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○乳及び乳製品の成分規格等に関する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(昭和四四年一〇月六日)

(環乳第七〇七四号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年厚生省令第五十二号。以下「乳等省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年厚生省告示第三百七十号。以下「告示」という。)の一部が、それぞれ昭和四十四年九月二十九日、厚生省令第三十一号及び厚生省告示第三百十八号をもつて、別添のとおり改正になつたので、左記の事項に御留意のうえ、これが運用に遺憾のないようされたい。

第一 改正の趣旨

近年食生活の変革に伴い、乳、乳製品は食生活のうえで重要な地位を占めて来ており、これらの食品の衛生及び品質の確保等に関する国民の認識及び関心が深まり、これが規制の強化を望む声が一段とたかまつている。

従来、乳、乳製品については乳幼児の主食と考えられるものを重点に、その規制を行なつてきたところであるが、今般は、最近食生活上重要視されているバター、チーズ、はつ酵乳等の乳製品について、成分規格の整備、標示制度の充実等を図り、消費者保護行政の推進に資することとしたものである。

第二 改正の要点

1 乳等省令関係

(1) 成分規格の整備

ア はつ酵乳及び乳酸菌飲料

(ア) はつ酵乳及び乳酸菌飲料の定義を改め、無脂乳固形分三・○%以上を含有する乳酸菌飲料を乳等省令上の乳製品の範疇にいれたこと。

(イ) はつ酵乳の成分規格を無脂乳固形分八・○%以上とし、乳酸菌飲料については、無脂肪乳固形分三・〇%以上のものは、乳酸菌数又は酵母数を一cc当たり一○○○万以上とし、無脂乳固形分三・○%未満のものは従前と同じく乳酸菌数又は酵母数を一cc当たり一○○万以上としたこと。

(ウ) はつ酵後殺菌したものは、無脂乳固形分三・○%以上の乳酸菌飲料についてのみ認めることにしたこと。

イ バター

バターの成分規格を乳脂肪分八○・○%以上、水分一七・○%以下、大腸菌群陰性としたこと。

ウ プロセスチーズ

チーズのうちプロセスチーズについて、成分規格を定め、乳固形分四○・○%以上、大腸菌群陰性としたこと。

(2) 標示制度の充実

ア プロセスチーズについて、その旨の標示を要することとしたこと。

イ 無脂乳固形分三・○%以上の乳酸菌飲料について、乳製品である旨の標示を要することとしたこと。

ウ 乳又は乳製品を主要原料とする食品について、食品衛生法施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十三号。以下「規則」という。)別表第五に掲げる添加物を含むものにあつては、その旨の標示を要することとしたこと。

エ 標示は、規則と同じく、一般に購入し、又は使用する者が読みやすく理解しやすいような用語により、邦文をもつて正確に容器包装(容器包装が小売のために包装されている場合は、当該包装)の見やすい所に行なわなければならないこととしたこと。

(3) その他

ア 保存性のある容器に入れ殺菌したクリームについては、摂氏一○度以下に保存することの例外としたこと。

イ アイスクリームについて、乳酸菌を添加したものについての例外規定を削除したこと。

ウ バター及びプロセスチーズの成分規格に関する試験法を定めたこと。

エ クリームについての試験法を整備したこと。

オ その他所要の整備を行なつたこと。

(4) 施行期日

ア この改正は、昭和四十五年四月一日から施行すること。

イ 昭和四十五年六月三十日以前に製造、加工又は輸入されたものの標示については、従前の例によることができること。

2 告示関係

(1) 乳等省令の改正に伴い、はつ酵乳及び乳酸菌飲料に係るデヒドロ酢酸及びデヒドロ酢酸ナトリウム並びにこれらを含む製剤の使用基準を改めたこと。

(2) 乳等のうち乳、乳製品及び乳酸菌飲料に限り、原料食品より移行する添加物は、当該乳、乳製品又は乳酸菌飲料に使用したものとみなすこととしたこと。

(3) この改正は、昭和四十五年四月一日から適用すること。

第三 運用上の注意

1 乳等省令関係

(1) 定義に関する事項

ア 「はつ酵乳」は、乳又は無脂乳固形分八・○%以上を有する乳等を乳酸菌又は酵母ではつ酵させたものを液状又は糊状にしたものと定義したので、一般に「ヨーグルト」と称される液状又は糊状のものが、はつ酵乳に該当するものであること。

イ 「乳酸菌飲料」は、「はつ酵乳」以外のもので、乳等を乳酸菌又は酵母ではつ酵させたものを主要原料とした飲料をすべて包括するよう定義したので、従前「はつ酵乳」とみなしていた希釈したはつ酵乳又はいわゆる乳酸菌飲料の原液等は乳酸菌飲料に該当するものであること。

ウ 無脂乳固形分三・○%以上を有する乳酸菌飲料は、それ以外の乳酸菌飲料と区別するため、乳等省令においては乳製品の範疇に入れたが、これを製造又は加工する営業についての食品衛生法(以下「法」という。)第二十一条及び同法施行令第五条の適用にあたつては、乳酸菌飲料製造業として取り扱うものであること。

(2) 標示に関する事項

ア チーズのうちプロセスチーズにあつてはその旨の標示を要することとしたが、その大きさは四号活字以上で行わなければならないこと。なお、この場合別途に「チーズ」と標示することは差し支えないものであること。

