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○公衆浴場競願の取扱について

(昭和三三年九月一九日)

(三三公第三五〇五号)

(厚生省公衆衛生局環境衛生部環境衛生課長あて福岡県衛生部長照会)

本県において現在次のような事案が発生しているが、これに対し如何なる措置をとつたらよろしいか、至急何分のご教示を願いたく照会します。

1 事案の概要

当県においては、公衆浴場に限つて工事着手前に許可申請手続をさせ、許可指令受領後着工するように指導しているのであるが、甲及び乙が本年四月三十日同日付で公衆浴場営業許可申請書を提出したが、甲が僅かに先願であるため、その許可の適否を審査した結果、公衆浴場法(以下「法」という。)に適合し、支障ないものと認めて本年五月二十八日付で許可された。

而るに、甲の公衆浴場設置の場所には三軒の借家があり、これを立退かせなければ建築できない現状であり、更に、営業の許可を受けた日から六か月以内に開業しないときは、営業の許可はその効力を失う旨の条件付の許可であつたために、乙の申請について不許可処分をすることなく今日まで保留していたところ、甲は許可を受けた場所に建築することを不可能と認め、廃業届を提出すると同時に、さきに許可を受けた設置の場所から約一○○米離れた場所に営業許可申請書を提出した。

この場合、甲、乙間の距離は適正配置の基準距離に達しないが、甲、乙いずれもその構造、設備は法第二条並びに第三条に規定する基準に適合している。

2 右事案に対する措置

(1) 問 競願の一に許可を受けた日から六か月以内に開業しないときは、営業の許可はその効力を失う旨の条件を付し許可された場合、他の一にはその期間六か月以内と雖も取り下げさせるか又は不許可処分とすべきものかどうか。

(2) 問 競願の一に許可され、他の一に対し何等処置をすることなく保留している場合、後者は第三者から申請があつた場合対抗しえないものかどうか。

(3) 問 適正配置の基準距離を、市部と郡部と区分して条例によつて定められ、市、郡の境界に跨つて申請した場合、その土地の状況、人口密度等により公衆衛生上の適否を決定する公益的裁量により、そのいずれを採つても差し支えないものかどうか。

(4) 問 その他妥当なる措置があればその措置について。

(昭和三三年一○月七日 衛環発第八二号)

(福岡県衛生部長あて厚生省公衆衛生局衛生部長回答)

昭和三十三年九月十九日三三公第三、五○五号をもつて照会のあつた標記については、次のとおり回答する。

1 貴県における行政指導上の問題として処理すべきものと解するが、お尋ねのような条件が附されている場合には、実情を勘案のうえ六か月間はその処分を延期することは差し支えない。

2 処分が保留されている場合には、その後に行われた第三者からの申請より先に申請があつたものとして処理するのが適当である。

3 都道府県知事の自由裁量により決定することとなるが、その判断の基準としては、一応市部と郡部との距離の割合を算出して加重平均をなし、基準距離とすることが考えられる。

4 甲が廃業届を提出した後別に行つた申請は、一○○メートルも離れた場所に建築するものであり、単に従前の申請内容を変更したものとは考えられないので、別個の申請があつたものとし、従つて御設例の場合には乙の申請を先願として処理すべきものと解する。