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○食品、添加物、器具及び容器包装の規格及び基準の一部改正について

(昭和三三年三月五日)

(厚生省発衛第六五号の二)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省公衆衛生局長通知)

標記の件については、本日厚生省発衛第六五号通知「食品、添加物、器具及び容器包装の規格及び基準の一部改正について(施行通達)」をもって厚生事務次官より通達されたところであるが、改正告示の運用については、更に左記事項に御留意の上、これが運営に遺憾のないようにされたく、通達する。

第一 清涼飲料水に関する事項

(1) 清涼飲料水の項の(一)の(1)の表に掲げる添加物の中には水に溶け難いものが多いが、このために生ずる混濁及び沈でん物は食品衛生上危害を生ずるおそれのないものであるので、今回の改正に際し、同表に掲げる添加物に起因する混濁及び沈でん物は清涼飲料水に含まれても差し支えないことにされたこと。

(2) 清涼飲料水の成分規格において遊離鉱酸を含有することを禁止する規定が削除されたが、これは、添加物の部において塩酸及び硫酸の使用基準が定められたことに伴うものであること。

(3) 容器包装に由来する錫については、この生理作用にかんがみ一五〇・〇ppm以下の含有を認めることとされたこと。なお、従来清涼飲料水には砒素、アンチモン、鉛、亜鉛、銅及び錫を含有してはならない旨が規定されていたが、今回の改正により右の金属の具体的な名称は削除され、これらについては一括して食品衛生試験法において定められることとなったこと。

2 昭和三十二年七月行われた食品衛生法施行令及び食品衛生法施行規則の改正により、ニッキ水、薄荷水等が清涼飲料水に含まれることとなったが、今回の改正により、清涼飲料水は原則として透明なガラスびんに入れ、かつ、密栓又は密封されていなければならないこととされたので、右のニッキ水、薄荷水等についてもこの点につき十分留意されたいこと。

(1) 清涼飲料水の項の(二)の(3)の厚生大臣の承認を受けようとする営業者が、当該申請を行うに当っては、様式第1号の申請書一通を清涼飲料水の製造所の所在地を管轄する都道府県知事又は指定都市市長を経由して厚生大臣あてに提出させること。都道府県知事又は指定都市市長は右の申請書が提出されたときは、申請の内容が昭和三十三年三月五日厚生省発衛第六五号通知「食品、添加物、器具及び容器包装の規格及び基準の一部改正について(施行通達)」に規定する基準に適合するかどうかを検討するとともに、清涼飲料水製造工程中における当該容器包装の洗じょう、充填等の取扱状況につき意見を附して進達すること。

(2) 清涼飲料水の項の(二)の(3)の規定にかかわらず、改正の際、現に改正前の三 器具及び容器包装の部の(一)の(9)のただし書の規定に基き、清涼飲料水又は保存飲料水の容器につき、都道府県知事の許可を受けているいわゆる例外容器は、昭和三十三年十二月三十一日までは従来どおり製造上又は販売上使用しても差し支えないものであること。

(1) 営業者が、殺菌方法の例外承認の申請を行うに当っては、様式第2号の申請書一通を当該申請に係る殺菌方法を行う製造所の所在地を管轄する都道府県知事又は指定都市市長を経由して厚生大臣あてに提出させること。この場合、都道府県知事又は指定都市市長が進達する場合の措置については、第一 清涼飲料水に関する事項の三の(一)と同様であること。

(2) 清涼飲料水の項の(二)の(4)の(ロ)の規定にかかわらず、改正の際、現に改正前の一 食品の部の◎清涼飲料水及び保存飲料水の項の(二)の(3)の(ハ)の規定により、天然果実の成分を含有する清涼飲料水の殺菌方法につき、都道府県知事の許可を受けている場合は、当該清涼飲料水の殺菌方法については、昭和三十三年十二月三十一日までなお当該殺菌方法によることができるものであること。

第二 アイスクリーム類に関する事項

1 アイスクリーム類の項の(一)で規制する許容細菌数に関しては、従来から氷菓子及び冷凍乳菓の細菌数について定められていたものと実体的に変りはないが、近時、乳酸菌飲料等の流行に伴って、アイスクリームに乳酸菌を添加するものが製造される傾向にあるので、厚生大臣が衛生上支障がないと認めた場合に限り、これを行い得るものとされたこと。なお、この場合の基準、手続等については別途通知する予定であること。

(1) アイスクリーム類の原水のうち殺菌処理の行われた水道水とは、水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)の適用を受け、かつ、同法に定める水質基準に合致したものをいうものであること。従って水道法の適用を受けない水道水にあっては、当然アイスクリーム類の項の(二)の(1)に規定する殺菌操作を施したものでなければ原水して用い得ないものであること。

(2) アイスクリーム類の原料(乳酸菌を除く。)を混和したものは、病原菌を死滅させるために、市乳とは異り摂氏六八度で三〇分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の効力を有する殺菌操作を必ず施さなければならなくなったので、営業者にこの点を十分に周知させ誤りのないように指導されたいこと。

(3) アイスクリーム類の融解水は、汚染されやすく、これをそのまま使用することは食品衛生上極めて危険であるため、必ず再度加熱殺菌等の殺菌操作を施さなければアイスクリーム類の原料として用いてならないこととなったので、営業者にこの点を周知させるとともに十分に指導されたいこと。

