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○浄水場排水処理施設の整備について
(昭和四八年八月一〇日)
(環水第九五号)
(各都道府県水道行政担当主管部(局)長あて厚生省環境衛生局水道課長通知)
浄水場排水処理施設の整備については、かねてから管下水道事業体等の指導をお願いしてきたところであるが、相当規模の浄水場については水質汚濁防止法に基づき近く特定施設に指定され昭和五十一年六月二十五日より一般基準が適用される。その範囲、指定年月日及び昭和五十一年六月二十四日までの取扱いについては、目下関係省庁と協議中であるが、施設整備の基準については成案を得たので、左記事項について周知せしめられると共にその指導方につき、よろしく御配慮願いたい。
なお、浄水場排水処理施設の整備状況は全般的に必ずしも順調であるとは言い難いので、処理を要する排水を排出する浄水場のうち、未だ処理計画を策定していない浄水場にあつては、早急に計画を策定し、施設整備に着手するよう指導されたい。
記
1 施設整備の基準
通常の浄水場からの排出水については、総理府令で定めた「排水基準」のうち浮遊物質量(SS)に着目する必要があり、このSS値が施設整備の基準といえる。
原水のSSがどの程度のところまで処理の対象とするかについては、原則的には浄水場固有の社会環境条件等によつて個別に設定すべきものであるが、全国的な均衡をとるために、対処すべき最低限の基準を設定することとした。
浄水場として必要であり、また可能であれば、いかなる場合にも排水処理しうるような処理計画をたて、それに見合つた施設を設計することが望ましい。ことに原水の最高SS値が絶対的に小さい場合とか、原水のSS値変化の幅が小さいような河川等から取水する場合には、全量処理を原則として設計すべきである。
原水SS値変動幅が大きく、また最高SS値も絶対的に大きいというような浄水場にあつては、最低限、年間日数の九五%までは処理できるような施設を有することが適当である。大部分の河川においては年間平均SS値の四倍をとれば、それ以下の日数が年間の九五%以上を占めるから、施設計画上は年間平均SS値の四倍までは処理するという処理計画を策定し、それに基づいて排水処理施設の整備を行なうこととする。なお、処理計画の策定にあたつては、運転計画および、浄水処理や排水処理の各施設における貯留能力等を考慮する必要がある。
2 施設規模決定上考慮すべき事項
浄水場によつては固有の社会環境条件等によつて、年間平均SS値の四倍まで処理するという計画では不十分なこともあるので、その場合にはより高濁水時を処理対象とした処理計画を策定することが必要である。その場合、次のような条件等を考慮して処理対象値を設定していくこととする。
ア 都道府県条例による規制
イ 浄水場周辺の環境条件
ウ 取水河川の流況および水質の状況
エ 放流河川の流況および水質の状況
オ 浄水施設の種類と規模
カ 排水量と排水水質
キ 放流水域の利用状況
なお、処理対象値としては次のようなものを採用するのが考え易い。
ア 原水SS値が150mg/lまでは処理する。
イ 洪水時を除いて全量処理する。
洪水時を水質的に定義するのは、個々の河川の流況が異なるため一概には言えないが、年に数回程度起こりうる高SS値時と考えるのが適当である。