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○乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正について

(昭和四八年四月二五日)

(環乳第六七号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年厚生省令第五十二号。以下「乳等省令」という。)が、昭和四十八年三月三十一日厚生省令第十三号をもつて別添のとおり改正されたので、左記事項にご留意のうえ、これが運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の趣旨

最近、乳等については、その品質、表示等について消費者の関心が高く、一方、加工乳については、そのあり方について、消費者及び生産者からも種々の問題が提起されるとともに、自然食品である「牛乳」の生産消費を望む声が極めて強いところである。

これらについて、種々検討の結果、「加工乳」は、現在の生乳の需給の情況からみて、牛乳に代るべきものとの観点から加工乳についてもなるべく生乳の本質をそこなわないものとすることとし、その原料として濃縮乳を認め、また、加工乳に使用する原料の範囲を明確にし、さらに表示事項を整備するとともに、あわせてその他の乳製品等についても表示事項を整備するなど国民の強い要望に対処したものである。

第二 改正の要点

1 濃縮乳について

新たに定義、成分規格等を設け、加工乳の原料として使用できるようにしたこと。

(1) 定義を生乳、牛乳又は特別牛乳を濃縮したものとしたこと。

(2) 成分規格を乳固形分二五・五%以上、うち乳脂肪分七%以上、細菌数一○万以下としたこと。

(3) 保存の方法の基準を設け、濃縮後ただちに摂氏一○度以下に冷却して保存することとしたこと。

(4) 濃縮乳には他物の混入を認めないこととしたこと。

(5) 表示の規定を設け、他の乳製品と同様に種類別(一四ポイント活字以上の大きさ)、製造年月日、製造所の所在地及び製造者氏名を表示させることとしたこと。

2 無糖れん乳について

濃縮乳を新たに設けたため、定義を改め、製造方法の基準を設けたこと。

(1) 定義を濃縮乳であつて直接飲用に供する目的で販売するものとしたこと。

(2) 製造方法の基準を設け、容器に入れられた後に摂氏一一五度以上で一五分間加熱殺菌することとしたこと。

3 加工乳について

加工乳を牛乳になるべく近いものとするため原料の規定を改め、「牛乳」との区別を明確にするためその表示規定を整備したこと。

(1) 使用する原料を明確にし、水、生乳、牛乳、特別牛乳、脱脂乳、全粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、無糖れん乳、クリーム及びバター(添加物を使用しないもの)に限ることとし、微量栄養素の使用を禁止したこと。

(2) 使用した主要な原料名を表示させるとともに、加工乳という種類別の文字を一○・五ポイント以上の大きさで、かつ、商品名と同等又はそれ以上の大きさで表示させることとしたこと。

4 アイスクリーム類等について

アイスクリーム類等について表示の規定を整備したこと。

(1) アイスクリーム類について、表示する種類別の文字の大きさを「五号活字以上」から「一四ポイント活字(四号活字)以上」と大きな字体に改めたこと。

(2) アイスクリーム類、はつ酵乳、乳酸菌飲料及び乳又は乳製品を主要原料とする食品について、その製品に含まれる乳固形分及び乳脂肪分の重量百分率並びに乳脂肪分以外の脂肪分を含むものにあつては、その重量百分率を表示させることとしたこと。

5 成分規格の試験法について

濃縮乳についての成分規格の試験法を定めたほか一部所要の整備を行なつたこと。

(1) 乳、乳製品等の乳固形分、細菌数及び大腸菌群の測定法について、米国公定分析化学協会(AOAC)、国際酪農連盟(IDF)、米国公衆衛生協会(APHA)等で用いられている方法に準拠するなどして試験の精度の向上及び効率化をはかつたこと。

(2) 濃縮乳については、従来から乳製品に用いられている試験法を採用したものであること。

6 その他

(1) 食品衛生法の改正にともない「標示」を「表示」に改めたこと。

また、活字の大きさを表わす単位を「号」から「ポイント」に改めたこと。

(2) クリームについては、他物の混入を認めないこととしたこと。

(3) 乳等の製造年月日の表示を製造日の記載で代えることができるものに、従前の紙又はアルミニウム箔のほか、これに準ずるものを加えることとしたが、これは合成樹脂製容器に同材質の樹脂のキャップ又はアルミニウム箔に同材質の樹脂を塗布したものが用いられる場合を考慮したものであること。

第三 運用上の注意

1 濃縮乳に関する事項

濃縮乳は、加工乳の原料として大量に長距離輸送されることが予想されるので、輸送等に際しては、保存基準の遵守、二次汚染の防止等に万全の措置を講ずるよう指導すること。

2 加工乳に関する事項

加工乳に関する今回の改正は、加工乳をなるべく牛乳に近いものとするためのものであり、微量栄養素の添加を認めないこととするとともに使用できる原料を明確にしたが、できるだけ生乳の使用割合を多くすること、生乳以外の原料にあつては、なるべく濃縮乳を主体とすることを指導すること。

また、このような趣旨から使用した主要な原料名を表示させることとしたものであり、原料名の記載にあたつては、配合割合の多いものから順に記載するよう指導すること。

3 アイスクリーム類、はつ酵乳、乳酸菌飲料、乳及び乳製品を主要原料とする食品の表示に関する事項

(1) 乳固形分等を表示させることとしたが、その重量百分率の記載にあたつては、小数第一位まで記載することを原則とするが、一%以上のものについては、小数点以下の数値を切りすて整数値で記載しても差し支えないものであること。

(2) 乳脂肪分以外の脂肪分にあつては、油脂の個々の名称を記載することを原則とするが、「植物性脂肪○%」又は「動物性脂肪○%」とそれぞれその脂肪分の総量をとりまとめて表示しても差し支えないものであること。

4 施行期日について

この省令の改正は、昭和四十八年三月三十一日から施行されたものであること。

ただし、乳等の成分規格の試験法に関する改正のうち、濃縮乳の試験法以外の部分についての改正規定は、昭和四十八年五月一日から施行されるものであること。

また、乳等の製造又は保存の方法に関するその他の基準に関する改正のうち、濃縮乳以外の部分の改正規定及び表示に関する改正規定は、昭和四十八年十月一日から施行又は適用になるものであるが、できるだけ速かに改正後の規定に適合するよう指導されたいこと。

第四 指導取締りの強化について

乳等省令の改正を機会に、乳等に対する消費者の不信を一掃するためにも、牛乳処理場における牛乳処理施設と他の製品特にその他の脂肪等を処理又は使用する施設との区画を行なわせるとともに、原料の仕入先、表示及び品質の確認を常時行なわせ、また、用途別使用量・製品の出来高等の実態を明確にする体制をとらせること。

一方、収去検査はもとより、立入検査による製造行程の監視、原料の使用状況の検査、表示の点検等監視の強化を図り、違反者に対しては厳正な処分を行なうなど、取締りの一層の強化を図られたいこと。

別添 略