月八日)

(衛水第二一九号)

(各都道府県知事あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成六年法律第八号。以下「法」という。)、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律施行令(平成六年政令第百三十四号)及び水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律施行規則(平成六年厚生省令第三十六号。以下「規則」という。)がいずれも平成六年五月十日に施行されるとともに、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する基本方針(平成六年厚生省、農林水産省、建設省告示第一号。以下「基本方針」という。)が平成六年五月十六日に公表されたところである。

ついては、左記事項に十分留意の上、法の円滑かつ効果的な運用に万全を期されたい。

1 法は、水道事業者及び水道用水供給事業者(以下「水道事業者」という。)において、水道原水の水質の汚濁等に応じて講じた措置及び講じようとする措置のみによっては水質基準に適合する水道水の供給が困難となるおそれがあり、これらの措置以外の措置を講ずることが困難である場合に、そのような水道事業者による水道原水水質保全事業の実施の促進についての自発的な要請により発動し、又、法に基づく都道府県計画及び河川管理者事業計画(以下「事業計画」という。)は対象水道事業者の自主的な同意等に基づいて策定されるものである。このような法の趣旨を貴管下水道事業者に対し周知徹底されたい。

2 法第二条第四項第三号に掲げる事業としては、し尿及び雑排水を集合して処理する農業集落排水施設、林業集落排水施設、漁業集落排水施設の整備に関する事業のほか、小規模集合排水処理施設(地方単独事業として行われる小規模集合排水処理施設設置整備事業により整備される施設をいう。)の整備に関する事業などの地方公共団体及び土地改良区その他の農林漁業者の組織する団体が事業主体として実施するものが該当する。

3 法第四条第一項の水道事業者の要請に係る基本方針の第一の一は次のように運用することとしているので了知されたい。

(1) 「過去一定期間内」は、原則として過去五年以内であること。

(2) 「基準値の一定割合を超える等」とは、水質基準に関する省令(平成四年厚生省令第六十九号)の表の上欄に掲げる事項(以下「水質基準項目」という。)のうち、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム及び総トリハロメタン(以下「トリハロメタン」という。)については同表の中欄に掲げる基準(以下「基準値」という。)の七割を超えることであり、味・臭気については、水道原水において恒常的に異常な味・臭気が生じている等、水道水において異常な味・臭気が生じるおそれがあることとする。なお、これら以外の水質基準項目については、対象水道原水に係る水道水の水質の変動の状況、基準値に対する割合等を考慮して適切に判断するものであること。

4 トリハロメタンのいずれかについて法第四条第一項の要請を受けた都府県の知事は、「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法」(平成六年法律第九号。以下「特別措置法」という。)第四条第三項の規定による通知を行うべき場合には、遅滞なく当該通知を行われたい。

5 都道府県計画の策定に関し、都道府県の関係部局と十分な連絡調整を行うこと。また、関係市町村においても、都道府県計画への同意等に際して、関係部局間の十分な連絡調整が行われるものであること。

6 都道府県計画に厚生省、農林水産省又は建設省の所管に係る事業を定めようとする場合は、当該計画に定められる事業への国庫補助等の援助が円滑に講じられるよう、当該事業に係る計画の策定段階から厚生省、農林水産省又は建設省と連絡を密にするよう御願いする。

7 法に規定される河川法第七条の河川管理者とは、一級河川については、同法第九条第二項の指定区間を含めて建設大臣であることに留意されたい。ただし、この場合、法第四条の規定による河川管理者への通知及び法第五条の規定による都道府県計画の河川管理者への協議は、指定区間の場合には都道府県の河川担当部局を通じて、また、直轄管理区間の場合には管轄の地方建設局(北海道にあっては北海道開発局。以下同じ。)を通じて行うこととされたい。なお、法第十条の規定による計画水道事業者が行う水道原水等の水質記録の提出は、当該指定区間の場合には都道府県の河川担当部局に対して、また、当該管轄管理区間の場合には管轄の地方建設局に対して行うこととされたい。

8 法第十条第一項の規定による水道原水の水質の検査については、規則第一条に示しているところであるが、更に次に掲げる諸点に留意されたい。

(1) 計画水道原水に係る水道水の水質が最も悪化していると考えられる時期を含んで一年以内ごとに一回、都道府県計画又は河川管理者事業計画において対象水道原水に係る水道水が基準を満たさなくなるおそれがあるとされているものに係る事項について、計画水道原水の水質の検査を実施すること。

なお、計画水道原水に係る水道水においてトリハロメタンのいずれかが基準を満たさなくなるおそれがあるとされている場合には、当該水道原水についてクロロホルム生成能、ジブロモクロロメタン生成能、ブロモジクロロメタン生成能、ブロモホルム生成能及び総トリハロメタン生成能の水質の検査を行うこと。

(2) 水道原水の水質が汚染されるおそれがあるとき又はその水質が継続的に悪化していると考えられるときは、必要に応じて、検査の頻度を高めること。

9 将来、法第十四条第一項に基づいて計画水道事業者に対し費用の負担を行わせることが適当と認められる事業については、基本方針の改正により、同規定の適用が可能であること。

10 基本方針第四の二の1の(三)及び(四)において、費用負担の対象となるのは、同(一)及び(二)に掲げる事業と同等の水質改善効果を有する高度な処理のための合併処理浄化槽の整備に関する事業である旨示しているところであるが、合併処理浄化槽については構造により性能が規定されていることに鑑み、この高度な処理のための合併処理浄化槽は、高度な処理性能を有するものとして建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例で構造基準の定められたもの、又は同法に基づく認定若しくは指定を受けたものであるので留意されたい。

11 基本方針第四の三の1の「水道原水として当該対象水道事業者が利用する上で維持することが望ましい水質と比較した水道原水の水質の状況」とは、環境基本法第十六条第一項の基準の達成状況を意味するものであり、その他のものを意味するものではないこと。

12 事業計画と特別措置法に基づく水質保全計画を一体のものとして作成する場合においては、次の事項に留意されたい。

(1) 基本方針第五の五の「指定地域として指定されている場合」とは、水道原水水質保全事業の実施区域が当該指定地域に包含されている場合を指すものであること。

(2) 基本方針第五の五の「一体のものとして作成」とは、本法に基づく事業計画及び特別措置法に基づく水質保全計画をそれぞれ策定する際に、計画策定者から市町村等に対して行う協議等の手続きを必要に応じて同時に行うこと、あるいは両計画を書類上一つのものとすることなどを意味するものであること。

13 法の運用にあたり、同一水系から取水している関係水道事業者が、都府県や市町村の区域にとらわれずに相互に密接な連絡をとりながら協力し合うことができるように、これらの水道事業者の緊密な情報交換、意見交換等を可能とするような連絡体制が整備されるよう関係の都府県とともに貴管下水道事業者を支援されたい。

14 水道原水の水質保全のために、水道事業の推進上、既存の各種法制度に基づく措置が必要と思われる場合には、今後とも、水道法第四十三条に基づく要請を適切に行うことなどによる積極的な対応により良好な水道原水の確保に万全を期すよう、貴管下水道事業者を指導されたい。