(4) 従来氷菓の製造に用いる器具は、その使用に当り、煮沸その他適当な方法で殺菌することを原則とするも、やむを得ない場合は原水に適する水で十分洗うことでこれに代えることができたが、今回の改正により、アイスクリーム類の製造に使用する器具は、必ず適当な方法で十分に洗じょうし、かつ、殺菌したものでなければならないこととなったので、営業者にこの点間違いないように周知させるとともに十分に指導されたいこと。

(5) 分注機械及び打栓機械を備えていない営業者に対しては三 器具及び容器包装の部の(一)の(10)の規格に合格し得る機械をアイスクリーム類の項の(二)の(4)の規定が施行される本年四月一日までに至急整備するよう指導されたいこと。

第三 はっ酵乳に関する事項

1 はっ酵乳の原水のうち殺菌処理の行われた水道水とは、第二 アイスクリーム類に関する事項の2の(1)と同様であること。

2 分注機械、びん詰機械及び打栓機械を備えていない営業者に対しては、第二 アイスクリーム類に関する事項の2の(5)と同様に指導されたいこと。

第四 乳酸菌飲料に関する事項

(1) 乳酸菌飲料の原液の製造に使用する原水のうち殺菌処理の行われた水道水とは、第二 アイスクリーム類に関する事項の2の(1)と同様であること。

(2) 乳酸菌飲料にあっては、原液に対して希釈水の占める割合が大きく、従って希釈水の殺菌状態の如何がこの商品の衛生的な安全性に強く影響するため、乳酸菌飲料の項の2の(3)によって希釈に用いる水は、水道法の適用を受けた水道水はもちろんのこと、その他の飲用適の水にあっても希釈前に必ず五分間以上煮沸する等の殺菌操作を施さなければならないこととなったので、営業者にこの点を十分に周知させて誤りのないように指導されたいこと。

2 びん詰機械及び打栓機械を備えていない営業者に対しては、第二 アイスクリーム類に関する事項の2の(5)と同様に指導されたいこと。

第五 添加物に関する事項

1 従来、化学的合成品たる添加分はすべてその使用目的が規定されていたが、今回の改正により使用目的が規定された添加物は合成着香料としての一九項目、チューインガム基礎剤としての二項目及び果実又は果菜の表皮の被膜剤としての二項目であること。

(1) 食用タール色素は最近の製造技術の向上に伴ってその規格の向上が望まれていたが、今回従来の成分規格中純度、乾燥減失量並びに食塩及びぼう硝含有量の規格が引き上げられることとなったこと。なお、食用赤色一〇六号を除くすべての食用タール色素にあっては本年十二月三十一日までは、従前の規格によることができるものであること。

(2) パラオキシ安息香酸エチルエステル、パラオキシ安息香酸ブチルエステル及びパラオキシ安息香酸プロピルエステルの清酒及び合成清酒への使用は、実用性がないためそれぞれの使用基準から削除するとともに、新たに果実ソース(いわゆるとんかつソース)に対する使用が認められることとなったこと。

(3) 従来、亜硫酸又は次亜硫酸並びにそのカリ又はソーダ塩は、一括してその使用基準が定められていたが、昨年七月の食品衛生法施行規則(以下「規則」という。)別表第二の改正により亜硫酸カリ、亜硫酸ソーダ、酸性亜硫酸カリ、酸性亜硫酸ソーダ、次亜硫酸カリ、次亜硫酸ソーダ、無水亜硫酸及びメタ重亜硫酸カリがそれぞれ個個に指定されたので、今回の告示の改正に当っては、これらの品目についてそれぞれ使用基準を定めるとともに、かんぴょう及び五倍以上に希釈して飲用に供する天然果汁についてこれらを使用する場合の使用量が改められたこと。

(4) 科学的合成品以外の添加物中、今回新たにクエン酸及び酒石酸の二品目について品質を確保するため、特に成分規格を定めたものであること。

(5) 昭和三十二年七月三十一日厚生省令第三十三号により規則第五条第一項第一号チ及びリが改正されたのにともない、今回(三)化学的合成品を含む製剤の製造基準の項が削除されたこと。

3 食品及び添加物に鉱物性物質を使用することについては、昭和二十三年九月十五日衛発第一六八号通知「食品、添加物に鉱物性物質を使用する件」により指導してきたが、今回の改正により、食品に使用する場合の取扱は「酸性白土、白陶土、ベントナイト、タルク、砂及び硅藻土並びにこれらに類似する不溶性の鉱物性物質の使用基準」において規定され、また、添加物を製造又は加工する場合の取扱は「添加物一般の製造基準」において規定されたこと。ただし、炭酸マグネシウムについては、その項において規定したこと。なお、従来からカリシウム類の食品中の含量は、酸化カルシウムとして一パーセント以下を認めることとして指導してきたが(昭和二十五年一月十一日衛食第七号通知「飲食物に添加する石灰類の取扱について」参照)、今回、塩化カルシウムを始めとして十品目のカルシウム剤についてそれぞれ使用基準を定め、その使用量をカリシウム(Ca)として、食品の一パーセント以下とされたこと。

4 従来の合成膨張剤は、その成分により一剤式合成膨張剤、二剤式合成膨張剤及びアンモニア系膨張剤に分けて規定されたこと。

5 昭和三十二年七月の規則別表第二の改正で、食品衛生法(以下「法」という。)第六条に基き新たに指定された化学的合成品中法第七条に基き緊急に規制する必要のあるものについてのみ今回の告示改正で規格又は基準を定めたが、それ以外の化学的合成品についても従来どおり日本薬局方又は日本工業規格試薬一級程度の品質を確保するように指導されたいこと。

様式第1・2号 略