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○墓地、埋葬等に関する法律の疑義について

(昭和二七年六月七日)

(二七環第一七八九号)

(厚生省公衆衛生局長あて北海道知事照会)

墓地、埋葬等に関する法律について、実施上左記のような疑義があるので至急何分の御指示願います。

なお本件については管下町村長から照会もありますので、よろしくお願いいたします。

1 墓地、埋葬等に関する法律第九条に規定する「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長がこれを行わなければならない」とあるのは、生活保護法第十八条第二項に規定する「左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる」とあることと関連性があるかどうか、即ち生活保護法に「葬祭を行う者があるとき」の反対の場合のことを墓地、埋葬等に関する法律第九条で「行う者がないとき」と規定したものであるかどうか、若し、そのとおりであるとするならば生活保護法第十二条及び第十五条に規定する保護を受けている孤独の被保護者が死亡して他に葬祭を行う者がないときも、又、墓地、埋葬等に関する法律第九条に規定する「死体の埋葬又は火葬を行う者がない」ことになるかどうか(生活保護法は「人」を保護する法律であつて(即ち人権を有する人)、死体の処置には関係はない。従つて、生活保護法第十八条第二項の規定は、生活保護法の実施機関である市町村長には適用はなく、若し、市町村長がその葬祭を行つても、それは、墓地、埋葬等に関する法律第九条に規定する市町村長として実施するものであるから、生活保護法第十八条に規定する葬祭扶助を適用することができない旨の解釈もある)。

2 墓地、埋葬等に関する法律第九条第二項で「前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定を準用する」との規定はその規定に基く同法施行規則(省令)には、何等の取扱規定がないので、その規定に基き、行旅病人及び行旅死亡人取扱法第十一条以下の各条の規定は全部準用され従つて、「行旅病人及行旅死亡人取扱法ニ依ル行旅病人、行旅死亡人及同伴者ノ救護並ニ取扱ニ関スル件」(省令)の規定及び「行旅病人、死亡人等ノ引取及費用弁償ニ関スル件」(勅令)の規定並びに「行旅病人及行旅死亡人取扱法第十七条ニ依ル外国人タル行旅病人、行旅死亡人及同伴者ノ救護並ニ取扱ニ関スル特例ノ件」(省令)の規定は、当然準用されるものと思われ、従つて、これ等の費用に関して規定した、都道府県が制定した条例、規則、訓令等もその侭準用しても差し支えないものと思われるが、どうか。

3 墓地、埋葬等に関する法律第九条第一項の規定による「火葬」を行う場合にも「行旅病人及行旅死亡人取扱法第七条」の規定及び「行旅死亡人ヲ火葬ニスルノ件」(勅令)の規定に従つて行わなければならないか。

4 略

5 墓地、埋葬等に関する法律第九条の規定によれば「死体を埋葬又は火葬をする者がないときは、死亡地の市町村長が、埋葬又は火葬しなければならない」旨の規定があるが、従来からの慣例で、死亡地、及び身元不明の死体があるときは、検察官又は警察官が検視した後、その地の市町村長に引き渡して、埋葬又は火葬をさせているが、死亡地及び身元不明の死体を或る市町村長が、その引き渡しを受けなければならない法的根拠はどうか。

(昭和二七年六月三○日 衛環第六六号)

(北海道衛生部長あて厚生省公衆衛生局環境衛生部環境衛生課長回答)

昭和二十七年六月七日二七環第一、七八九号で照会のあつた標記のことにつき左のとおり回答する。

1について

他に全然埋葬又は火葬を行うものがなく、市町村長が行つた場合は墓地、埋葬等に関する法律第九条にいう葬祭であつて生活保護法第十八条第二項によるものではない。

但し、知人又は近隣の者が生活保護法をうけている孤独の被保護者の死亡した場合に行う葬祭は生活保護法が適用されるのであつて、墓地、埋葬等に関する法律第九条の「行うものがない」場合ではない。

2について

墓地、埋葬等に関する法律第九条の費用に関してのみ、行旅病人及び行旅死亡人取扱法及び法律の委託事項として制定された勅令、省令、条例等を準用して差し支えない。

3について

行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定を準用するのは、法第九条による費用に関してのみである。

4について 略

5について

法第九条を厳密に解釈すれば、埋葬又は火葬する者がないことになる。然しながら、法第一条の趣旨よりしても死体を放置することはできないから、死体発見地の市町村長が法第九条を準用して措置すべきである。