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○食品、添加物等の規格基準の一部改正について(施行通知)

(昭和四二年九月七日)

(環乳第七〇七〇号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年十二月厚生省告示第三百七十号)の一部が、昭和四十二年八月二十四日厚生省告示第三百四十九号をもって別添のとおり改正されたので、左記事項御留意のうえ、その運用に遺憾のないようされたく通知する。

第一 改正の趣旨

近時、食品の流通機構が整備され、消費地域が拡大されたことに伴ってその事故の発生も広範囲に及ぶようになっている。昨年末には関東以西の各地にかきの生食に起因する食中毒の発生をみたところである。

かきについては、昭和三十七年五月生食用冷凍かきの成分規格及び製造基準を制定して規制を行なってきたが、その対象は「生食用冷凍かき」に限定していたため、必ずしも十分なものとは言えなかった。

よって、今般、生食用かき全般について、その規制を拡げ、生食用かきに因る食中毒防止の万全を期することを目的とし、告示改正を行なったものであること。

第二 改正の要点

「生食用冷凍かき」の部を改め、「生食用かき」とし、生食用冷凍かきを含む生食用かきについて次のように成分規格、加工基準及び保存基準を定めたものであること。

1 成分規格

(1) 細菌数を検体一g当たり、五万以下とし、その測定法を定めたこと。

(2) E,Coli 最確数を検体一〇〇gにつき二三〇以下とし、その算定法を定めたこと。

2 加工基準

(1) 原料用かきの採取海域の水質の基準並びに浄化措置について規定したこと。

(2) 原料用かきを一時水中で貯蔵する場合の規定を設けたこと。

(3) むき身作業に関し、場所、器具及び容器について所要の規定を設けたこと。

3 保存基準

(1) 保存温度を一〇℃以下と定めたこと。

(2) むき身は、清潔で衛生的な有蓋の容器に収めるか合成樹脂フィルム等で包装して保存することとしたこと。

4 施行期日

昭和四十二年十一月一日から適用されるものであること。

第三 運用上の注意

1 成分規格

(1) 細菌数(生菌数)の規制及びその測定法については、従前と変更はないが、試料の調整に使用するリン酸緩衝希釈水の処方を若干手直ししたこと。

(2) 従前、大腸菌群を食器の汚染指標としていたが、今後、Escherihia Coli をかきの汚染指標として採用することとしたこと。

2 加工基準

(1) 原料用かきの採取海域の水質基準について、変更はないが、それ以外の海域で採取されたものであっても採取海域の水質以上の水を用いた浄化したものは差し支えないものとしたこと。浄化にあたっては、清浄な海水又は人工塩水を常時換水し、又は還流殺菌して用い、成分規格に適合するようにすること。

(2) 原料かきを水中で一時貯蔵(いわゆる蓄養)する場合は、汚染防止のため浄化と同様の処置を講ずることとしたが、原則的には乾式貯蔵が望ましいこと。乾式貯蔵を行なう場合には、そ族昆虫、塵埃及び日光を防ぎ、排水の良好な不浸透性材料で築造された床及び壁が設けられている場所で行なわせること。

(3) 原料用かきは、採取後すみやかに附着している汚物を洗い落すため衛生的な水で十分洗浄させること。

(4) むき身作業等生食用かきの加工は、清潔で衛生的な場所で行なわなければならないものとしたが、むき身場の施設に関しては別紙を参考として指導されたいこと。

(5) むき身作業に使用する器具及び容器は、洗浄及び殺菌が容易なもので、専用とし、使用に当たって十分洗浄したうえ殺菌するものとすること。容器は、金属、合成樹脂、陶磁器等でできた不浸透性のものでなければならないこと。

(6) むき身は、からをはずした後すみやかに衛生的な水で十分洗浄すること。その際には、むき身の鮮度保持のうえから、殺菌済みの海水又は人工塩水を用いるよう指導されたいこと。

