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○食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(平成五年一一月二九日)

(衛食第一五六号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省生活衛生局長通知)

食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年十二月厚生省告示第三百七十号。以下「告示」という。)の一部が、平成五年十一月二十九日厚生省告示第二百四十五号をもって改正されたので、左記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の趣旨

食品の製造等に用いられる水の規格については、これまで水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四条に適合するものでなければならないとされてきた。今般、同法に基づく水質基準(以下「水道水質基準」という。)が改正され、平成五年十二月一日から施行されることとなったが、食品の製造等に用いられる水の規格については、現行の規制を継続することとするため、告示について所要の改正を行うこととしたものである。

第二 改正の要点

1 清涼飲料水の製造基準について

(1) ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料(果実の搾汁又は果実の搾汁を濃縮したものを冷凍したものであって、原料用果汁以外のものをいう。以下同じ。)及び原料用果汁以外の清涼飲料水の製造に使用する原水は、飲用適の水(水道法第三条第二項に規定する水道事業の用に供する水道、同条第六項に規定する専用水道若しくは同条第七項に規定する簡易専用水道により供給される水又は改正後の告示の第一 食品の部D 各条の項の○

清涼飲料水の2の(1)の2.の表(以下「表」という。)の第一欄に掲げる事項につき表の第三欄に掲げる方法によって行う検査において、表の第二欄に掲げる基準に適合する水をいう。以下同じ。)でなければならないとされたこと。

(2) ミネラルウォーター類の製造に使用する原水について、飲用適の水の定義が(1)のように改正されたことに伴い、所要の改正を行ったこと。

2 氷雪の製造基準について

氷雪の製造に使用する原水は、飲用適の水でなければならないとされたこと。

3 その他

食肉製品の規格基準について、所要の整備を行ったこと。

第三 施行期日

1 清涼飲料水及び氷雪の製造基準の改正規定は、平成五年十二月一日から施行することとされたこと。

2 食肉製品の規格基準の改正規定は、公布の日から施行することとされたこと。

第四 運用上の注意

1 表の第一欄に掲げる項目のうち、「シアン」については、従来「シアンイオン」としていた事項が水道水質基準において「シアン」に改められたことに伴い、告示においても「シアン」と改めたものであること。また、「シアン」、「水銀」及び「有機リン」の基準については、従来「検出されないこと。」とされていたが、従来の定量限界を数値として規定したものであること。

2 試験法については、表の第三欄に検査方法の名称を掲げたが、これらは基本的に水道水質基準における検査方法と同じであり、その詳細は、平成四年十二月二十一日衛水第二六四号「水道水質に関する基準の制定について」の別表1によること。ただし、大腸菌群については、乳糖ブイヨン―ブリリアントグリーン乳糖胆汁ブイヨン培地法によること。また、有機リンについては、別紙によること。

3 今回の改正に伴い、告示中に用いられる「飲用適の水」及び「飲用適」等の表現については、清涼飲料水の製造基準における「飲用適の水」の定義に準ずるものであること。また、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年厚生省令第五十二号)及び営業施設基準準則その他の通知等において用いられている同様の表現についても、これに準ずるものであること。

4 新たに水道水質基準に加えられた揮発性有機化合物等については、告示においては基準化されなかったこと。ただし、地下水の地域的な汚染状況については、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)に基づく監視結果等に留意されたいこと。また、特に汚染が懸念される地域においては、必要に応じ、水道水への転換等適切な指導を行われたいこと。

第五 関係通知の改正

1 今回の告示の改正に伴い、以下の通知の一部を改正する。

(1) 昭和五十七年二月二十七日環食第五二号「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」中第三の1の(2)の「水質基準の一部」を「告示の第一 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の2の(1)の2.の表の第一欄の一部」に改める。

(2) 昭和六十一年六月二十一日衛食第一一六号「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」中第三の1の「水質基準に関する省令(昭和五十三年厚生省令第五十六号)の表の中欄」を「告示の第一 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の2の(1)の2.の表の第一欄」に改める。

(3) 昭和六十二年一月二十日衛食第六号の二「セントラルキッチン/カミサリー・システムの衛生規範について」中別紙の第四のAの3の(21)の「水道水その他の飲用に適する水(水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四条に適合するもの)」を「飲用適の水」に改める。

(4) 平成二年五月二十四日衛乳第三五号「対米輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定について」中別添1の第二の1の(1)のアの(ア)の「水道水その他水道法第四条に適合するもの(以下「飲用適の水」という。)」を「飲用適の水」に改める。

(5) 平成三年四月二十五日衛食第六一号「生めん類の衛生規範等について」中別紙1の第四のCの1の(25)の「水道水その他の飲用に適する水(水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四条に適合するもの)」を「飲用適の水」に改める。

2 今回の告示の改正に伴い、以下の通知の一部を廃止する。

(1) 昭和三十八年一月二十四日環発第二七号「食品、添加物等の規格基準(告示)の一部改正について」中第三運用上の注意の5

(2) 昭和四十三年八月十六日環食化第八、三○六号「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」中第二運用上の注意の2

(3) 昭和五十一年十月二十一日環食第二四九号「営業許可に伴う水質検査の試験機関について」中別添2の「なお、」以下の部分

(4) 昭和五十五年十月二十一日環食第二四八号「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」中第二の2の(1)

(5) 昭和五十七年二月二十七日環食第五二号「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」中第二の1の(2)のイの(ア)

(6) 昭和六十一年六月二十一日衛食第一一六号「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」中第二の2の(2)のア

