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○食品、添加物等の規格基準の一部改正について
(昭和四五年一〇月二三日)
(環食第四七三号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
昭和四十五年十月十五日厚生省告示第三百六十四号をもつて、食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年十二月厚生省告示第三百七十号)の一部が別紙のとおり改正され、昭和四十五年十月二十四日から適用されることとなつたので通知する。
なお、改正の趣旨等は左記のとおりであるから、ご了知の上、関係方面に対する指導等について遺憾のないようご配意ありたい。
記
1 改正の趣旨
環境汚染に由来する米のカドミウム含有をめぐつて社会的不安が生じたため、厚生省では微量重金属調査研究会を設置して、米に含まれるカドミウムについての安全性を検討し、玄米についてカドミウム含有一・○ppm未満を食品としての米の安全基準とすることとした。この経緯については先に、昭和四十五年七月三十日環食第三二六号通知「カドミウム汚染米の安全基準について」により通知したところであるが、今般、これをもつて米の成分規格とし、その安全性の確保を期することとした。
2 改正点
(1) 第一食品の部のD各条の項に新たに米の規格基準が設けられたこと。
(2) 米の成分規格として、米に含まれるカドミウム及びカドミウム化合物はカドミウム(cd)として、一・○ppm未満でなければならないこととされたこと。
(3) 米に含まれるカドミウムの試験法が定められ、定量法は原子吸光法によることとされたが、これによりがたい場合を考慮して、ジチゾン・クロロホルム法によることもできることとされたこと。
3 運用上の注意
(1) 精米及びもみの取扱い
米の成分規格として玄米に含まれるカドミウムが一・○ppm未満でなければならないと規定されたが、精米及びもみにあつても、本規格基準の適用については玄米に準じて取り扱つて差し支えない。
すなわち、もみにあつては、もみ摺り後の玄米の状態において一・○ppm未満となるようなものは本規格基準に該当するものとして取り扱い、また、精米にあつては、○・九ppm未満であれば玄米において一・○ppm未満であつたものとして取り扱つて差し支えない。
なお、本規格基準において、米のカドミウム含有を玄米において定めたのは、玄米のまま摂食される可能性をも考慮して玄米の時点において規定するのが最も適当であると判断されたためである。
(2) サンプリングの方法
ア 検査ロットの区分
生産地別、生産者別その他必要に応じてできるだけ詳細な区分をもって検査ロットを編成することが望ましいが、このような仕分けが不可能な場合は、現存する状態において適宜、倉庫別、併別等の区分により検査ロットを編成すること。
イ サンプリング
検査ロットごとの俵(又は袋)数の平方根の数に相当する俵(又は袋)数を無作為に抽出し、各俵(又は袋)から、サシをもって一○~一五gずつ米を採取し、これを合わせて均等になるよう十分に混和し、これをもって、当該ロットを代表する検体とすること。
(3) 検体の採取
試験を実施するにあたり、検体を採取する場合、米以外の異物はカドミウムの定量値に影響を与えるおそれがあるので、すべて取り除き、米のみを試験に供するようにされたい。
(4) 定量法
カドミウムの定量法は原子吸光光度計を用いる原子吸光法が精度と迅速性の点において極めて有用であることから、原子吸光法のみを採用するのが最も適当であると考えられたが、一部の衛生研究所等、関係試験研究機関においては、未だ原子吸光光度計が整備されていない向きもあるので、当分の間、従来から一般的な方法として用いられて来たジチゾン・クロロホルム法によることもできることとされたものである。
従って、可及的速かに原子吸光光度計を整備されるようご配意ありたい。
別紙 略