(7) むき身を終ったかきのからは、すみやかにむき身場外に搬出して環境衛生上の問題を発生させないよう処理すること。

3 保存基準

新たに定められた保存基準は、加工後、最終小売段階に至るすべての加工、流通段階において遵守されるべきものであること。

(1) 生食用のむき身、からつき又は冷凍のいずれのかきにあっても、一〇℃以下に保存することとされたが、冷凍のものにあってはマイナス二〇℃以下、その他のむき身及びからつきにあっては五℃以下に保つよう指導されたいこと。

(2) 生食用のむき身のかきは、清潔で衛生的な有蓋の容器に収めるか、清潔で衛生的な合成樹脂フィルム又は耐水性加工紙で包装することとされたが、消費地における小分け分配等による二次汚染の防止のため生産地においてできるだけ小単位に包装するよう指導されたいこと。

4 施行期日

これらの規格基準は、昭和四十二年十一月一日から適用されるものであるので、その施行にあたって円滑な運用が行なわれるようあらかじめ関係業者の指導にあたられたいこと。

5 その他

(1) これらの規格基準中に定められた器具、容器包装等については、この告示第六 器具および容器包装の部の関係規格基準に適合するものでなければならないこと。

(2) 容器包装に入れられたかきについては、食品衛生法施行規則を一部改正して、次の事項を標示させるよう準備中であるが、改正前においても、これらの事項を標示させるよう指導されたいこと。

イ 名称

ロ 加工年月日

ハ 加工所所在地及び加工者の氏名(法人の場合はその名称)

ニ 生食用であるかどうかの別

ホ 生食用かきにあっては、その保存方法

(3) 昭和三十三年二月一日衛発第九六号「かきに関する衛生上の指導について」(各都道府県知事、各指定都市市長あて、厚生省公衆衛生局長通知)は廃止する。

別添 略

別紙

かきのむき身場の施設指導基準

(建物の構造)

1 施設は、汚染のおそれのない位置に設けられていること。

2 施設は、家族及び従業員の居室、倉庫便所その他の建物と別棟であるか、コンクリート、板張り等でしゃ断されており、むき身室と包装室とを区画し、それぞれ貝類を衛生的に取り扱うに十分な広さがあること。

3 天井は、平滑で、かつ、すき間がないよう構築されていること。

4 床は、コンクリート等不浸透性材料で作られ、ひび割れや凸凹がなく、かつ、排水が良好であること。

5 内壁は、すき間がなく、かつ、床面から一メートル以上の高さまで不浸透性材料で腰張りされていること。

6 窓、出入口その他開閉する場所は、こん虫等の侵入を防ぐ設備が設けられていること。

7 採光、換気が十分であること。

8 排水溝は、内面が平滑であって適当な匂配があり、排水が良好で、浄化施設又は公共下水道に接続していること。

9 むき身室と包装室との区画には、むき身貝を授受する窓を設け、この窓は耐水性材料で構築し、むき身室側の台をむき身室にむかって傾斜して作ってあること。

(取扱設備)

1 むき身台は、耐水性材料で作られ、表面は平滑で割目がなく、かつ、すみやかに排水されるものであること。

2 むき身に直接接触する器具及び容器は、金属又は合成樹脂等でできた洗浄及び殺菌しやすいものであって処理量に応じて十分の数を備えていること。

3 取扱器具、容器等は、さびたり、ひび割れしたり又は接合部分がはずれたりしていないこと。

4 器具、容器等を衛生的に保管できる保管設備があること。

5 むき身を保存するため、十分の能力のある冷蔵施設があること。

(給水及び汚物処理)

1 従業員の手洗のための流水式手洗設備及び器具及び容器の洗浄のため、豊富に飲用適の水を供給する設備があること。

2 むき身の洗浄のため、殺菌済みの海水又は人工塩水を供給する設備があること。

3 かきがらを衛生的に処理するための設備があること。

4 便所は、むき身作業に影響のない場所にあり、防虫設備を設け、流水式手洗設備があること。