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○公衆浴場(特殊浴場)営業の許可取消(撤回)処分並びに附加基準の制定について
(昭和三三年七月八日)
(衛第七九八号)
(厚生省公衆衛生局長あて大阪市衛生局長照会)
右のことについて左記のとおり疑義を生じたので何分の御指示をお願いします。
記
一 公衆浴場(特殊浴場)営業の許可取消(撤回)処分について昭和三十一年十月大阪府知事より距離制限の適用を受けない公衆浴場(特殊浴場)営業の許可を受けいわゆるトルコ風呂営業を行つていたAが、許可後まもなく経営難等を理由に、特殊浴場としての構造設備を無届で根本的に改造し一般公衆浴場営業に切りかえしたため、距離制限の適用を受け営業している近隣業者(最も近接するもの約六十メートル)は経営上被害ありとしてその善処方について別添歎願書を当局に提出している実情である。
当局としては、Aに対して現状の一般浴場としての構造設備を早急に許可当時の特殊浴場としての、構造設備に復元するよう勧告指導しているがAには今日にいたるも復元させる気色が全然見受けられない。
1 この場合営業許可の取消処分は当該公衆浴場法第七条の規定により行われねばならないものであるが本事例のように特殊浴場についての構造設備等の基準が現在府条例に規定されていないため取消処分を行うにも、手続上困難な実情にあるが、たまたま本件府知事の許可時に「構造設備が特殊浴場として認めがたきときは、許可を取消し、若しくは変更させることがある」という事項の附款があるので、当局としてはできうれば本条件違反として、取り消しの処分を行いたい考えである。
2 しかしながら、昭和二十八年二月二十三日衛環発第六号によれば公衆浴場の営業許可を与える場合に、その許可対象について一般的な条件を附することは営業許可の附款事項として差しつかえない旨示されているが、本事例のごとく条例その他関係法令に基準のない「構造設備が特殊浴場として認めがたいときは、許可を取り消し、若しくは変更させることがある」のごとき重要事項を一般的事項として附款しうるものか、否か。
二 附加基準の制定について
地方自治法施行令第百七十四条の三十六により指定都市においては、いわゆる附加基準を定めることができることとなつたが
1 現行条例又は規則に基準として規定されている事項についてのみ指定都市の特殊事情から必要とする場合に限り制定できるものであるか。
2 あるいは現行条例又は規則に基準として規定されていない事項についても、附加基準を制定できるものであるか。
(昭和三三年九月一一日 衛環発第七七号)
(大阪市衛生局長あて厚生省環境衛生部長回答)
昭和三十三年七月八日衛第七九八号をもつて照会のあつた標記については、次のとおり回答する。
記
一 公衆浴場の設置の場所が公衆浴場の適正配置の基準に関する条例によれば、不許可とされるべきにもかかわらず、当該公衆浴場が一般の公衆浴場と異なつた営業形態をとるものであり、一般の公衆浴場とは競争関係を生じないとの見地から特に許可を与える場合においては、お尋ねの趣旨の如き条件を附すことは差し支えないものと解する。
なお、お尋ねの附款中「特殊浴場として認めがたいとき」の表現は、明確を欠くきらいがあると考えられるので、例えば、「許可を受けた当時の構造設備を著しく変更し、又は入浴料金を改訂した場合」とする等その明確化を期せられたい。
二 指定都市においては、その区域における公衆衛生上の特殊事情から特に必要を認められる場合にかぎり、府県が定めている個々の基準に加重する基準のほか、府県が定めている基準以外の基準を定めることも差し支えない。