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○食品、添加物等の規格基準の一部改正について(施行通知)

(昭和四五年七月六日)

(環食化第四七号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

昭和四十五年六月二十六日厚生省告示第二百二十三号をもつて別添のとおり食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年十二月厚生省告示第三百七十号)の一部が改正されたので、次の諸点に留意のうえ、この運用にあたつては遺憾のないようにされたい。

第一 改正の要旨

昨年十二月二十六日厚生省告示第四百十号をもつて、いちご、キャベツ等の食品に係るγ―BHC、DDT等の残留農薬許容量が食品の成分規格として設定されたので、これに伴いこれらの食品中の残留農薬の試験法を設定したものであること。

なお、この試験法は、前記成分規格の場合と同じく、昭和四十五年六月二十六日(茶に係る部分は、同年十月一日)から適用されること。

第二 運用上の注意

今回設定された残留農薬の試験法については、次に掲げる各項目の注意事項に留意されたいこと。

1 検体の採取方法

検体は、三回程度の試験を行なうに足る量を採取することがのぞましいこと。

2 試料の調製

(1) 検体は、原則として水洗しないこと。ただし、泥が附着している場合は、これを除去するに足る程度に軽く水洗すること。

(2) 検体は、原則として可食部を分析に供するという基本的考え方から、各食品についてへた、外果皮等を除去する処理を行なうものであること。

なお、ぶどうの果こうとは、果実に直接ついている短枝をいう。

3 鉛試験法(ジチゾン法)

(1) この試験は、微量の鉛を定量するので、ガラス器具からの鉛の溶出、または試験溶液中の鉛のガラス器具への吸着等を防止するため、この試験に使用するガラス器具は、ホウケイ素ガラス製のもの、またはメチルシラザン処理したものを使用すること。

(2) 検量線作製の際採取する鉛標準溶液0.5,1.0,2.0および3.0mlは、鉛として5,10,20および30μgに相当するものであること。

4 ヒ素試験法

標準呈色試験紙作製の際採取するヒ素標準溶液0.20,0.50,0.70,1.00,1.20,1.50および2.00mlは、As2O3として0.20,0.50,0.70,1.00,1.20,1.50および2.00μgに相当するものであること。

5 有機塩素剤試験法および有機リン剤試験法

(1) これら試験に使用する試薬試液は、あらかじめ試験の妨害物質が含まれていないことを確めなければならないこと。

(2) 今回の対象農薬の範囲においては、定性試験の操作条件1のカラムを用いるとき、パラチオン、アルドリン、マラソンおよびケルセンの保持時間が等しくなる場合があり、同じく操作条件2のカラムを用いるとき、パラチオンとエンドリンおよびγ―BHCとヘプタクロールの保持時間が等しくなる場合があり、同じく操作条件3のカラムを用いるとき、パラチオンとO・P―DDTの保持時間が等しくなる場合があること。

(3) カラムの劣化については、各農薬ごとに検討しておく必要があること。

(4) 電子捕獲型検出器は、汚染にはなはだ敏感であるから、標準農薬を用いてひんぱんに検出器の感度の検定を行なう必要があること。

(5) 定量試験において、特に高濃度に残留農薬を検出したときは、内部標準法により測定を行ない、その他の場合は、適時内部標準法により、測定精度を検定すればよいこと。

アルドリンを内部標準物質に選んだ場合の各農薬の相対保持時間は、参考資料1のとおりである。

(6) 確認試験(薄層クロマトグラフィー)を行なうときは、Rf値の変動が大きいので、同じ薄層板に標準品をならべてつけ、これと比較すること。

おもな農薬のRf値は、参考資料2に示す。

第三 その他

昭和四十三年四月十九日付け環食化第八、〇一三号環境衛生局長通知「食品、添加物等の規格基準の一部改正について」は、廃止する。

別添 略

参考資料1 各種農薬のガスクロマトグラフィーにおける相対保持時間

(1) シリコン DC―11

Microtek GC―2000R

(2) シリコン DC QF―1

Microtek GC―2000R

(3) ポリエチレングリコールアジペート

Aerograph M―680

農薬

相対保持時間

農薬

相対保持時間

農薬

相対保持時間

α―BHC

0.33

α―BHC

0.59

ヘプタクロール

0.97

γ―BHC

0.42

γ―BHC

0.85

アルドリン

1.00

ヘプタクロール

0.80

ヘプタクロール

0.88

α―BHC

1.17

アルドリン

1.00

アルドリン

1.00

γ―BHC

1.86

ケルセン

1.01

ヘプタクロールエポキサイド

1.92

デイルドリン

4.48

ヘプタクロールエポキサイド

1.37

ケルセン

2.15

エンドリン

5.03

デイルドリン

1.96

P,P'―DDE

2.21

O,P'―DDT

5.79

P,P'―DDE

2.07

O,P'―DDT

2.90

P,P'―DDT

10.87

エンドリン

2.23

デイルドリン

3.15

〃 (小ピーク)

12.40

〃 (小ピーク)

2.52

エンドリン

3.67

 

 

O,P'―DDT

2.60

P,P'―DDT

4.22

 

 

P,P'―DDT

3.47

 

 

 

 

ダイアジノン

0.05

マラソン

0.43

ダイアジノン

0.87

バイジッド

0.31

バイジッド

0.59

ダイシストン

1.00

ダイシストン

0.51

ダイアジノン

0.74

VC―13

1.27

VC―13

0.66

ダイシストン

0.98

マラソン

4.07

メチルパラチオン

0.71

VC―13

1.23

スミチオン

4.80

スミチオン

0.89

スミチオン

2.78

エルサン

5.07

パラチオン

1.00

メチルパラチオン

2.96

メチルパラチオン

5.27

マラソン

1.00

エルサン

3.47

パラチオン

5.67

エルサン

1.42

パラチオン

3.70

 

 

参考資料2 各種農薬の薄層クロマトグラフィーにおけるRf値

農薬

Rf

農薬

Rf

α―BHC

0.60

パラチオン

0.40

γ―BHC

0.45

メチルパラチオン

0.24

O,P'―DDT

0.72

EPN

0.40

P,P'―DDT

0.72

スミチオン

0.28

アルドリン

0.78

 

 

デイルドリン

0.10