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○薬液注入工事による汚染事故の防止について
(昭和四九年四月三〇日)
(環水第五五号)
(各都道府県水道主管部(局)長あて厚生省環境衛生局水道環境部長通知)
最近、別紙事例に見られるように、薬液注入工事による井戸の汚染事故が発生している。この工法は地盤凝結の目的で近年土木工事に広く用いられているが、適切な工法を実施しなければ薬液による地下水汚染の可能性も考えられるので、関係機関と協議のうえ、施工時の事故防止に遺漏のないよう、管下関係市町村への指導の徹底方をお願いする。
(別紙)
〔事例〕 昭和四十九年三月二十二日、福岡県新宮町において不明疾患の報告があった。疾患はM氏一家五人の全員にみられ、歩行障害などの症状があり、重症二人と中症一人が九大病院に入院した。その時点でM氏宅の井戸水からアクリルアマイドが約四○○ppm検出されており、九大の診断によっても、この物質による亜急性中毒が疑われているが、さる二月十五日から二十二日にかけて行われた下水管埋設工事に伴い地盤に注入された凝結剤(商品名、日東SS30R、主成分アクリルアマイド)のうち未反応のモノマー等が約二・五m離れたM氏宅の井戸に混入し、家人がこの水をおよそ一か月にわたりくり返し摂取したことが原因と推定される。
なお、当地区は簡易水道の給水地区であるが、地下水の水質が良いため、M氏宅では飲料水専用に井戸を使用していたものである。