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○標準給水条例(規程)の送付について

(昭和三三年一一月一日)

(衛水第六一号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省水道課長通知)

日本水道協会作成の標準給水条例(規程)を別添のとおり送付するから参考に供されたい。

○○市(町村)○○水道事業給水条例(規程)

(注解)

一 この標準給水条例は、その事業主体を地方公共団体として規定してあるので、地方公共団体以外の水道事業者が行う水道事業に適用する場合は条例の字句を使用してはならない。

二 この標準給水条例には水道法第十四条に基く供給規程として必要な事項を列挙してあるが、法的な条例事項のほかに管理規程に譲り得るものも含まれているので、条例事項以外は必要に応じて、規程の内に移しても差し支えない。

三 同一市(町村)に二つ以上の水道がある場合は各別にその属する水道事業の名称を附し、例えば○○市/(甲)/(乙)水道事業給水条例等とすること。

四 地方公営企業法の適用を受ける水道事業については過料の条項を除いて市(町村)長とあるのは、管理者と読み替えるものとする。

第一章 総則

(条例の目的)

第一条 この条例は、市(町村)○○水道事業の給水についての料金及び給水装置工事の費用負担、その他の供給条件並びに給水の適正を保持するために必要な事項を定めることを目的とする。

(注解)一 本条中「給水の適正を保持するため必要な事項…」とは、地方自治法に基く規定であるので地方公共団体以外の事業主体が行う水道事業に於いては、この字句を使用してはならない。

(給水区域)

第二条 市(町村)○○水道事業の給水区域は○○市(町村)の次の区域とする。

(注解)

一 給水区域は、町名、字名等をできるだけ詳細に記入するほか、なお不十分なときは図面を添付する等の方法により、具体的に表示すること。

二 給水区域が市(町村)の全域に亘る場合は、町名、字名等をあげる必要はない。

三 給水区域が字句で的確に表示できるときは図面の添付を要しない。

(給水装置の定義)

第三条 この条例において、「給水装置」とは、需要者に水を供給するために市(町村)長(又は管理者)(以下「市(町村)長」という。)の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう。

(給水装置の種類)

第四条 給水装置は次の三種とする。

一 専用給水装置 一(世帯/戸)又は一箇所で専用するもの

二 共用給水装置 二(世帯/戸)若しくは二箇所以上で共用するもの

三 私設消火せん 消防用に使用するもの

(注解)

一 水道事業がその対象とする場合の「世帯」又は「戸」の観念は統一されておらず、適宜運用している実情にかんがみ、事業主体がいずれかの表現により、運用上支障のないようにすること。

第二章 給水装置の工事及び費用

(給水装置の新設等の申込)

第五条 給水装置を新設、改造又は撤去しようとする者は、市(町村)長の定めるところにより、あらかじめ市(町村)長に申し込み、その承認を受けなければならない。

(新設等の費用負担)

第六条 給水装置の新設、改造又は撤去に要する費用は、当該給水装置を新設、改造又は撤去する者の負担とする。ただし市(町村)長が、特に必要があると認めたものについては、市(町村)においてその費用を負担することがある。

(注解)

一 給水装置の新設、改造又は撤去に要する費用についてその負担区分を設ける場合は、次の例文のように規定すること。

「給水装置の新設、改造又は撤去に要する費用は、市(町村)において○○部分を負担し、その他の部分は、当該新設、改造又は撤去をしようとする者の負担とする。ただし、市(町村)長において特に必要があると認めたときは、当該新設、改造又は撤去をしようとする者が、負担すべき部分についても市(町村)において、その費用を負担することがある。」

(工事の施行)

第七条 給水装置の新設、改造及び撤去の設計及び工事は、市(町村)長が施行する。ただし、止水せん以下の給水装置の設計及び工事については、市(町村)長が指定する者が施行することができる。

2 前項ただし書の規定により、市(町村)長が指定する者が、設計及び工事を施行する場合は、あらかじめ市(町村)長の設計審査及び材質検査を受け、かつ、工事しゆん工後に市(町村)長の工事検査を受けなければならない。

3 第一項本文の規定により市(町村)長が工事を施行する場合ににおいては、当該工事に関する利害関係人の同意書等の提出を求めることがある。

(工事費の算出方法)

第八条 市(町村)長が、施行する給水装置工事費は、次の合計額とする。

一 材料費

二 運搬費

三 労力費

四 道路復旧費

五 工事監督費

六 間接経費

2 前項各号に定めるもののほか、特別の費用を必要とするときは、その費用を加算する。

3 前二項に規定する工事費の算出に関して必要な事項は、別に市(町村)長が定める。

(注解)

