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○食品、添加物等の規格基準の一部改正について(施行通達)
(昭和四二年六月二九日)
(環食化第七〇一四号)
(各都道府県知事・各指定都市・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
食品、添加物等の規格企画基準(昭和三十四年十二月厚生省告示第三百七十号)の一部が昭和四十二年六月十六日厚生省告示第二百六十四号をもって別添のとおり改正されたので、次の諸点に留意のうえ、これが運用に遺憾のないようにされたい。
第一 改正の要点
1 新たに、いくら及びすじこに成分規格が定められ、いくら及びすじこは、その一kgにつき亜硝酸根の〇・〇〇五gを超える量を含有するものであってはならないこととされたこと。
2 亜硝酸カリウム及び亜硝酸ナトリウムの使用基準が改められたこと。すなわち、従来、食肉製品、鯨肉製品、魚肉ねり製品の成分規格中の亜硝酸根の残存量に関する規格が定められていたが、1の改正とも関連して、亜硝酸カリウム及び亜硝酸ナトリウムの使用基準が改められ、使用が許されている食品について、次のようにそれぞれの使用量が定められたこと。亜硝酸根として、食肉製品及び鯨肉製品にあっては〇・〇七g/kgを超える量を、魚肉ソーセージ及び魚肉ハムにあっては〇・〇五g/kgを超える量を、いくら及びすじこにあっては〇・〇〇五g/kgを超える量を残存しないように使用しなければならないこと。
3 酢酸エチルの使用基準が改められ、食酢の醸造の際、原料として使用するアルコールの変性剤としての使用が認められたこと。
4 ズルチンの使用基準が新たに設けられ、一〇品目の食品にのみ、ズルチンの使用を認めることとされたこと。その使用量はつくだににあっては一g/kg以下、魚介かん詰、ソース、つけ物及びに豆にあっては〇・七g/kg以下、魚介乾製品にあっては〇・三g/kg以下、魚肉ねり製品(魚肉ハム及び魚肉ソーセージを除く。)、ジャム、しょう油及びみそにあっては〇・一g/kg以下と定められたこと。
5 新たに添加物一般の使用基準が設けられ、次に揚げる三つの場合には、当該添加物を製造又は加工された食品に使用するものとみなされると定められたこと。
(1) 亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム(結晶)、亜硫酸ナトリウム(無水)、次亜硫酸ナトリウム、無水亜硫酸及びメタ重亜硫酸カリウム(以下「亜硫酸塩等」という。)を含むほしあんず、ほしもも、ほしパイナップル、ゼラチン、かんぴょう、糖蜜、水あめ、キャンデットチェリー(除核したさくらんぼを砂糖づけにしたもの又はこれに砂糖の結晶をつけたもの若しくはこれをシロップづけにしたものをいう。)、ぶどう酒、五倍以上に希釈して飲用に供する天然果汁、甘納豆およびに豆(以下「ほしあんず等」という。)をほしあんず等以外の食品(以下「その他の食品」という。)の製造又は加工の過程で使用する場合
(2) ソルビン酸、ソルビン酸カリウム及びソルビン酸ナトリウム(以下「ソルビン酸等」という。)を含むみそを、みそづけのつけ物の製造又は加工の過程で使用する場合
(3) 使用が認められている添加物の全部又は一部を含む食品を、乳等及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年厚生省令第五十二号)第一条に規定する乳等(以下「乳等」という。)の製造又は加工の過程で使用する場合
6 5に関連して、亜硫酸塩等の使用基準中、その他の食品について定められている残存量〇・〇三gは、5の(1)に該当する場合であってその他の食品一kg中に亜硫酸塩等が二酸化イオウとして〇・〇三g以上残存する場合は、その残存量と読み替えるものと定められたこと。
第二 運用上の注意
1 いくら及びすじこには、発色剤として硝酸カリウム及び硝酸ナトリウムが使用されていたが、その亜硝酸根としての残存量の規定がなかったこと並びに亜硝酸カリウム及び亜硝酸ナトリウムを使用する方が製造上有効であり、かつこれら亜硝酸塩を使用した場合であっても亜硝酸根として残存することから、今般亜硝酸カリウム及び亜硝酸ナトリウムの使用を認めるとともに、その亜硝酸根としての残存量を規定したものである。従って、いくら及びすじこには、今後硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムの何れも使用できることになったが、その使用に際しては製品に亜硝酸根としての残存量の規定を越えないよう指導されたいこと。なお、いくらとは、さけ・ます類の卵巣の卵結膜をとり除き分離した卵粒を塩蔵したものを、すじことは、さけ・ます類の卵巣を塩蔵したものをいうものであること。
2 ズルチンの使用基準が今回新たに定められたが、これは内外の文献を検討した結果、ズルチンの毒性が比較的高いことから無制限にその使用を認めることは望ましくないと評価されたため、食品別に摂取量を勘案して、一〇品目に限定して使用量を定めたものであるが、この使用基準については、将来とも検討を続けてゆく方針であること。なお、使用基準の施行にあたっては、経過期間として、六か月間の猶予期間が置かれたが、これはズルチンの新しい使用基準及びこれに関連して食品衛生法施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十三号)第五条第一項第一号へに規定する標示規制に関する周知徹底を図るために設けられたものである。従って、この期間中であってもズルチン及びこれを含む製剤の使用を認められた一〇品目の食品に対して、基準量以上に使用すること又は当該品目以外の食品に使用することは、差し控えるよう関係業者を指導されたいこと。
3 添加物一般の使用基準の制定は、添加物の移行問題について従来からの取扱いを告示においても明確にするために行なわれたものである。その内容は、第一の5の通りであるが、本改正により添加物を含む原料食品(当該添加物の使用基準に従って使用された場合に限る。)を使用して製造又は加工された食品中に原料食品から当該添加物が移行した場合、当該添加物を新たに使用したものとみなされるのは、添加物一般の使用基準の表に揚げられている場合に限られることとなった。従って、これらの場合には、当然に当該添加物の使用基準の適用があることとなる。またその他の場合には、当該添加物の移行を当該添加物の使用とはみなされないので、従来通り、当該添加物の使用基準の適用がないものとして処理されることとなる。食品添加物の取締りにあたっては、このように対象食品によってその取扱いが異なる点があることに十分留意されたい。
4 第一の6の改正により、原料食品からその他の食品に移行した亜硫酸塩等が二酸化イオウとして〇・〇三g以上残存する場合には、その残存許容量は移行した添加物の当該残存量とすることとなったが、その趣旨は、移行した当該添加物に加えて、別に当該添加物を追加して使用することまでも認めたものではないので留意されたい。従って、取締り上、その他の食品から亜硫酸塩等が二酸化イオウとして〇・〇三g以上検出された場合には、当該添加物が原料食品から移行したものであるか、あるいは新たに使用したものであるかを製造又は加工の過程まで立ちもどって調査したうえ、今回の告示改正によって整理された亜硫酸塩等の使用基準を遵守するよう関係業者を指導されたい。なお、移行した亜硫酸塩等が二酸化イオウとして〇・〇三gにみたない場合には、第一の5の(1)の趣旨により、当該添加物の移行は当該その他の食品に当該添加物を使用したものとみなされることとなるので、当該移行量を含めてさらに〇・〇三gに達するまで新たに当該添加物を使用することが認められることとなった。
第三 その他 略
別添 略