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○乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正について
(昭和三九年一月一四日)
(環発第一三号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年厚生省令第五十二号)の一部を改正する省令が、昭和三十九年一月八日厚生省令第一号をもって別添のとおり公布されたので、左記事項に御留意のうえ運営に遺憾のないようされたい。
記
第一 改正の要旨
近時社会情勢の変化にともない食品の自動販売が流行し、乳及び乳製品に及ぶに至ったが、乳及び乳製品が公衆衛生に及ぼす影響の大きい点にかんがみ、乳等の自動販売に必要な規制が加えられたものである。
第二 改正の要点
一 乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料を自動販売機の中で保存する場合の保存の基準が設けられ、コップ販売式自動販売機で販売を行なうことは原則として認められないものとされたこと。
二 コツプ販売式自動販売機で調理される乳酸菌飲料の調理の方法の基準が設けられ、殺菌されている乳酸菌飲料については例外的にコップ販売式自動販売機により販売することができることにされたこと。
三 殺菌されている乳酸菌飲料を販売するコップ販売機の構造の規格が定められたこと。
四 乳等の容器等に関する規定が本文から別表に移されたこと。
五 その他必要な字句の整理がされたこと。
六 この改正は、昭和三十九年二月一日から施行されること。
第三 運用上の注意
一 牛乳等の自動販売機による販売について
(一) 生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、脱脂乳、加工乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料又は乳飲料については、自動販売機で販売する場合には、容器包装にいれられ密せん又は密閉されたものをそのままの状態で保存し、かつ、そのまま引き渡さなければならないこと。この場合において、牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、脱脂乳、加工乳及び乳飲料(保存性のある容器に入れ一一五度C以上で一五分間以上加熱殺菌したものを除く。)については一一度C以下の保存の基準は適用されるものであること。
(二) 廃止
二 特則として認められる乳酸菌飲料のコップ販売式自動販売について
コップ販売式自動販売機で販売を認められるのは、厚生大臣の承認を受けた構造の機械で、殺菌されているはつ酵乳又は乳酸菌飲料を用いて基準に合う方法で調理される場合に限られるものであり、次の諸点に留意されたいこと。
(一) 調理の方法の基準について
(1) 調理に用いるはつ酵乳又は乳酸菌飲料は、別表の二の(六)の(1)の各号の条件を満たすものでなければならない。従つて一度開せん又は開封したものを使用し又は当日タンク内に残つたものを翌日再使用することは、基準の(1)の4の違反となるものであることに留意すること。
(2) 調理に用いる水は、最も衛生上の安全性の高い水道水にのみ限られたものであり、また、相当の時間タンク内に貯溜するものであるので乳酸菌飲料の製造の基準に準じて、殺菌処理の規定が設けられたものであること。
(3) 乳酸菌飲料の調理に際しては、清涼飲料水等の食品又は添加物等を加えて調理してはならないこと。
(4) 機内の液体は常に一〇度C以下に保たなければならないこと。従つて販売行為を行なつていない場合例えば夜間等においても基準温度を保持しなければならないものであること。
(5) 機内の液体に直接接触する部品は少くとも一日に一回以上洗浄殺菌しなければならないこと。このため、機械の設置場所は、洗浄殺菌が十分確実に励行できるよう配慮されなければならない。また、別表の二の(五)の(6)の基準に基づきはじめて使用する前には殺菌しなければならないものであること。
(二) 機械の規格について
(1) 販売機の構造について
乳酸菌飲料のコツプ販売式自動販売機の構造の規格は、別表の三の(一)の各号に定められておりこれらを満足しなければならないうえ、更には乳等については初めてのケースでもあり、衛生保持上十分な機能を有するか否かについて確認をする必要等のため、厚生大臣の承認を要することとされたこと。
イ 機内の液体に直接接触する部品はステンレススチール、合成樹脂等、有毒、有害の物質が溶出するおそれのないものであつて、分解して洗浄、殺菌を容易に行なうことができる構造でなければならないこと。
ロ 機内の液体の保つ温度を示す温度計は、外側から読みとれるよう設置したものでなければならないこと。
ハ 調理に用いる水を水道の給水せんから自動的に注入することができるものであること。
ニ 調理に用いる水は、五分間煮沸するか、これと同等以上の十分の効力が確認できる瞬間殺菌又は紫外線殺菌等が設備されているものでなければならないこと。
ホ 調理に用いるはつ酵乳又は乳酸菌飲料と、調理に用いる水は、コツプに注入されるまで混合されることなくそれぞれ別箇のパイプにより運ばれるものであること。
ヘ ボタン操作等により選択的に多種のものが販売されるものでなく、はつ酵乳又は乳酸菌飲料の内蔵タンクは一個に限られ、かつ、その容量は、洗浄、殺菌を容易にするため、一〇リツトル以下でなければならないこと。
ト 外部よりの汚染防止のため、コツプの受口は、販売する時以外は、外部としや断されている構造でなければならないこと。
(三) 販売機の承認について
販売機の承認申請は、販売機の製造業者が、製造所所在地を管轄する都道府県知事(指定都市にあつては市長)を経由して別記様式第1号により厚生大臣あてに提出するものとする。
この場合、都道府県知事又は指定都市の市長は、申請書の内容、販売機の衛生状態、規格に適合の有無等実地に調査を行ない、その結果および意見を付して申請書を進達するものとする。
なお、機械の構造について改造等の変更があつた場合は、改めて承認を要するものであり、その手続等は前記によること。
(四) 設置場所等について
コツプ販売式自動販売機の設置等の取扱いについては、清涼飲料水のコップ販売式自動販売機における場合に準ずるが、特に次の事項に留意すること。
(1) コツプ販売式自動販売機で殺菌されている乳酸菌飲料を販売する行為は、調理行為と解するので、食品衛生法における営業は、喫茶店又は飲食店営業とするが、許可を受けた喫茶店又は飲食店の構内で次の条件を満たす場所に設置するよう指導すること。この場合、食品衛生法施行規則第二十一条に基づく施設の変更届の提出を要するものである。
ⅰ 清潔で衛生的な場所であること。
ⅱ 塵埃等の甚しい戸外は避け、屋内を原則とすること。
ⅲ 機械の洗浄、殺菌が便利な場所で、周囲に洗浄、殺菌の作業のため十分の広さがあること。
(2) 設置する機械には、営業者の住所、氏名及び販売するはつ酵乳又は乳酸菌飲料の名称及び製造者氏名(法人の場合は法人名)を表示させること。
三 廃止
別添 略
別記様式第1号
別記様式第2・3号 廃止