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○バラムツの取扱いについて

(昭和四五年九月四日)

(環乳第八三号)

(各道府県・各政令市衛生主管部(局)長あて厚生省乳肉衛生課長通知)

標記について東京都衛生局長より別添(1)のとおり照会があつたので、別添(2)のとおり回答したから御了知ありたい。

なお、バラムツの検索方法は別添(3)を参考されたいこと。

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別添(1)

(昭和四四年一○月四日 四四衛公乳発第二四八号)

(厚生省環境衛生局長あて東京都衛生局長照会)

本都において、左記のようなバラムツによる食中毒が発生したが、バラムツにはロウ分(ワックス)が含有され、これを相当量喫食すると下痢、腹痛等の症状を呈するので従来は、ねり製品等に使用されていた。

しかし、最近は冷凍技術の発達によりバラムツが生鮮切身として市販され、食中毒の発生するおそれが多分に考えられるようになつた。

このバラムツに含有されているロウ分は、食品衛生法第四条第二号に言う「有毒な又は有害な物質」に該当するか否か、或いは同法施行規則第一条第一号に該当するか否か、御教示願います。

食中毒発生状況

1 原因食 バラムツの煮付(しよう油、砂糖による)

2 患者数 一一名(喫食者一一名)

3 喫食量 最高三切(夜二切、朝一切)

 最低二分の一切(一切約一五○g)

4 症状

特異な下痢(排便前に悪臭のある油状のものを排泄)、吐気、腹痛

5 潜伏時間 二○時間前後

6 細菌検査 病原微生物すべて陰性

なお、このバラムツは魚介類販売業者が、中央卸売市場仲買より冷凍品(丸一本)を購入し、一切約一五○gの切身にして市販したもので、喫食者はカジキマグロと思つて喫食している。

別添(2)

(昭和四五年九月四日 環乳第八三号)

(東京都衛生局長あて厚生省乳肉衛生課長回答)

昭和四十四年十月四日四四衛公乳発第二四八号による照会にかかるロウ分を含んだバラムツは、食品衛生法第四条第二号に該当する食品と認められる。

従つて今後当該バラムツが食用に供されることのないよう関係業界を十分指導されたい。

別添(3)

バラムツ(Ruvettus Pretiosus Cocco)の検索方法

(1) 一般的性状

たまかますともいう、京や三重県浜島でばらむつ、高知であぶらうお沖縄本島でいんがんだるみ(胃が緩むの意)という。皮膚は粗雑、上顎と鋤骨に強大な犬歯がある。第一背鰭一三~一五棘、第二背鰭一五~一八軟条と二離鰭臀鰭一五~一八軟条と二離鰭。全長三m殆んど世界中の温い海に分布し、やや深い所にいる。まぐろの延縄にもよくかかる。

(2) バラムツの特徴

1 腹鰭の基部は胸鰭の後端より前方にある。(A)

2 脂鰭がない。

3 腹鰭は胸鰭の基部のわずか後方にある。(B)

4 腹鰭の棘と軟条の数は合計六個またはそれ以下

5 腹鰭に一個の棘と五個の軟条がある。

6 胸鰭の下方の軟条も上方の軟条と同様一つづきの膜でささえられている。(分離していない。)

7 歯は隣りの歯から少なくとも一部が離れて一本づつ見えることが多い。

8 背鰭は二個

9 側線には楯鱗がない。

10 背鰭の後方に小さい離鰭が二個ある。

11 皮ふは粗雑で、側線は不明瞭、尾柄の両側に隆起線もない。

(3) 参考文献

バラムツの検索方法は「原色動物大図鑑Ⅱ」(北隆館、冨山一郎、時岡隆、阿部宗明共著)及び「原色魚類検索図鑑」(北隆館、阿部宗明著)によるものである。