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○建築基準法施行令の規定に基づき建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及び衛生上支障のない構造とするための基準の制定について

(昭和五一年一月二九日)

(環企第一四号)

(各都道府県・各政令市衛生主管部長あて厚生省環境衛生局企画課長通知)

建築物環境衛生行政の推進については、従来から格別のご協力を願つているところであるが、今般、建築基準法施行令第百二十九条の二の規定に基づき、昭和五十年十二月二十日建設省告示第千五百九十七号をもつて、別添1の通り標記の基準が制定され、昭和五十一年一月一日付けをもつて、別添2の通り建設省より特定行政庁建築主務部長あて通知されたところである。本基準は建築物の構造・設備の面から飲料水の安全を確保することを目的としており、したがつて建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四十五年四月十四日法律第二十号)とも密接な関連を有するものであるので、貴職におかれてもご了知されるとともに、管下保健所に対する周知徹底を図り、建築物環境衛生行政の推進に資するよう格別のご配意を願いたい。

別添1

建築基準法施行令の規定に基づく建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及び衛生上支障のない構造とするための基準

(昭和五十年十二月二十日)

(建設省告示第千五百九十七号)

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十九条の二第二項第六号及び第三項第五号の規定に基づき、建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及び衛生上支障のない構造とするための基準を次のように定め、昭和五十一年一月一日から施行する。

第一 飲料水の配管設備(これと給水系統を同じくする配管設備を含む。以下同じ。)である管及び排水のための配管設備である管の構造は、次に定めるところによらなければならない。

一 建築物の部分を貫通して配管する場合においては、当該貫通部分に配管スリーブを設ける等有効な管の損傷防止のための措置を講ずること。

二 管の伸縮その他の変形により当該管に損傷が生ずるおそれがある場合においては、伸縮継手又は可とう継手を設ける等有効な損傷防止のための措置を講ずること。

三 管を支持し、又は固定する場合においては、つり金物又は防振ゴムを用いる等有効な地震その他の震動及び衝撃の緩和のための措置を講ずること。

第二 飲料水の配管設備の構造は、第一によるほか、次に定めるところによらなければならない。

一 給水管

イ ウオーターハンマーが生ずるおそれがある場合においては、エアチヤンバーを設ける等有効なウオーターハンマー防止のための措置を講ずること。

ロ 給水立て主管からの各階への分岐管等主要な分岐管には、分岐点に近接した部分で、かつ、操作を容易に行うことができる部分に止水弁を設けること。

二 給水タンク及び貯水タンク

イ 建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合においては、次に定めるところによること。

(1) 外部から給水タンク又は貯水タンク(以下「給水タンク等」という。)の天井、底又は周壁の保守点検を容易かつ安全に行うことができるように設けること。

(2) 給水タンク等の天井、底又は周壁は、建築物の他の部分と兼用しないこと。

(3) 内部には、飲料水の配管設備以外の配管設備を設けないこと。

(4) 内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる位置に、ほこりその他衛生上有害なものが入らないように有効に立ち上げたマンホール(直径六十センチメートル以上の円が内接することができるものに限る。)を設けること。ただし、給水タンク等の天井がふたを兼ねる場合においては、この限りでない。

(5) (4)のほか、水抜管を設ける等内部の保守点検を容易に行うことができる構造とすること。

(6) ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造のオーバーフロー管を有効に設けること。

(7) ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造の通気のための装置を有効に設けること。ただし、有効容量が二立方メートル未満の給水タンク等については、この限りでない。

(8) 給水タンク等の上にポンプ、ボイラー、空気調和機等の機器を設ける場合においては、飲料水を汚染することのないように衛生上必要な措置を講ずること。

ロ イの場所以外の場所に設ける場合においては、次に定めるところによること。

(1) 給水タンク等の底が地盤面下にあり、かつ、当該給水タンク等からくみ取便所の便そう、し尿浄化そう、排水管(給水タンク等の水抜管又はオーバーフロー管に接続する排水管を除く。)、ガソリンタンクその他衛生上有害な物の貯りゆう又は処理に供する施設までの水平距離が五メートル未満である場合においては、イの(1)及び(3)から(8)までに定めるところによること。

(2) (1)の場合以外の場合においては、イの(3)から(8)までに定めるところによること。

第三 排水のための配管設備の構造は、第一によるほか、次に定めるところによらなければならない。

一 排水管

イ 掃除口を設ける等保守点検を容易に行うことができる構造とすること。

ロ 次に掲げる管に直接連結しないこと。

(1) 冷蔵庫、食器洗器、水飲器、洗たく機その他これらに類する機器の排水管

(2) 滅菌器、消毒器その他これらに類する機器の排水管

(3) 給水ポンプ、空気調和機その他これらに類する機器の排水管

(4) 給水タンク等の水抜管及びオーバーフロー管

ハ 雨水排水立て管は、汚水排水管若しくは通気管と兼用し、又はこれらの管に連結しないこと。

二 排水タンク

イ 通気のための装置以外の部分から臭気が洩れない構造とすること。

ロ 内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる位置にマンホール(直径六十センチメートル以上の円が内接することができるものに限る。)を設けること。