一 本条に列記した費目は例示にすぎないので、事業主体の実情ならびに必要により、適宜その費目を調整すること。

二 工事費の算出に関して必要な事項は、別に規則(管理規程)によつて定めること。

(工事費の予納)

第九条 市(町村)長に給水装置の工事を申し込む者は、設計によつて算出した給水装置の工事費の概算額を予納しなければならない。ただし、市(町村)長が、その必要がないと認めた工事については、この限りでない。

2 前項の工事費の概算額は、工事しゆん工後に清算する。

(注解)

一 事業主体の必要に基き、工事費の分納の特例を設けるときは、本条の次に、左の例文のような規定を設ける必要がある。

(工事費の分納)

第○条 前条第一項の工事費の概算額は、新設または改造の工事に関するものに限り、市(町村)長が定めるところにより、市(町村)長の承認を受けて、○ケ月以内において分納することができる。

(給水装置所有権の移転の時期)

第○条 市(町村)長が、給水装置の工事を施行した場合における当該給水装置の所有権移転の時期は、当該給水装置の工事の工事費が完納になつた時とし、その管理は、当該工事の工事費が完納になるまでの間においても工事申込者の責任とする。

(工事費の未納の場合の措置)

第○条 市(町村)長が施行した給水装置の工事の工事費を、工事申込者が指定期限内に納入しないときは、市(町村)長は、その給水装置を撤去することができる。

2 前項の規定により、市(町村)長が給水装置を撤去した後、なお損害があるときは、工事申込者は、市(町村)長にその損害を賠償しなければならない。

(給水装置の変更等の工事)

第十条 市(町村)長は、配水管の移転その他特別の理由によつて、給水装置に変更を加える工事を必要とするときは、当該給水装置の所有者の同意がなくても、当該工事を施行することができる。

第三章 給水

(給水の原則)

第十一条 給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事情及び法令又は、この条例の規定による場合のほか、制限又は停止することはない。

2 前項の給水を制限又は停止しようとするときは、その日時及び区域を定めて、その都度これを予告する。ただし、緊急やむを得ない場合は、この限りでない。

3 第一項の規定による、給水の制限又は停止のため損害を生ずることがあつても市(町村)は、その責を負わない。

(給水の申込)

第十二条 水道を使用しようとする者は、市(町村)長の定めるところにより、あらかじめ、市(町村)長に申し込み、その承認を受けなければならない。

(給水装置の所有者の代理人)

第十三条 給水装置の所有者が、市(町村)内に居住しないとき、又は、市(町村)長において必要があると認めたときは、給水装置の所有者は、この条例に定める事項を処理させるため、市(町村)内に居住する代理人を置かなければならない。

(管理人の選定)

第十四条 次の各号の一に該当する者は、水道の使用に関する事項を処理させるため、管理人を選定し、市(町村)長に届け出なければならない。

一 給水装置を共有する者

二 給水装置を共用する者

三 その他市(町村)長が必要と認めた者

2 市(町村)長は、前項の管理人を不適当と認めたときは、変更させることができる。

(水道メーターの設置)

第十五条 給水量は、市(町村)の水道メーター(以下「メーター」という。)により計量する。ただし、市(町村)長が、その必要がないと認めたときは、この限りでない。

2 メーターは給水装置に設置し、その位置は、市(町村)長が定める。

(メーターの貸与)

第十六条 メーターは、市(町村)長が設置して、水道の使用者又は管理人若しくは給水装置の所有者(以下「水道使用者等」という。)に保管させる。

2 前項の保管者は、善良な管理者の注意をもつてメーターを管理しなければならない。

3 保管者が、前項の管理義務を怠つたために、メーターを亡失又は、き損した場合はその損害額を弁償しなければならない。

(水道の使用中止、変更等の届出)

第十七条 水道使用者等は、次の各号の一に該当するときは、あらかじめ、市(町村)長に届け出なければならない。

一 水道の使用をやめるとき。

二 用途を変更するとき。

三 消防演習に私設消火せんを使用するとき。

2 水道使用者等は、次の各号の一に該当するときは、すみやかに、市(町村)長に届け出なければならない。

一 水道の使用者の氏名又は住所に変更があつたとき。

二 給水装置の所有者に変更があつたとき。

三 消防用として水道を使用したとき。

四 管理人に変更があつたとき又は、その住所に変更があつたとき。

(注解)

一 定額制を採用している市(町村)においては、給水人員の標準等に異動を生じたときは、その旨を届け出るように規定すること。

(私設消火せんの使用)

