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○建築物における衛生的環境の確保に関する法律に関する疑義について

(昭和五一年七月九日)

(環企第九六号)

(各都道府県・各政令市衛生主管部局長あて厚生省環境衛生局企画課長通知)

従来、疑義照会のあつた事項について、今般次のようにとりまとめたので通知する。貴職におかれてもこれらの事項に留意され、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の施行につき一層の御配慮を御願いする。

なお、本通知においては、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四十五年法律第二十号)を「法」と、同法施行令(昭和四十五年政令第三百四号)を「令」と、同法施行規則(昭和四十六年厚生省令第二号)を「規則」と略称する。

(問一) 昭和四十六年三月十一日環衛第四四号環境衛生局長通知「建築物における衛生的環境の確保に関する法律の施行について」(以下「施行通知」という。)の第二の1の(2)により「二棟以上の建築物が渡廊下等で連結されているような場合は、その棟ごとに別の建築物となる。」という解釈が示されているが、このような事例を含め、特定建築物の個数の決定について教示願いたい。

(答) 特定建築物の要件(用途及び延べ面積)は、個々の建築物ごとに適用されるものであり、この場合の建築物の個数の決定は、設問の事例を含め、原則として建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)上の取扱いによることとし、具体的には、同法第六条の規定に基づく建築確認の際の個数の決定によられたい。

すなわち、建築確認の際の確認申請書(同法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号)別記第一号様式)には、新築、増築、改築等の工事種別を記入し、また、建築物が二以上の場合は、建築物ごとに同様式の「第1号様式棟別概要追加書類」に必要な事項を記載して添えることになつているので、確認申請書の記載事項及び当該追加書類の数によつて、建築物の個数を把握できるものである。ただし、確認申請書は、原則として敷地単位に記載されるため、同一敷地内に既存建築物がある場合の別棟建築の場合には、確認申請書の「8 工事種別」の欄には、「増築」と記載され、「16 建築物別概要」の「ロ 工事種別」の欄に「新築」と記載されることとなつているので留意されたい。

なお、建築基準法第九十三条第四項の規定により、建築主事は、特定建築物に該当する建築物に関して確認申請書を受理した場合には、当該建築物の工事施工地又は所在地を管轄する保健所長に通知しなければならないことになつているので、当該規定の活用について十分配意されるよう、念のため申し添える。

(問二) 施行通知の第二の2の(2)にいう「主たる用途に附属する用途」及び第二の3の(1)にいう特定用途に「附属する部分」とは、それぞれ具体的にどのようなものを指すのか説示願いたい。例えば、事務所用の倉庫の延べ面積が事務所の延べ面積を超える場合であつても、当該倉庫を事務所の附属用途と解してよいか。

(答) 例えば、同一建築物における事務所と事務所用の倉庫のように、前者と後者がその機能及び社会通念からみて、密接不可分の関係にあり、かつ、後者が前者に従属するものであると認められるとき、一般に前者を「主たる用途」と、後者を「主たる用途に附属する用途」といい、「主たる用途」が令第一条第一号に定める用途(以下この通知において「特定用途」という。)である場合に、後者の用に供される部分を「特定用途に附属する部分」という。

ただし、この場合の「従属する」とは、後者の用に供される部分の延べ面積が前者の用に供される部分(附随する部分を含む。)の延べ面積以下である場合に限るとすることが適当であると解される。したがつて、設問の例における倉庫の用に供される部分は、「特定用途に附属する部分」に該当せず、延べ面積の計算にあたつては、「もつぱら特定用途以外の用途に供される部分」として取扱うこととなる。

(問三) 建築物の中で次の用途に供される部分は、特定用途に供される部分と解してよいか。

(1) 警察署内の留置場及び柔剣道場

(2) 遊技場、店舗及び特殊公衆浴場(サウナ風呂)からなる総合娯楽センターの中の特殊公衆浴場

(3) いわゆるアスレチッククラブ

(4) いわゆる雑居ビルの地下にあるタクシー会社のタクシー駐車場(なお、当該タクシー会社の事務所がビル内にある。)

(5) 延べ面積四八○○m2の印刷工場を有する延べ面積八○○○m2の新聞社の建築物の印刷工場の部分

(答)

(1) 警察署内の留置場等は、特定用途に密接不可分の用途であり、その延べ面積が事務所部分及び事務所附随部分の延べ面積を超える場合を除き、特定用途である事務所に附属する用途として「特定用途に供される部分」に含まれるものと解する。

(2) 特殊公衆浴場それ自体は特定用途ではないが、遊技場に併設されているような場合で、一般的に娯楽性が強く遊技場の一部と解される事情にあれば、特定用途に該当するとして差し支えないと解する。

(3) アスレチッククラブは、一般的には娯楽性が極めて強く遊技場と同視できるような場合を除き、特定用途に該当しないものと解する。

(4) 建築物の地下等に設けられたいわゆる公共駐車場については、施行通知第二の3の(4)により当該建築物の一部をなすものとしては扱わず、駐車場部分の面積は、特定用途に供される部分の延べ面積又はもつぱら特定用途以外の用途に供される部分の延べ面積のいずれにも算入しないこととされているが、設問の事例のような駐車場は、タクシー会社の事務所と密接な不可分の関係にあると考えられるので特定用途に附属する用途に該当するか否かによつて、「特定用途に供される部分」又は「もつぱら特定用途以外の用途に供される部分」のいずれかに算入するのが適当である。

(5) 設問の印刷工場は、特定用途たる事務所に密接不可分の用途と考えられるが、設問の事例では、特定用途の部分及びそれに附随する部分の延べ面積をこえるので、特定用途たる事務所に附属する用途とはいえず、印刷工場の部分は「特定用途に供される部分」には該当しない。

したがつて、この場合「もつぱら特定用途以外の用途に供される部分」の延べ面積が、「特定用途に供される部分」の延べ面積の一○%を超えるので、当該新聞社は特定建築物には該当しない。

(問四) 百貨店法(昭和三十一年法律第百十六号)が、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(昭和四十八年法律第百九号)の施行に伴つて廃止されたが、これにより、令第一条第一号に規定する「百貨店」は如何なるものをさすこととなるのか。

(答) 「百貨店」は店舗にあたるもののうち、特に大規模のものを注意的に規定したものであり、百貨店法が廃止された後の令第一条第一号の「百貨店」は、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律第二条第二項にいう大規模小売店舗が該当するものである。

(問五) 規則第八条及び第十五条に規定する「特定用途に類する用途」には共同住宅、寄宿舎が含まれるか。

(答) 設問の事例はいずれも「特定用途に類する用途」に含まれると解する。

(問六) 令第二条の2に規定する「もつぱら事務所の用途に供される特定建築物」の具体的範囲を示されたい。

(答) 昭和四十八年六月九日環衛第九九号環境衛生局長通知「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について」の第二の2の(1)のとおり、「もつぱら事務所の用途に供される特定建築物」とは「不特定多数の者が出入りする食堂、喫茶店、店舗等がなく建築物の全部が事務所の用途に供せられるもの」をいう。したがつて、当該事務所の職員のためにのみ設けられた職員食堂等のみを含む建築物は「もつぱら事務所の用途に供される特定建築物」に該当するが、一般の食堂、喫茶店等を含む場合は、「もつぱら事務所の用途に供される特定建築物」には該当しない。

(問七) 店舗、銀行、ホテル、事務所等があるいわゆる雑居ビルについて、法第五条第一項に基づく届出を行う場合、「用途」としてどのように記入するのが適当か。