ハ 排水タンクの底には吸い込みピットを設けること。

ニ 排水タンクの底の勾配は吸い込みピットに向かつて十五分の一以上十分の一以下とする等内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる構造とすること。

ホ 通気のための装置を設け、かつ、当該装置は、直接外気に衛生上有効に開放すること。

三 排水トラップ

イ 雨水排水管(雨水排水立て管を除く。)を汚水排水のための配管設備に連結する場合においては、当該雨水排水管に排水トラップを設けること。

ロ 二重トラップとならないように設けること。

ハ 排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を有効に防止することができる構造とすること。

ニ 汚水に含まれる汚物等が付着し、又は沈殿しない構造とすること。ただし、阻集器を兼ねる排水トラップについては、この限りでない。

ホ 封水深は、五センチメートル以上十センチメートル以下(阻集器を兼ねる排水トラップについては五センチメートル以上)とすること。

ヘ 容易に掃除ができる構造とすること。

四 阻集器

イ 汚水が油脂、ガソリン、土砂その他排水のための配管設備の機能を著しく妨げ、又は排水のための配管設備を損傷するおそれがある物を含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けること。

ロ 汚水から油脂、ガソリン、土砂等を有効に分離することができる構造とすること。

ハ 容易に掃除ができる構造とすること。

五 通気管

イ 排水トラップの封水部に加わる排水管内の圧力と大気圧との差によつて排水トラップが破封しないように有効に設けること。

ロ 汚水の流入により通気が妨げられないようにすること。

ハ 直接外気に衛生上有効に開放すること。

第四 適用の特例

建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)別表第一(い)欄に掲げる用途以外の用途に供する建築物で、階数が二以下で、かつ、延べ面積が五百平方メートル以下のものに設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備については、第一、第二(第一号ロを除く。)並びに第三第三号イ及び第四号の規定は、適用しない。ただし、二以上の建築物(延べ面積の合計が五百平方メートル以下である場合を除く。)に対して飲料水を供給するための給水タンク等又は有効容量が五立方メートルを超える給水タンク等については、第二第二号の規定の適用があるものとする。

別添2

建築基準法施行令第百二十九条の二の規定に基づき建設大臣が定める技術的基準について

(昭和五一年一月一日 建設省住指発第六号)

(特定行政庁建築主務部長あて建設省住宅局建築指導課長通知)

建築基準法施行令第百二十九条の二第二項第六号及び第三項第五号の規定に基づく建築物に設ける給排水設備の技術基準が、別添のとおり、昭和五十年十二月二十日建設省告示第千五百九十七号として定められ昭和五十一年一月一日から施行されたが、その運用細目を左記のとおり定めたので、通知する。

1 本告示の内容については、給水タンク等に関する規定を除き、大部分の規定は、多くの給排水設備技術者にとつては既に周知の事項であると考えられるが、一般の建築技術者、建築物の所有者等については、これが認識は必ずしも十分ではないと考えられるので、周知徹底については特段の配慮を願いたい。

2 第二第二号の給水タンク等に関する規定は、給水タンク等の不備に起因すると考えられる飲料水の汚染事故が発生したこともあり、本告示の重点事項の一つとして規定の充実を図つたところである。

個々の規定については、次に定めるところによる。

(1) イの(1)の規定は、給水タンク等の外部から当該給水タンク等への汚染物質の流入、浸透等を防止し、併せて当該給水タンク等の保守点検のために必要な最少限の空間を確保することを目的としているものであること。

(2) イの(2)の規定は、給水タンク等の内部に飲料水の配管設備以外の配管設備を設けてはならないことも含むものであること。

(3) イの(4)に規定する「内部の保守点検を容易に行うことができる構造」とは、給水タンク等の底部に排水溝、排水ピット等を設けることも含む趣旨であること。

(4) 専ら給水設備用のポンプ、制御盤、受変電設備等の機器類のみを収容するための小規模付属建築物(ポンプ小屋等)を、給水タンク等の上部に設け、又は給水タンク等に接して設ける場合で、当該建築物の構造が当該給水タンク等に汚染物質を流入させ、又は浸透させるおそれのないものであるときは、当該給水タンク等はロに該当するものとして取扱うこと。

3 建築基準法施行規則に定める確認申請書添付図書によつては、今般の技術基準に係る事項の審査は必ずしも十分には行い難いと考えられる。

特に、給水タンク等に関する事項は建築計画にも影響を与えるので、少なくとも給水タンク等の設置位置及び概略構造を平面図に記載させる等指導し、審査に遺洩なきよう措置されたい。

4 本告示が制定、施行されたことを契機に、給排水設備に関する技術レベルをより適正に確保するため、(財)日本建築センターに建築基準法令上の諸規定に関する解説書の作成を依頼しており、近日中に刊行される予定であるので、念のため申し添える。