第十八条 私設消火せんは、消防又は、消防の演習の場合のほか使用してはならない。

2 私設消火せんを、消防の演習に使用するときは、市(町村)長の指定する市(町村)職員の立会を要する。

(水道使用者等の管理上の責任)

第十九条 水道使用者等は、善良な管理者の注意をもつて、水が汚染し又は漏水しないよう、給水装置を管理し、異状があるときは、直ちに市(町村)長に届け出なければならない。

2 前項において修繕を必要とするときは、その修繕に要する費用は、水道使用者等の 負担とする。ただし、市(町村)長が必要と認めたときは、これを徴収しないことがある。

3 第一項の管理義務を怠つたために生じた損害は、水道使用者等の責任とする。

(給水装置及び水質の検査)

第二十条 市(町村)長は、給水装置又は供給する水の水質について、水道使用者等から請求があつたときは、検査を行い、その結果を請求者に通知する。

2 前項の検査において、特別の費用を要したときは、その実費額を徴収する。

第四章 料金及び手数料

(料金の支払義務)

第二十一条 水道料金(以下「料金」という。)は、水道の使用者から徴収する。

2 共用給水装置によつて水道を使用する者は、料金の納入について連帯責任を負うものとする。

(料金)

第二十二条 料金は次の表の通りとする。

種別

料率

用途

基本料金(一カ月につき)

超過料金一立方メートルにつき

水量

料金

専用

一般用

使用水量○立方メートルまで

営業用

浴場営業用

共用

 

一(/世帯/戸/)につき使用水量○立方メートルまで

付記

一 一般用とは、営業用及び浴場営業用以外の用に水道を使用する場合をいう。

二 営業用とは、料理店、飲食店、娯楽場等の営業の用に水道を使用する場合をいう。

三 浴場営業用とは、一般の公衆浴場営業の用に、水道を使用する場合をいう。

(注解)一 本条は、事業主体の実情並びに必要により適宜その種別又は用途を定めて規定すること。

二 定額せんを設ける場合は、その料金については、本条中に規定する必要がある。

三 定額制と計量制を併用するために、メーター使用料を別途徴収する必要ある場合においては、メーター使用料について規定すること。

(料金の算定)

第二十三条 料金は、定例日(料金算定の基準日として、あらかじめ、市(町村)長が、定めた日をいう。)に、メーターの点検を行い、その日の属する月分として算定する。ただし、やむを得ない理由があるときは、市(町村)長は、定例日以外の日に点検を行うことができる。

(使用水量及び用途の認定)

第二十四条 市(町村)長は次の各号の一に該当するときは、使用水量及びその用途を認定する。

一 メーターに異状があつたとき。

二 料率の異なる二種以上の用途に水道を使用するとき。

三 使用水量が不明のとき。

四 共用給水装置により、水道を使用するとき。

(注解)一 本条に基く認定をする場合は、次の基準によることが考えられる使用水量について

(1) 前○カ月間の使用水量、その他の事情を考慮して認定する。

(2) 前年度同期の使用水量を考慮して認定する。

(特別な場合に於ける料金の算定)

第二十五条 月の中途において水道の使用を開始し、又は使用をやめたときの料金は次の通りとする。

一 使用水量が、基本水量の二分の一以下のとき、基本料金の二分の一

二 使用水量が、基本水量の二分の一を超えるときは、一ケ月として算定した金額

2 月の中途においてその用途に変更があつた場合は、その使用日数の多い料率を適用する。

(注解)一 中途料金を一カ月として算定する場合は、次の例文のように規定すること。

「月の中途において水道の使用を開始し、又は中止したときは、その料金は一カ月分として算定する。」

二 右のほか日割計算による方法をとることも差し支えない。

(臨時使用の場合の概算料金の前納)

第二十六条 工事その他の理由により、一時的に水道を使用する者は、水道の使用の申込の際、市(町村)長が定める概算料金を前納しなければならない。ただし、市(町村)長が、その必要がないと認めたときは、この限りでない。

2 前項の概算料金は、水道の使用をやめたとき、清算する。

(料金の徴収方法)

第二十七条 料金は、納額告知書又は集金の方法により毎月徴収する。ただし、市(町村)長は必要があるときは、○カ月分をまとめて徴収することができる。

(手数料)

第二十八条 手数料は、次の各号の区別により、申込者から申込の際、これを徴収する。ただし、市(町村)長が、特別の理由があると認めた申込者からは、申込後、徴収することができる。

