添付一覧
○公衆浴場の入浴料金の統制額の指定について
(昭和四八年一一月一四日)
(環衛第二三三号)
(各都道府県公衆浴場主管部(局)長あて厚生省環境衛生局環境衛生課長通知)
標記については、昭和四十八年十一月十四日環衛第二三二号をもつて環境衛生局長より貴都道府県知事あて通知したところであるが、今回の公衆浴場経営実態調査要綱の改正内容及び公衆浴場入浴料金の統制額の指定(以下単に「指定」という。)に関して留意すべき主な事項は、左記のとおりであるので、これが円滑な実施に格段の配意をお願いする。
おつて、前記環境衛生局長通知及びこの通知に則して、公衆浴場入浴料金の統制額の最初の改定を行つた場合には、その算定に関する諸資料を付して当課あて報告されたい。
記
第一 公衆浴場経営実態調査要綱の改正内容
今回の改正は、公衆浴場経営の実態の変化等にかんがみ、支出調査項目を次のように拡大するとともに、所要の整理をしたものであること。
1 人件費の項目に事業主の人件費も含めること。
2 資本報酬及び支払利子を支出調査項目とすること。
3 公租公課の項目には、公衆浴場経営にかかるすべての公租公課を含めること。
4 建物再調達費を支出調査項目とすること。
第二 指定に関して留意すべき事項
1 公衆浴場経営実態調査の対象公衆浴場
指定の基礎として行われる公衆浴場経営実態調査の対象とする公衆浴場の規模の基準については、公衆浴場の確保がとくに必要である等特別な事情がある場合には、平均的な水準を若干下回る水準としても差し支えないこと。
2 資本報酬等の算定
指定の際見込む資本報酬については、他の公益事業等との均衡等から自己資本の一○%程度として算定することが適当であること。また、支払利子は、施設設備資金等直接公衆浴場経営にかかる借入金の支払利子にかぎり、実態を基礎にして算定すること。
3 営業費用の算定
(1) 指定の際見込む営業費用の項目は、おおむね(3)に掲げるとおりであり、その算定にあたつては、各項目ごとに、当該算定対象期間内において予測される物価及び人件費水準並びに公衆浴場入浴者数等の社会的経済的要因の変動を考慮して行うこと。
この場合、算定対象期間は、原則として一年間とすることが適当であること。
(2) 用水費、燃料費等営業費用の中で標準化が可能なものについては、実態との調整に配慮しつつ、できるだけ標準化して算定すること。
(3) 営業費用の算定にあたり留意すべき事項はおおむね次のとおりであること。
ア 人件費
(ア) 人件費には、事業主の給与相当額(法人経営の場合は、従業員を兼務する役員で当該法人を代表する者の給与を含む。)及び従業員(家族専従者を含む。)の給与のほか、臨時の非常勤従業員の給与、従業員の退職給与金等を含むこと。
(イ) 人件費の算定に必要となる従業員数(事業主を含む。)については、昭和四十六年の厚生省の浴場業実態調査結果によつて標準化すれば次の表のとおりであること。ただし、この標準人員数と実態人員数との間に著しい開差がある場合には、さしあたり実態人員数を用いることはやむを得ないこと。
一日当たり入浴者数 |
標準人員 |
一日当たり入浴者数 |
標準人員 |
一○○人未満 |
二・○○人 |
三○○人以上三五○人未満 |
三・九七人 |
一○○人以上一五○人未満 |
二・二二 |
三五○〃 四○○〃 |
四・四○ |
一五○〃 二○○〃 |
二・六六 |
四○○〃 四五○〃 |
四・八四 |
二○○〃 二五○〃 |
三・○九 |
四五○〃 |
五・○六 |
二五○〃 三○○〃 |
三・五三 |
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|
(ウ) 人件費の算定に必要となる人件費水準については、単に従前の公衆浴場従業者の人件費の推移のみならず、類似の職種における水準との格差の縮小に努めるよう配慮すること。なお、この際参考となるものには、当該地域の一般中小企業における人件費水準、毎月勤労統計、春期賃上げ状況等があること。
イ 用水費
上水道使用料及び下水道使用料とすること。
ウ 燃料費
重油その他の燃料(営業用自動車、湯屋暖房等に必要な燃料を含む。)の購入費とすること。
エ 光熱費
電気使用料とすること。
オ 消耗品費
燃料費及び修繕費に含まれない消耗品(原材料及び清掃、照明等の業務用消耗器材器具を含む。)の購入費とすること。
カ 修繕費
公衆浴場業に供する施設(土地、建物等)及び設備を通常の状態において保守し、維持するために必要な修繕料とすること。したがつて、修繕のための原材料購入費を含み、資産の帳簿価額の増加の原因となるような大修繕のための費用は除かれること。
キ 賃借料
公衆浴場業に必要な借地料、借家料等とすること。
ク 備品費
公衆浴場業の用に供する施設に付帯する設備備品及び営業用自動車以外の什器備品の購入費とすること。
ケ 保険料等
公衆浴場業の用に供する施設の火災保険料等とすること。
コ 旅費及び交通費
公的機関に対する業務連絡、関係団体の行う会合への出席等に必要な旅費及び交通費とすること。
サ 会費及び交際費
公衆浴場業の関係団体会費その他公衆浴場の経営のために直接必要と認められる交際費とすること。
シ 減価償却費
公衆浴場業の用に供する事業用固定資産であつて当該算定対象期間を通じて保有し、又は当該期間中に増加すると予測されるものの取得価額又は帳簿価額について行う減価償却費とすること。この場合、減価償却は、定額法により行うものとし、減価償却資産の残存価格及び耐用年数は税法関係法令に定めるところによること。
ス 公租公課
公衆浴場経営にかかるすべての公租公課とすること。したがつて、事業主の給与相当額にかかる所得税、都道府県民税及び市町村民税は除かれるものであること。
セ その他の諸経費
以上の営業費用以外の公衆浴場経営に必要な事務及び業務のための経費(広告料、保管料等)とすること。
4 建物再調達費の算定
指定の際見込む建物再調達費は、当面、貸借対照表の資産の部に計上される前期末における建物(その従物を含む。)の帳簿価格の五%程度として算定することが適当であること。