イ 乳酸菌飲料のうち無脂乳固形分三・○%以上のものにあつては、六号活字以上の大きさで乳製品である旨の標示を行なわなければならないこと。

ウ 乳又は乳製品を主要原料とする食品について、規則別表第五に掲げる添加物を含む場合は、その旨の標示を要するものとされたが、規則別表第五は、昭和四十四年七月二十五日厚生省令第二十号をもつて、一部改正されているので、その品目についても留意されたいこと。

オ 容器包装のうえに小売のための包装が行なわれている場合は、当該包装に規定の標示を行なえば、必ずしも直接食品を容れ又は包んでいる“容器包装”に標示を行なわなくてもよいことにしたのは、規則とひようそくをあわせたものである。なお、牛乳、加工乳等のいわゆるフードは小売のための包装とは認めないものであること。

カ 昭和四十五年六月三十日までに、製造、加工又は輸入されるものについての標示は、なお従前の例による標示を認めることにしているが、可及的速やかに改正後の規定に適合する標示が行なわれるよう関係者を指導すること。

(3) 規格基準に関する事項

ア クリームの保存の方法の基準において、摂氏一○度以下の保存の基準の適用を除外した保存性のある容器に入れ殺菌したものとは、かん詰のクリームをいうものであるが、クリームの容器包装として着色していない透明なガラスびん以外のものを使用しようとする場合は、従前どおり厚生大臣の承認を要するものであること。

イ バターの成分規格は、国際的な規格に準じたものであること。

ウ チーズについては、各種各様のナチュラルチーズが世界各国で製造されており、国際的な規格案も未だ設定されていないが、わが国で製造され消費されているチーズの大部分は、ナチュラルチーズの一種又は二種以上を混合し、加熱溶解し整形したプロセスチーズであるので、今般はプロセスチーズについて規格を定めたものであること。

エ はつ酵乳の成分規格のうち、はつ酵後殺菌したものについての乳酸菌数又は酵母数の例外規定を削除したので、はつ酵乳はすべて菌数は一cc当たり一○○○万以上なければならないこと。

オ 乳酸菌飲料の成分規格については、乳酸菌数又は酵母数のはつ酵後殺菌したものについての例外規定を、無脂乳固形分三・○%以上のものについてのみ設けたので、無脂乳固形分三・○%未満の乳酸菌飲料は、すべて菌数は一cc当たり一○○万以上なければならないものであり、無脂乳固形分三・○%未満のものであつて殺菌したものは清涼飲料水として取り扱うこと。なお、殺菌した無脂乳固形分三・○%以上の乳酸菌飲料については、乳酸菌飲料の票示のほか、殺菌した旨及び乳製品である旨の標示を要するものであること。

カ 乳酸菌飲料の製造の方法の基準については、乳酸菌飲料の原液を希釈するために使用する水以外の果汁、シロップ、砂糖等についても、使用直前に殺菌することとしたほかは従前と変わりないこと。

キ アイスクリームに乳酸菌を添加したものは、その製造の実態もなく、今後かかる製品を認める必要もないと判断されるので、これに関する規定を削除したものであること。

ク コップ販売式自動販売機で調理される乳酸菌飲料に関する規定の改正は、はつ酵乳及び乳酸菌飲料の定義の改正に伴い、コップ販売式自動販売機に内蔵される原液は、すべて乳酸菌飲料に該当することになるため、所要の字句の整備を行なつたものであること。

(4) 試験法に関する事項

ア 従前クリームの乳脂肪分及び細菌の試験法については、乳及び乳製品の試験法に準じていたが、今般乳脂肪分は、全粉乳及び加糖粉乳の乳脂肪分の測定法に準じ、細菌数の測定法は牛乳、加工乳に関する方法に準ずることを明らかにしたものであること。

イ バターの成分規格の試験法については水分の測定法は乾燥減量法を、乳脂肪分の測定法は、水分の測定後の乾燥物質を用いる間接法を、大腸菌群の測定法は、デソキシコーレイト寒天培養基を用いることにしたものであること。

ウ プロセスチーズの成分規格の試験法については、乳固形分の測定法は、乳脂肪量と乳蛋白量との和とし、乳脂肪量はレーゼゴットリーブ法により、乳蛋白量はケルダール法により求めることとし、大腸菌群の測定法は、バターと同じくデソキシコーレイト寒天培養基を用いることとしたものであること。

2 告示関係

(1) 乳等省令においてはつ酵乳及び乳酸菌飲料の定義を改正したことにより、デヒドロ酢酸及びデヒドロ酢酸ナトリウム並びにこれらを含む製剤に係る使用基準について、その字句の整理を行なつたもので、実態上は従前と何等変更のないものであること。

(2) 従前すべての原料食品から乳等省令の規制を受ける乳等に移行した添加物については、当該乳等に当該添加物を使用したものとみなしていたが、乳又は乳製品を主要原料とする食品については多重多様の原料食品が使用され、実態上その実行が極めて困難であり、また、規制を緩和しても衛生上支障はないと判断されるため、今般これを改め、乳等のうち乳、乳製品及び乳酸菌飲料に限りこのような取り扱いをすることとしたものであること。

3 その他

この乳等省令及び告示の改正は、昭和四十五年四月一日から施行又は適用になるものであるが、できるだけ速かに改正後の規定に適合するよう指導されたいこと。

別添 略