一 第七条第一項の工事の設計をするとき

一件につき           円

二 第七条第二項の材料の検査をするとき

 

口径

二五耗まで

五〇耗まで

一五〇耗まで

三五〇耗まで

種別

 

給水管一米につき

金属製品

化学製品

 

水せん・弁論・消火せん一個につき

異形管一個につき

金属製品

化学製品

 

湯沸器一個につき

 

その他一個又は一本につき

 

三 第七条第二項の工事の検査をするとき

一回につき           円

四 第十八条第二項の消防演習の立会をするとき

一回              円

(注解)一 本条は第七条及び第十八条の規定に関連する例示にすぎないので事業主体の実情ならびに必要により適宜その種別に応じて規定すること。

(料金、手数料等の軽減又は免除)

第二十九条 市(町村)長は、公益上その他特別の理由があると認めたときは、この条例によつて納付しなければならない料金、手数料、その他の費用を軽減又は免除することができる。

第五章 管理

(給水装置の検査等)

第三十条 市(町村)長は、水道の管理上必要があると認めたときは、給水装置を検査し、水道使用者等に対し、適当な措置を指示することができる。

(給水装置の基準違反に対する措置)

第三十一条 市(町村)長は、給水装置の構造及び材質が、水道法施行令(昭和三十二年政令第三百三十六号)第四条に定める基準に適合していないときは、給水の申込を拒み、又は、使用中の給水装置の構造及び材質が、同条に定める基準に適合しなくなつたときは、適合させるまでの間、給水を停止することがある。

(注解)一 給水装置の構造、材質の基準は水道法第十六条の規定に基き、同施行令第四条に規定するところであるが、同規定のみでは適確な実施ができないときは、これに関し別に規則(管理規程)を設けても差し支えない。

(給水の停止)

第三十二条 市(町村)長は、次の各号の一に該当するときは、水道の使用者に対し、その理由の継続する間、給水を停止することができる。

一 水道の使用者が、第八条の工事費、第十九条第二項の修繕費、第二十二条の料金、又は、第二十八条の手数料を指定期限内に納入しないとき。

二 水道の使用者が、正当な理由がなくて、第二十三条の使用水量の計量、又は、第三十条の検査を拒み、又は、妨げたとき。

三 給水せんを、汚染のおそれのある器物又は、施設と連絡して使用する場合において、警告を発しても、なお、これを改めないとき。

(給水装置の切り離し)

第三十三条 市(町村)長は、次の各号の一に該当する場合で、水道の管理上必要があると認めたときは、給水装置を切り離すことができる。

一 給水装置所有者が、○○日以上所在が不明で、かつ、給水装置の使用者がないとき。

二 給水装置が、使用中止の状態にあつて、将来使用の見込がないと認めたとき。

(注解)一 本条第一号の日数は、六十日乃至九十日を基準とすることが妥当と思われる。

(過料)

第三十四条 市(町村)長は、次の各号の一に該当する者に対し、二千円以下の過料を科することができる。

一 第五条の承認を受けないで、給水装置を新設、改造又は、撤去した者

二 正当な理由がなくて、第十五条第二項のメーターの設置、第二十三条の使用水量の計量、第三十条の検査、又は、第三十二条の給水の停止を拒み、又は妨げた者

三 第十九条第一項の給水装置の管理義務を著しく怠つた者

四 第二十二条の料金又は、第二十八条の手数料の徴収を免れようとして、詐欺その他不正の行為をした者

(注解)一 過料処分は、地方自治法に基く規定であるので、地方公共団体以外の事業主体が行う水道事業については、過料の規定は設けてはならない。

二 過料処分は、地方自治法に基く市(町村)長の権限事項であるので、公営企業法上の事業管理者が、これを科するような規定方法をとつてはならない。

(料金を免れた者に対する過料)

第三十五条 市(町村)長は、詐欺その他、不正行為によつて第二十二条の料金又は、第二十八条の手数料の徴収を免れた者に対し、徴収を免れた金額の五倍に相当する金額以下の過料を科することができる。

(注解)一 本条も第三十四条の注解と同様の趣旨により地方公共団体以外の事業主体が行う水道事業については、この規定は設けてはならない。

第六章 補則

(委任)

第三十六条 この条例の施行に関し必要な事項は、市(町村)長が定める。

附 則

この条例は、昭和 年 月 日より施行する。

(注意)

この標準給水条例(規程)は、全国的な一般事項を規定したものであるから、その地方の特殊事情を加味した条項を適宜追加して、当該水道事業の実情に、最も適切な給水条例(規程)を作成されることが望ましい。