3 平成五年三月十七日衛乳第五四号「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」の一部を次のように改める。

(1) 第三の1の(6)を(7)とし、(5)を(6)とし、(4)を(5)とし、(3)の次に次のように加える。

(4) 缶詰及び瓶詰の食肉製品のうち、缶容器又は瓶容器に内容物を入れ、密封した後、一二○度で四分間以上加圧加熱殺菌したものについては、「容器包装に入れた後加熱殺菌したもの」である旨の表示は、省略することができるものであること。

また、缶詰及び瓶詰の食肉製品のうちコンビーフにあっては「コンビーフ」、ランチョンミートにあっては「ランチョンミート」と記載することにより、「加熱食肉製品」である旨の表示に代えることができるものであること。

(2) 別紙1の第二の1の(10)中「クエン酸ナトリウム一・○g」の次に「、クエン酸鉄アンモニウム一・○g」を加える。

(3) 別紙1の第三の1の(3)の②中「又はLIM培地に移植する。そのTSI培地又はLIM培地で当該集落を24±2時間培養して」を「及びLIM培地に移植する。そのTSI培地及びLIM培地で当該集落を24±2時間培養し、ONPGディスクを用いて試験した結果、」に改める。

(4) 別紙1の第三の2の(4)の④中「C:試料液中の亜硝酸根含量(g/kg)」を「C:試料液中の亜硝酸根含量(μg/tube)」に改める。

(5) 別紙1の第三の3の(1)の②中「等量」を「二~三倍量」に改める。

別紙

有機リンの検査方法

吸光光度法

1 試薬

(1) チオ硫酸ナトリウム溶液(0.3W/V%)

チオ硫酸ナトリウム3gを精製水に溶かして1lとしたもの

(2) 塩酸(1+1)

(3) n―ヘキサン

(4) エタノール(99.5V/V%)

(5) パラフィン

(6) 砂状亜鉛

(7) 亜硝酸ナトリウム溶液(0.25W/V%)

亜硝酸ナトリウム0.25gを精製水に溶かして100mlとしたもの

この溶液は、使用の都度調製する。

(8) スルファミン酸アンモニウム溶液(2.5W/V%)

スルファミン酸アンモニウム2.5gを精製水に溶かして100mlとしたもの

この溶液は、褐色瓶に入れて保存する。

この溶液は、調製後1週間以内に使用する。

(9) N―(1―ナフチル)エチレンジアミン溶液

N―(1―ナフチル)エチレンジアミン塩酸塩1gを精製水に溶かして100mlとしたもの

この溶液は、褐色瓶に入れて保存する。

この溶液は、調製後1週間以内に使用する。

(10) EPN標準原液

EPN0.1gをエタノール(99.5V/V%)に溶かして100mlとしたもの

この溶液1mlは、EPN1.0mgを含む。

(11) EPN標準液

EPN標準原液をエタノール(99.5V/V%)で20倍に薄めたもの

この溶液1mlは、EPN0.05mgを含む。

2 器具及び装置

(1) 還流冷却装置

容量100mlのすり合わせ蒸留三角フラスコに還流冷却器を付したもの

(2) 分液ロート

容量1000mlのもの

(3) 光電分光光度計又は光電光度計

3 試料の採取及び保存

試料は、あらかじめ精製水でよく洗浄したガラス瓶に採取し、速やかに試験する。ただし、残留塩素が存在する場合は、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.3W/V%)を加え、残留塩素を除去する。

4 試験操作

検水500ml(EPNとして0.01ないし0.2mgを含むもの又はEPNとして0.01ないし0.2mgを含むように検水に精製水を加えて500mlとしたもの)を分液ロートに採り、塩酸(1+1)5mlとn―ヘキサン100mlとを加えて5分間振り混ぜ、静置後、n―ヘキサン層を分取する。更に残留した液に対してn―ヘキサン100mlを用いて同様の抽出操作を行い、n―ヘキサン層を分取する。分取したn―ヘキサンを合し、精製水5mlで2回洗浄した上、乾いたろ紙ですり合わせ蒸留三角フラスコにろ過する。これにエタノール(99.5V/V%)5ml、塩酸(1+1)1ml、精製水9ml及び砂状亜鉛0.5gを加え、水浴上でn―ヘキサンを留去する。残液にエタノール(99.5V/V%)10mlとパラフィン0.5gとを加え還流冷却器を付けて水浴上で15分間煮沸する。放冷後、少量の脱脂綿を用いてろ過し容量50mlのメスフラスコにろ液を採り、次にすり合わせ蒸留三角フラスコと脱脂綿とを精製水約6mlで3回洗浄し、その洗浄液をろ液に合する。塩酸(1+1)1mlと亜硝酸ナトリウム溶液(0.25W/V%)1mlとを加えてよく混合する。10分後にスルファミン酸アンモニウム溶液(2.5W/V%)1mlを加えてよく混合する。更に10分後にN―(1―ナフチル)エチレンジアミン溶液(1W/V%)2mlを加えてよく混合し、それに精製水を加えて50mlとし、20分間放置する。

この溶液の一部を吸収セル(10mm)に採り、光電分光光度計又は光電光度計を用いて、検水と同様に操作した空試験液を対照として波長560nm付近でその吸光度を測定し、5により作成した検量線から検水中の有機リンの量をEPNの量として求め、その濃度を算定する。

5 検量線の作成

EPN標準液0ないし4mlを段階的に分液ロートに採り、精製水を加えて100mlとする。以下4と同様に操作してEPNの量と吸光度との関係を求める。