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○公衆浴場入浴料金の統制額の指定等に関する省令の施行について
(昭和三二年九月一三日)
(厚生省発衛第四一一号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官依命通知)
公衆浴場入浴料金の統制額の指定等に関する省令(以下「省令」という。)が昭和三十二年九月十二日厚生省令第三十八号をもつて公布、来る十月一日から施行されることとなり、これにより、これまで物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第四条の規定に基き、厚生大臣が行つていた公衆浴場入浴料金の統制額(以下「統制額」という。)の指定は、同日以降、物価統制令施行令(昭和二十七年政令第三百十九号)第十一条の規定に基く権限委任によつて、都道府県知事において引き続き料金の統制を行うこととされたが、これが運用の適否は、国民生活の安定に至大の影響を及ぼすことともなるものであるから、特に次の事項に御留意のうえ、これが実施に遺憾なきを期せられたく、命によつて通達する。
記
1 公衆浴場入浴料金を指定する件(昭和三十年三月厚生省告示第五十八号。以下「告示第五十八号」という。)は、昭和三十二年十月一日をもつて廃止され、都道府県知事は、同日までに統制額の指定を行わなければならないこととなるが、その趣旨とするところは、地域の実情に即した合理的な統制額の指定を行い得ること及び公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)に基いて、都道府県知事が行う公衆浴場の指導監督行政に一貫性を持たせ得ることのほか、過般施行された環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律(昭和三十二年法律第百六十四号)に基く厚生大臣の権限の一部が都道府県知事に委任されたことによる当該行政との一元化を確保し得ること等にあるものであること。
2 都道府県知事は、統制額の指定にあたつては、物価の騰貴を仰制する見地からはもとより、公衆浴場の利用者の大部分が風呂を有しない階層に属する現実にかんがみて利用者の負担を最小限度にとどめる見地から十分慎重を期せられたく、特に次の諸点に準拠して行われたいこと。
(1) 今回の措置は、都道府県知事に対する権限委任を主眼とするものであること及び統制額の地域的不合理の是正は、既に昭和二十八年二月厚生省告示第三十五号(以下「告示第三十五号」という。)をもつて指定されて以来引き続きA料金の種別に属して今日に至つた地域を除いて、昭和二十九年以来数次に亘つて、厚生省において行つてきたところでもあることにかんがみ、地域の事情その他からする特別の不合理性のない限り、原則として告示第五十八号による現行の統制額によるものとすること。
なお、北海道における離島にある公衆浴場及び温泉むし風呂その他のものであつて、都道府県知事において特殊のものと認めた公衆浴場についての統制額の指定についても、現行どおりの取扱いとすること。
(2) 告示第三十五号をもつて指定されて以来、引き続きA料金の種別に属して今日に至つた地域については、地域の事情その他により公衆浴場経営の原価計算上現行の統制額によることが妥当でないと認められるときは、(イ)一二歳以上の者一人につき一七円、(ロ)六歳以上一二歳未満のもの一人につき一四円、(ハ)六歳未満の者一人につき七円までの範囲内(ただし、婦人洗髪料については、現行どおりとすること。)において統制額の指定を行うことは、やむを得ないものであること。この場合においても、これらの地域のすべてを一率に機械的に改訂することなく、広く諸種の条件を勘案して、真にやむを得ない事情の存するときに限り、行うものとすること。
(3) 都道府県知事が現行の統制額に相当する額と異なる統制額を指定しようとするときは、あらかじめ、厚生大臣と協議するものとすること。
3 今回の制度の改正に基き、都道府県知事は、十月一日において物価統制令施行令第二条の規定により、公示をもつて統制額の指定を行わなければならないものであるが、この場合、現行の統制額の不合理を是正する必要があると認めるときであつても、時間的制約その他諸般の事情から同日までに、これが指定を行うことができがたいときは取り敢えず、告示第五十八号で指定された統制額に相当する額をもつて、その統制額としての公示を行い爾後十分な調査を行つたうえ、改めて、合理的な統制額の指定を行うものとし、いやしくも権限委任に際し、空白期間を招来するがごとき事態を絶対に引き起さないこと。
4 今回の制度の改正を機に公衆浴場の経営者は、当該施設の衛生措置の向上について一層の尽力を行わせるよう、これが指導の配意を願いたいこと。